第二の人生は王子様の花嫁でした。

あいえだ

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本編

俺の能力

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「まさか動物と話せるとは…!レイ、お前何者なんだ?」
「あー、なんか独り言だよ?」

俺は笑ってやりすごそうとしたけど、どうやら初めから聞かれていたような感じだ。

「犯人がエルンストって…」

あー、やっぱ聞かれてたね全部…。俺は諦めた。

「これ、内緒にしといてね。ま、誰も信じないと思うけど…。俺はゲットとゼルと会話ができる。やろうとすれば他の動物ともできると思う」
「はあ…すげえな。で、皇后どもにやられたってわけか」
「うん。これが証拠」

俺はゼルが出してきた矢の羽の部分をアルに見せた。

「騎士団の矢じゃねえか…だが管理がしっかりしてるから、王宮の演習なら一本たりとも無くすはずがない。無くせば大事になってるはずだ。ん?いや、これ違う…偽物…?」
「わかるの!?」
「ああ。糸の巻き方が違うし、この羽も色は同じだが種類が違うな…わかる奴にはわかる。似せただけのフェイク。これをエルンストが使ってゼルを狙ったんだな」
「うん」

アルがしばらく考えていた。そして部屋の入り口を見て言った。

「どうしますか?ベン様?」

は!?ベンいるの!?
俺はびっくりして口を開けたまんまだった。
ベンが腕を組んで俺とゼル達を見ている。

「俺はレイの知らない部分が多すぎるな…」

ひいぃ、怒ってる…!?

「アルはこの矢を作った職人を探し出せ。誰にも気取られるな。…レイ、ゲット、よくやった。ゼルも身を呈してゲットを庇ってくれてありがとうな。レイのためにも尽くしてくれて感謝しきれない」

ベンがゼルの前に膝をつき、彼の黒い耳元をカリカリとかいて頭を撫でながら礼を言った。


しばらくすると。

けたたましいノックとドアを開ける音。

そこに現れたのは。

皇后とその配下10人はいる。全員鬼のような形相だ。

「ベン王子…私の領地にあるダイヤモンド鉱山を閉山するというのは本当ですか?」

わなわなと震えながら皇后がベンに詰め寄る。

「ん?ああ。採掘量が減ってて維持費ばかりかさむのでそう決定し、陛下にも許可は得た…それが何かご不満でも?」
「い、いえ…そうなると私の領地の民が仕事を失います」
「新しい鉱山が発見されたから金をやって全員そちらへ引き受けてもらえるように手配したが。損をするのに掘るだけ無駄でしょう。現地へいってちゃんと確認もしてきたが、ま、閉山は覆りませんよ。他に何か?」

きっ、と皇后が唇を噛んだ。

「ほんとは採掘量はもっと多いはずだ。ダイヤモンドを横流しできなくなるから困ってるんだぜこいつ」

ゲットがニヤニヤしながら俺にそう言った。

え、横流し!?












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