39 / 93
本編
王家の人間
しおりを挟む
は、初恋の人…?
ヴォルフが?
俺は目をしぱしぱさせてベンを見た。
兄が病弱で陰険というクレオンにはさぞかしヴォルフは、眩しいだろうな、と容易に想像がつく。
でも、二人とも俺を好きだと言うんだよね。
「クレオンがレイを好きだというのはわかってる。誰にも絶対渡さないから…で、ここに来たのはシュワルツの差し金か?」
「うん…そう…」
「まだ何か黙っていないか?」
う、ベンには何もかもお見通しなのか、心が読めるわけ?俺はエルンストにやられた事を洗いざらいあるがまま話す。
ベンの怒りが半端なかった。
人って怒りすぎると全ての表情をなくすと言うか、無になっちゃうのかな。
俺をぎゅーーーーーーって苦しいほど抱き締めて、何度も髪にキスをする。その手が少し震えていた。
「っ…皇后め…!」
彼は憎々しげにそう呟き、俺の頭を何度も撫でた。俺はそんなベンに体を預けて、撫でられるがままに甘えた。
こんなに怒ってくれるなんて。
それだけで救われた気分になる。楽器は痛い思いをしただろうし、俺も泣いてしまった。
「で、シュワルツはレイをここに寄越したということか」
「うん、俺の心を癒してくれようとしたのかな?」
「ま、そうなんだろう…」
そしてベンが俺を離さない。ずーっと抱き締めて離さないんだ。
「楽器はシュワルツが修理に出すだろう、彼のコレクションだからな…音楽好きなんだ」
「ん、そう言ってた」
「実家で幼い頃から勉強漬けで習い事ひとつできなかったからか、シュワルツは芸術を庇護してるんだ。だから俺には自由に何でも身に付けてくれた。剣術とか…」
そうか、シュワルツは優しい人なんだな。それを愛してる陛下も理解がある。愛のあふれた家庭に育ったベンとヴォルフがクレオンは羨ましいのかもしれない。
じゃあ、エルンストは?弟なのに一人だけ皇后の息子である彼はベンとヴォルフが憎いのかもな、と少し考えてみたりもする。
ふと、目の前にいるベンの唇が欲しくなり。俺はそっとキスをした。
「っ…レイ…」
ベンが少し苦しげに呟く。顔が赤い。
ヴォルフが?
俺は目をしぱしぱさせてベンを見た。
兄が病弱で陰険というクレオンにはさぞかしヴォルフは、眩しいだろうな、と容易に想像がつく。
でも、二人とも俺を好きだと言うんだよね。
「クレオンがレイを好きだというのはわかってる。誰にも絶対渡さないから…で、ここに来たのはシュワルツの差し金か?」
「うん…そう…」
「まだ何か黙っていないか?」
う、ベンには何もかもお見通しなのか、心が読めるわけ?俺はエルンストにやられた事を洗いざらいあるがまま話す。
ベンの怒りが半端なかった。
人って怒りすぎると全ての表情をなくすと言うか、無になっちゃうのかな。
俺をぎゅーーーーーーって苦しいほど抱き締めて、何度も髪にキスをする。その手が少し震えていた。
「っ…皇后め…!」
彼は憎々しげにそう呟き、俺の頭を何度も撫でた。俺はそんなベンに体を預けて、撫でられるがままに甘えた。
こんなに怒ってくれるなんて。
それだけで救われた気分になる。楽器は痛い思いをしただろうし、俺も泣いてしまった。
「で、シュワルツはレイをここに寄越したということか」
「うん、俺の心を癒してくれようとしたのかな?」
「ま、そうなんだろう…」
そしてベンが俺を離さない。ずーっと抱き締めて離さないんだ。
「楽器はシュワルツが修理に出すだろう、彼のコレクションだからな…音楽好きなんだ」
「ん、そう言ってた」
「実家で幼い頃から勉強漬けで習い事ひとつできなかったからか、シュワルツは芸術を庇護してるんだ。だから俺には自由に何でも身に付けてくれた。剣術とか…」
そうか、シュワルツは優しい人なんだな。それを愛してる陛下も理解がある。愛のあふれた家庭に育ったベンとヴォルフがクレオンは羨ましいのかもしれない。
じゃあ、エルンストは?弟なのに一人だけ皇后の息子である彼はベンとヴォルフが憎いのかもな、と少し考えてみたりもする。
ふと、目の前にいるベンの唇が欲しくなり。俺はそっとキスをした。
「っ…レイ…」
ベンが少し苦しげに呟く。顔が赤い。
72
お気に入りに追加
4,163
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
【完結】塩対応の同室騎士は言葉が足らない
ゆうきぼし/優輝星
BL
騎士団養成の寄宿学校に通うアルベルトは幼いころのトラウマで閉所恐怖症の発作を抱えていた。やっと広い二人部屋に移動になるが同室のサミュエルは塩対応だった。実はサミュエルは継承争いで義母から命を狙われていたのだ。サミュエルは無口で無表情だがアルベルトの優しさにふれ少しづつ二人に変化が訪れる。
元のあらすじは塩彼氏アンソロ(2022年8月)寄稿作品です。公開終了後、大幅改稿+書き下ろし。
無口俺様攻め×美形世話好き
*マークがついた回には性的描写が含まれます。表紙はpome村さま
他サイトも転載してます。
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる