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本編

騎士アルあらわる

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次の日、このホテルの中庭を散策していると一人の男性に呼び止められた。

「誰だ?…見ない顔だな?ここは今王宮の貸しきりのはず」

茶髪の大柄の男性だ。はっきりいってかっこいい。真っ黒な制服に身を包み、腰には剣を下げている。一目で騎士だとわかる出で立ちだ。

俺はびっくりして彼を大きな瞳で見た。

「…どこの所属だ?」

所属?そう言われてもどこにも所属してない俺は答えられない。

「少し国を空けると知らない者が増えてて困る…」
「国を空けてた?」
「まあ…仕事だ仕事。お前は小間使いとかか?それにしては容姿がいいな、高級男娼とか?…ベン様もそういうのを呼ぶようになったのか…」


その男性は俺の隅々までまじまじと見る。

「えっ!?ち、違いますっ!ベンはそんなの呼ばないし!」
「…?…その美しさは男娼以外にないだろう?」

男性の言葉にうっと詰まる。恋人!って宣下したいけどこれ、人に大声で言うのも変じゃない?

「あ、ここにいたのかレイ」

中庭のバラのアーチをくぐったベンが姿を見せた。そのとたん、男性か敬礼をする。

「…アル?アルか!?やっと帰ってきたんだな!」

ベンが嬉しそうに男性の肩を無邪気にパンパン叩くのを見て俺は驚いた。

「王命により帰国致しました。王家の騎士として再び指名を果たしたく存じます」

敬礼を崩さないそのアルという騎士はベンを眩しそうに見つめる。

「つきましては、ベン様の護衛をすると伺っておりますが…また、一緒にいられますね」
「その話なんだがな…護衛というのは私ではなくこのレイなのだ」

ベンがアルにそう言ったとたん、アルの顔から表情が消えた。

しばらく無言になる。
俺を男娼と思い込んでるアルにはこれはびっくりだよね…。俺だって心外だ。

「おそらく、父上とシュワルツがアルを呼び寄せたのだろう、アルは皇后に一切与しないから」
「そうですね、むしろ滅びろくらいに思ってますよ」

忌々しげに宙を見ながらアルが悪態をついた。

「で?何故俺がこの男娼を面倒見ないといけないのですか?」
「は?男娼?どこに男娼が?」
「この…白い…」

アルが俺を指さすと、ベンがぷっ、と笑いアルに凄んだ。

「レイは私の大切な想い人だ。…白い妖精だと近隣諸国には通っているのだがな」

それを聞いたアルがみるみるうちに青ざめていく。

「ま、誠に申し訳ありません!」

頭を90度に下げて上がってこない。悪い人じゃなさそうだな。俺はベンを見た。

「レイは顔をあげてくれって言ってるぞ。じゃあ、これから俺の不在時はレイといてやってほしい」

「ほぇ!?」

俺は変な声が出た。初めて聞きましたよその話!?

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