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本編
ベンの思い
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あれから迷惑なのにちょくちょくクレオンが遊びに来るようになった。さすがにベンのいないときは部屋には入らないけれど、クレオンはとにかくベンのことが好きなようで、一向に離れるそぶりはない。
幼馴染みだから、俺より前のつきあいだし邪魔はできない。でも、どうも恋愛ではなくただの友情なようだ。
それより。
クレオンが俺に馴れ馴れしい。ベンははっきりいって気づいていない。
ゲットも悪い人じゃないと言って懐いてるし、どうもゼルまで陥落している。
俺にとっては皇后側の人でしかないんだけれど…だけど、俺よりここに関係が深いから無下にはできないんだ。
まあ、でも、仲よくなるにつれ彼の色んなことがわかってきた。
「クレオンの兄君はご息災か?」
ベンが本棚を整理しながらクレオンに尋ねた。クレオンの兄君?そう思っているとクレオンが笑って答える。
「ああ、元気だよ。時々起きて散策したりしてる」
「それはよかった」
ベンがほっとしたような顔をした。
起きて散策?ん?病弱なのか?俺が不思議そうな表情をしていると、クレオンが笑って教えてくれた。
「俺の兄は生まれつき病弱でね…でも、先代国王の遺言で彼が跡継ぎなんだ。それはそれで大変なんだけど…でも、優しくていい兄上だよ」
わ、なかなかもめるやつだ。
「嘘だ、クレオンの兄が優しいわけねえよ」
隣で豹のゲットが不満そうに言った。そうか、ゲットはクレオンのもとで生まれたから知ってるんだ。
「わがままで、いつもクレオンをいじめてきたくせに。俺だって殴られたのは覚えてる。あんなやつが国王になったら最悪だ。みんなクレオンが国王になるのを願ってるんだよ」
そ、そうなのか…。それでも俺には兄が優しいというクレオン、気を遣ってくれてるのか俺にはバレたくないのか…。
ベンは少し複雑そうな表情をしていた。たぶん、クレオンの事情を知ってるんだな。
「ベンにはあんな素敵なヴォルフがいていいなぁ」
クレオンが少し遠い目をして言った。
「うん?ヴォルフ?ああ…」
そんなクレオンにあからさまに兄の自慢はできないよなベン…。
そうか。クレオンはあんな優しい兄のいるベンが幼い頃から羨ましかったのかな。だから何でもベンのものを欲しがってたのかもしれない。
「ベンは何でも持ってるな、ほんとに。こんなすばらしいレイがそばにいて…同じ王子なのに俺とは天地の差」
そういうクレオンの心の闇を見た気がして俺は少し目を伏せた。
するとベンが俺を抱き寄せて指を絡めてきたので、少し驚いて彼を見るとクレオンを優しく切ない表情で見つめている。
ベンも同じ思いなんだな…。優しいベン。大好き。
俺はベンの指をきゅっ、と軽く握って撫でた。
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それより。
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そ、そうなのか…。それでも俺には兄が優しいというクレオン、気を遣ってくれてるのか俺にはバレたくないのか…。
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「うん?ヴォルフ?ああ…」
そんなクレオンにあからさまに兄の自慢はできないよなベン…。
そうか。クレオンはあんな優しい兄のいるベンが幼い頃から羨ましかったのかな。だから何でもベンのものを欲しがってたのかもしれない。
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するとベンが俺を抱き寄せて指を絡めてきたので、少し驚いて彼を見るとクレオンを優しく切ない表情で見つめている。
ベンも同じ思いなんだな…。優しいベン。大好き。
俺はベンの指をきゅっ、と軽く握って撫でた。
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