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本編
宰相シュワルツ
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俺は今、めっちゃ美味いらしいコーヒーをご馳走になりながらも味がほとんどわからないでいた。
何故ならば。
俺の目の前には、美しい宰相シュワルツがにこやかに笑っているからだ。
宰相シュワルツ、ベンの産みの親。性別は男。金髪碧眼のめちゃくちゃ美形のおじさんだ。いや、30代くらいにしか見えない…恐ろしい若さだなこれ。
「レイ、来てくれて嬉しいよ」
「は、はひ…」
目がチカチカしながら俺は心拍がヤバイくらい上がっていた。
大国の国王陛下の寵愛を独り占めにしてかつ宰相まで勤めあげるこの人。噂は俺の国にも当然届いていた。やり手の宰相。息子まで二人産んでるってどういうこと…。
息子二人は正嫡押し退けて王位継承一位二位独占だもんな。
「…皇后は元気?」
いきなりグッサリきたよ!絶対事情知ってるんだけど!
「…俺みたいな末端の奴のこともご存知とは…」
「昔、私もやられたので…今もか」
「い?今も?」
俺が驚いて顔を上げると、シュワルツが頷いた。
「そう。なかなか面白いですよ。色々とありましたね…偽名を使った嫌がらせとか。やったのが誰かバレてるのに気づいていないようですし」
「どうやって…撃退したのですか?」
「そんなの、やられたことは周囲に隠さず晒すだけです。証拠は全て持っておく。そして味方を増やす。そして屁とも思わないくらい自分を上げるだけ。くだらないマウントや嫌がらせに関わってる暇はありませんし、私の見てる世界はあの人とは違う。元々彼女と争って寵愛を得ようとは思ってませんしね」
「よ、余裕…」
俺の言葉にシュワルツは笑った。
「国王陛下はそんな私が好きらしいですよ」
強さ極まりない笑みだ。恐れ入ります…。隣でベンがにこにこと笑っていた。
「ベンも…隠してほしくなかった?」
恐る恐る尋ねると、彼が頷いた。
「自分がされたらどう思う?俺がひとりで辛い想いをしてるのに知らなかったら?」
「やだ…」
「だろ?」
そうだな、俺もベンがつらい想いをするのは嫌だ。それと。
「…強くなりたいな」
「なればいい。俺がついてるし、レイはなれる」
ふふ、とシュワルツが微笑んだ。
何故ならば。
俺の目の前には、美しい宰相シュワルツがにこやかに笑っているからだ。
宰相シュワルツ、ベンの産みの親。性別は男。金髪碧眼のめちゃくちゃ美形のおじさんだ。いや、30代くらいにしか見えない…恐ろしい若さだなこれ。
「レイ、来てくれて嬉しいよ」
「は、はひ…」
目がチカチカしながら俺は心拍がヤバイくらい上がっていた。
大国の国王陛下の寵愛を独り占めにしてかつ宰相まで勤めあげるこの人。噂は俺の国にも当然届いていた。やり手の宰相。息子まで二人産んでるってどういうこと…。
息子二人は正嫡押し退けて王位継承一位二位独占だもんな。
「…皇后は元気?」
いきなりグッサリきたよ!絶対事情知ってるんだけど!
「…俺みたいな末端の奴のこともご存知とは…」
「昔、私もやられたので…今もか」
「い?今も?」
俺が驚いて顔を上げると、シュワルツが頷いた。
「そう。なかなか面白いですよ。色々とありましたね…偽名を使った嫌がらせとか。やったのが誰かバレてるのに気づいていないようですし」
「どうやって…撃退したのですか?」
「そんなの、やられたことは周囲に隠さず晒すだけです。証拠は全て持っておく。そして味方を増やす。そして屁とも思わないくらい自分を上げるだけ。くだらないマウントや嫌がらせに関わってる暇はありませんし、私の見てる世界はあの人とは違う。元々彼女と争って寵愛を得ようとは思ってませんしね」
「よ、余裕…」
俺の言葉にシュワルツは笑った。
「国王陛下はそんな私が好きらしいですよ」
強さ極まりない笑みだ。恐れ入ります…。隣でベンがにこにこと笑っていた。
「ベンも…隠してほしくなかった?」
恐る恐る尋ねると、彼が頷いた。
「自分がされたらどう思う?俺がひとりで辛い想いをしてるのに知らなかったら?」
「やだ…」
「だろ?」
そうだな、俺もベンがつらい想いをするのは嫌だ。それと。
「…強くなりたいな」
「なればいい。俺がついてるし、レイはなれる」
ふふ、とシュワルツが微笑んだ。
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