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本編

洞穴の奥

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「あの…俺はどういう風によそから言われてるんでしょうか…?」
「え?」

何故か洞穴の奥を一緒に探検することになった俺たちはトレジャーハンターのダリウスの後ろをついていっている。ダリウスは俺に上着を貸してくれて、そのシャツに手を通すと何だか強くなったような気さえする。

「白い妖精…と呼ばれてるのがなんでかなって。俺はしがない田舎貴族の普通の男なのに、なんでそんな噂にのぼってんのかなと不思議になって」
「ああ…。お喋り好きな外交官の中で、ある国のアホ王子にとてつもない美人の婚約者がいるって話があってな、興味本位でそれがどんどん伝わっていったらしい」

う、聞くんじゃなかった…と少しだけ思ってしまった。

「俺は仕事柄、王族や貴族に顔が利くしそういう噂は仕事に結び付くんで記憶はしているんだ。とてつもない美人…ま、納得だな。レイはかなりの美人だな」

俺の顔をちらりと見たダリウスが目尻をくしゃっとして笑った。暗がりの中でもその笑顔は爽やかに見えた。

「アホ王子と別れてベン王子に乗り換えたのか?」
「…乗り換えるとか感じ悪くない?違います。ベンが俺のその噂を頼りに迎えにきてくれた、というか…救ってくれました」
「そっか。すまん。まあなんにせよ良かったじゃないか、その後のあのアホ王子、王になれないそうだし」
「よくご存じですね…」
「まあ、情報は大事だからな。俺が今から狙う獲物はそういうアホな王族の依頼だ。持つと幸運が訪れるというありもしない験担ぎだけのために欲しがって大金を積む。馬鹿馬鹿しいが、俺はそれが仕事だからな」
「依頼って…なに?」

俺の問いにダリウスは少しだけ宙を見て、それからため息をついてぽそりと呟いた。

「ドラゴンの鱗。それも金のドラゴン」

はっ?ドラゴン?そんなもん…いるな。聞いたことがある。まあ、大きなは虫類みたいなものもいるけれど、それは大きなトカゲと変わらないまた別のものだ。ドラゴンは知能が非常に高く、戦闘力も並ではないと聞いている。
そしてゲットたちのよりずっと稀少なため、幻の生物と呼ばれ、一生に一度お目にかかるかどうかのものだ。

「この山には金のドラゴンが棲んでいるんだ。ほぼ地下に生息してるからめったに出てこないがな」
「ドラゴンか…見たことない。ダリウスはたくさん見てきたの?」
「ああ。ま…そもそも弟がドラゴンを飼ってるからな…」
「へっ!?飼えるの?」
「ん、まあ…」

そんなもの飼えるってダリウスんちはどんな家なんだ…。

「この奥にいるのは調べがついてる。だが鱗なんて剥がさないと手に入らないんだ。それには気絶させて頂くしかない…面倒だな」

ちっ、と舌打ちしながらダリウスが細い穴をくぐる。俺とゲットも追うとすぐに大きなホールのような場所に出た。天井から少しだけ星空が見えてとても美しかった。

そのすぐ下の崖に窪みがあり、そこに藁のようなものを敷いて金色の生き物が寝ているように見える。

それは確かに金のドラゴンに違いなかった。























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