第二の人生は王子様の花嫁でした。

あいえだ

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本編

王家の人間

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は、初恋の人…?

ヴォルフが?

俺は目をしぱしぱさせてベンを見た。
兄が病弱で陰険というクレオンにはさぞかしヴォルフは、眩しいだろうな、と容易に想像がつく。

でも、二人とも俺を好きだと言うんだよね。

「クレオンがレイを好きだというのはわかってる。誰にも絶対渡さないから…で、ここに来たのはシュワルツの差し金か?」
「うん…そう…」
「まだ何か黙っていないか?」

う、ベンには何もかもお見通しなのか、心が読めるわけ?俺はエルンストにやられた事を洗いざらいあるがまま話す。

ベンの怒りが半端なかった。

人って怒りすぎると全ての表情をなくすと言うか、無になっちゃうのかな。

俺をぎゅーーーーーーって苦しいほど抱き締めて、何度も髪にキスをする。その手が少し震えていた。

「っ…皇后め…!」

彼は憎々しげにそう呟き、俺の頭を何度も撫でた。俺はそんなベンに体を預けて、撫でられるがままに甘えた。

こんなに怒ってくれるなんて。
それだけで救われた気分になる。楽器は痛い思いをしただろうし、俺も泣いてしまった。

「で、シュワルツはレイをここに寄越したということか」
「うん、俺の心を癒してくれようとしたのかな?」
「ま、そうなんだろう…」

そしてベンが俺を離さない。ずーっと抱き締めて離さないんだ。

「楽器はシュワルツが修理に出すだろう、彼のコレクションだからな…音楽好きなんだ」
「ん、そう言ってた」
「実家で幼い頃から勉強漬けで習い事ひとつできなかったからか、シュワルツは芸術を庇護してるんだ。だから俺には自由に何でも身に付けてくれた。剣術とか…」

そうか、シュワルツは優しい人なんだな。それを愛してる陛下も理解がある。愛のあふれた家庭に育ったベンとヴォルフがクレオンは羨ましいのかもしれない。

じゃあ、エルンストは?弟なのに一人だけ皇后の息子である彼はベンとヴォルフが憎いのかもな、と少し考えてみたりもする。


ふと、目の前にいるベンの唇が欲しくなり。俺はそっとキスをした。

「っ…レイ…」

ベンが少し苦しげに呟く。顔が赤い。













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