第二の人生は王子様の花嫁でした。

本編

クレオンとヴォルフ

「…にしても久しぶりだなクレオン…」

目をみはるようにヴォルフがクレオンを見る。クレオンは軽く会釈したように見えた。俺が目を丸くしているとヴォルフが説明をしてくれた。

「クレオンはベンの幼馴染みだけど、僕とは年も違うし接点があまりなくてな…幼い頃は遊んだりもしたがこうして話すのは何年ぶりだろうな」

そう言うヴォルフを見るクレオンが少し困っているようにも見える。

ベンの優しい兄であるヴォルフにどう接していいのか分からないんだろう。どうした！？俺に対してのあの態度とえらい違うじゃん。

「レイが好きでもどうしようもないぞ。ベンの邪魔はするなよ」

ヴォルフのその一言で、クレオンの表情が一変した。

「ヴォルフだって…弟のために身を引くのか？」
「身を引くって言っても、僕は別にレイと何もはじまってはいないし、そもそもレイはベンの恋人だ」

俺の目の前で一体なんの話だよこれ…。

「好きなら奪えばいいじゃないか」
「は？クレオンどうした？」
「っ…いつもいつも弟のために譲ってきてるあんたが、自分の恋くらいはわがまましてもいいんじゃないかってこと」

クレオンが、ヴォルフを睨み付けた。

「クレオン…？」

ヴォルフが少し瞬きを多めにクレオンを見つめた。
クレオンが涙目になってるような気がする…。

「と、とにかく、俺はレイとベンを引き剥がすから！」
「クレオン！？お前何を…？」
「レイはベンと結ばれてはだめなんだよ！」

クレオンがとうとうヴォルフに怒鳴り付けた。

「え、ええ…？何を言ってるんだクレオン？レイとベンを別れさせるなら、僕はそれを阻止する。絶対にレイはベンと幸せにするからな。俺の弟を不幸にする奴は誰であろうと許さない」

ヴォルフが強い口調でクレオンに返し、睨み付ける。

俺は噴水の隣でマイナスイオンと水滴を浴びまくってすっかり体も冷え込み、そして目の前で起こっていることに心も冷え込んでいた。

二人とも…？