フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話

カトウ

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これからのこと

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 22 これからのこと。

 何故だかわからないけど、王都に着いてからはフェルと普通に話ができるようになった。
 2人の間にあった気まずい空気はいつのまにか無くなっていた。これまでみたいに普通に話せるようになってホッとした。

 夕食を食べ、部屋にシャワーがあったので交代で体を洗った。
 フェルの髪を乾かしてあげてから、これからのことを話し合った。

 フェルは冒険者としてやっていきたいと言う。
 とにかく今はお金を稼ぎたい。そう言った。
 僕はまだよくわからないから、とりあえずフェルと一緒に冒険者をやることにする。
 僕が薬草とかを採取して、フェルが魔物を討伐する。
 しばらくはそんな感じでやって見ることにした。

 これからの生活とお金の話だが、生活が安定するまではお財布はひとつにまとめて、そこから必要なものを買うことにした。
 寝るところはいろいろ揉めたけど、仕事が終わったら南門を出て野営できそうなところで野宿することにした。

 フェルの剣が一応手に入ったので、次の目標はテントを買うことだ。
 食費も節約して、野営しても大丈夫な環境を作るのが、当面の目標だ。

 話し合いのあとは特に何かあるわけではなく。2人とも疲れていたのでもう寝ることにした。

 次の日は朝早くにギルドに向かった。

 冒険者ギルドの中は人で溢れていた。
 依頼書を貼ったボードから冒険者たちは受けたい依頼の書かれた紙を剥がし次々に受付に持っていく。
 僕もホーンラビット討伐の依頼書を剥がして受付に持って行った。

 受付にはサリーさんはいなかった。適当に並んだ列で順番を待つ。
 順番が来て依頼書とギルドカードを提出した。「ホーンラビット討伐は常設依頼なので、申告の必要はありません」そう言われて慌てて謝った。

 年配の受付の女性は僕たちを依頼書のボードに連れて行き、ボードの見かたの説明を丁寧にしてくれた。
 ランク別に整理して貼ってあるそうで、さすがにSランクの依頼書はなかったけど、上位ランク向けの依頼書にはドラゴンの討伐や森の深いところにある遺跡の調査などの依頼が貼ってあった。
 ホーンラビットのほか、ゴブリンとキラーウルフの討伐は常設依頼で、常設依頼のボードに貼ってあるものはわざわざ剥がして申請しなくてもいいそうだ。
 初級ポーションの素材の採取も常設依頼のコーナーに貼ってあった。
 その年配の受付の人にホーンラビットの狩り場を聞くと、今なら南西の森の西側の平原がいいかもしれないと教えてくれた。
 森は立ち入り禁止だが、その周りは大丈夫だと言う。
 ホーンラビットは討伐報酬が銅貨10枚。素材は状態にもよるが、同じく銅貨10枚くらいの値段になるそうだ。

 ギルドを出てホーンラビットの狩り場に向かった。

 教えられた狩り場は南の森の西側。背の高い草がいっぱい生えている。
 平原というよりただの荒地だ。

 昨日のルートで川を渡り、その荒地に行くと魔物の気配がウヨウヨしている。
 なんの魔物かわからないけど、何か嫌な感じが強く感じられた。
 生えている草は僕の背丈くらいあり視界が悪い。ちょっとここは無理そうなのでいったん引き返す。

 川の手前の平原を2時間くらい捜索したけど、ホーンラビット1匹しか狩れなかった。
 ちなみにこれは僕が矢で仕留めたものだ。
 フェルは僕の弓の腕を誉めてくれた。
 ちょっとうれしい。

 何だか疲れたので昼食にすることにした。
 あのまずい黒パンがまだ残っていたのでまたパン粥を作る。

 その後フェルと話し合ったが、やっぱり川を渡らないと獲物がいないという結論になった。

 こっそり立ち入り禁止の森に入って倒木を拾う。だいぶ太い木だったがフェルは軽々と倒木を担いで運んでくれた。

 森から離れて15分くらい歩く。川幅がちょっと狭くなっているところに持って来た倒木を転がす。何とか渡れそうだ。
 川の向こうに渡れば、すぐに何かの気配がする。

 森の近くほど多くはなさそうなので、この辺りで狩りをすることにした。けれど、視界が悪いので弓が使えなかった。
 そうか。雑草を抜けばいいんだ。

 土魔法を使いながら僕は雑草を抜き、ホーンラビットがいたらフェルが倒す。

 長年の修行の成果で僕は足の裏からも魔法を放てるのだ。僕の土魔法の効果は土を柔らかくするだけなんだけど。

 生まれて15年これまで何もやってこなかったわけじゃない。5歳ごろやっと自分の状況がつかめてからは、もしかして自分は世界を救う勇者なんじゃないかと思って、剣術や魔法の練習に打ち込んだ。

 でも剣術は全く上手くならず、魔法の威力は上がらなかった。
 
 両親はさまざまな属性が使えることを誉めてくれたけど、勇者と名乗るのが恥ずかしくなるくらい僕の能力はしょぼすぎた。
 
 勇者を諦めてから、効率化やドライヤーの魔法のように便利さを追求した。
 唯一弓だけは楽しかったのでそれだけは毎日練習した。弓の腕前はいたって普通だったけど。

 そんな悲しい過去を経て今に至る。

 生活魔法とはよく言ったものだ。僕は悲しいことに生活に役立つ魔法しか使えなかった。
 難しい魔法は魔道書を見て勉強しなくてはいけないらしいんだけど、村に魔道書なんてあるわけもなく、両親には簡単な魔法しか教えてもらえなかったし、いくら練習しても全く威力は上がらなかった。
 僕はそのちょっと便利な生活魔法を工夫していろいろやってるだけなんだ。

 フェルがホーンラビットを倒している間も、黙々と草を抜く。たまに薬草も混じっていたからあとで選別することにしてひたすら抜いていく。
 
 帰る頃にはそこそこ広い範囲で空き地ができていた。
 
 薬草の選別はマジックバッグを使ってやった。
 全部とにかく抜いた草を一度マジックバッグに入れてしまうのだ。
 そして薬草だけ取り出して残りはそのへんに捨てた。

 ギルドに寄って精算する。ホーンラビット6体、薬草は13本。
 依頼料と合わせて、銀貨1枚と銅貨38枚。
 1人当たり7000円弱。

 うーん。これじゃあちょっと生活できないよね。もっと何か考えないと。

 まだ日が高かったから大通り沿いにあったお店で買い物をした。
 道具屋で重曹、こっちではただの洗剤なんだけど、それと砥石を買って、市場で食料品を買う。
 お米を売ってる店を見つけたので少し買っておいた。

 中央の方に行って公衆浴場に行く。
 フェルと待ち合わせの時間を決めて、それぞれお風呂に入って体を洗った。

 広いお風呂を堪能して、上機嫌で待ち合わせの場所に行くとフェルはもう先に待っていた。
 待たせたことを謝罪して、待ち合わせ場所にあったベンチでフェルの髪を乾かしてから南門に向かった。
 王都の外に出る分には時間は関係ないようで、出たら明日の朝まで戻れないからなと忠告されて門番が僕らを外に出してくれた。

 王城の外ではちらほら野営をしている人たちの姿があった。

 その中に紛れて、僕たちは毛布をかぶって眠った。マジックバッグだけお腹に抱えて。














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