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第六章 スリー・オン・スリー
蜂蜜酒とクエスト
しおりを挟むムサは小さな足音を聞きつけ、浅い眠りから目を覚ました。聴覚に優れる蝙蝠系の獣人でもこの足音に気づけるかは疑問だが、彼は街でも最上級の優秀な冒険者だ。
素敵な夢を見ていた。
自分が今より若かったころだ——まだなにも知らないウユギワ村の若者であったころ、彼は毎日のように底の見えないウユギワ迷宮に挑み、無事に生還し、持ち帰った素材を強欲なフェネ婆さんに売り払ったあと酒場で仲間と飲んでいた。
そこにはずっと好きだったマキリンがいて、彼女はいつもの明るい顔で笑い、名物の冷たい蜂蜜酒を給仕してくれて……。
「にゃ。起きてるかムサ」
小さく開いた倉庫の入り口から子猫の小声が聞こえ、ムサは警戒を解き、すぐにミケを迎え入れた。銀の鎧は脱いでいて、バイトで着ている黒い学生服を装備している。
ムサの意識はまだぼやけ、脳内にはマキリンの笑顔が浮かんでいたが、彼はプロの冒険者だ。鋼鉄の意思で眠気を振り払い、三毛猫に尋ねた。
「なにかありました? 逃げるべきならすぐに逃げますが」
「違う。ついさっき、大チャンスが来た」
ヒゲとポコニャの娘は貴族街の街路樹裏に開いた入り口から庫内に上がると、「おみやげ」と言って蜂蜜酒の瓶をくれた。ミケは昨日もこうして酒を差し入れしてくれたが、今日も盗みに成功したらしい。
ムサの倉庫には普段の冒険用に大量の食料がストックされているし、その中には酒もある。しかし子猫が差し入れしてくれたのは伯爵が飲んでいる品だ。
ムサが味わうように蜂蜜酒を煽ると、泥棒猫は口を開いた。
「にゃ。今日はマグとかいうジジイと屋敷をお散歩しただけで特に成果もなく……正直に申し上げましょう、三毛猫はさっきまでぐうぐう寝ていました。しかし子猫の敏感な耳が怪しい足音を聞きつけたのです……」
この三毛猫はヒゲの父親や黒猫の母と違い、もったいぶった言い回しを好む。直接の血の繋がりは無いが、ナンダカと似たところがあるのは同じ「リーダー」だからか。
三本尾のリーダーはあえてもったいぶった口調で聴衆の注目を集め、ナンダカがよくやるように、急に本題を語った。
「——ハッセとかゆう生意気な騎士が、キラヒノマンサのお偉いさんとなにかやるらしい」
ムサはとろける蜂蜜酒にむせ、無理に飲み込んでから聞き返した。
「キラヒノマンサ公爵すか? ドーフーシの超大物すよ。伯爵のラーナボルカと違って、この半島の向こう……海を挟んだドーフーシ領にも土地を持ってる大貴族です」
「それ。そいつがハッセとなにかするらしく、半月の騎士団どもが屋敷で大騒ぎ。これまでラーナボルカの屋敷にはツイウス王国のアラールクしかいなかったが、さっき、急にキラヒノマンサから呼び出しがあった」
「キラヒノマンサ公はなにをするつもりなんです?」
「知らん。だから子猫は聞きに来たのだが、ムサにもわからない? ミケが盗み聞きした情報によると、騎士団どもは夜中に急に公爵の使いから呼び出され、このあと奴の屋敷を訪ねるらしい。ハッセは部下に『正装しろ』って怒鳴ってる」
「妙すね。レテアリタ帝国の騎士が、ドーフーシの公爵様のお屋敷に呼び出された……?」
ムサは精一杯知恵を働かせてみたが、
「ワケわかんねぇす」
「にゃ。このまま放っておくべきか? ミケは外様の騎士だから特に起こされなかったし、今の所、他の騎士たちは子猫が寝てると思ってるはず。猫はこのまま寝てしまうべきか?」
「いやいや、まさか……」
ムサは度数の高い高級酒を煽り、胃を熱くしてから言った。
「こっそり探ってみましょうよ。ミケはナサティヤ先輩に比肩する斥候ですし、俺だって先輩と警護をこなす〈剣閃〉の盾すから、騎士ごときに足音を聞かれるヘマはしません」
「にゃ……!」
「ただし」
すぐに倉庫を出ようとする子猫を呼び止め、ムサは三毛猫に簡単なハンド・サインを教えた。子猫の記憶力は逞しいとは言い難いため、3つのサインを約束するだけに留める。
「にゃ……わかった。グーは『進め』で、パーは『止まれ』。それでチョキは、ムサを見捨ててでも『逃げろ』」
「そっす。特に最後のは約束すよ?」
「にゃ」
子猫は軽く返事をして倉庫の外へ出た。遅れて倉庫を出たムサは冷たい夜の風を額に浴び、まだ残っていた眠気を吹き飛ばした。
「にゃ。それじゃ門に行く。騎士団どもがそろそろラーナボルカの屋敷を出るはず」
「了解す。念の為、斥候スキルを使って近づきましょう」
「にゃ」
2人は早口に斥候スキルの詠唱を済ませ、足音を殺して屋敷の門に近づいた。三毛猫は剣閃のナサティヤと同格かそれ以上に足音を出さず、ムサは先輩冒険者としての威厳を保つのに苦労した。
ラーナボルカ伯爵邸の巨大な門の脇に隠れ、足音はもちろん息遣いや体臭すらスキルで封じ込め、ほとんど木石のように気配を殺す。
馬の鳴き声と馬車の車輪がきしむ音がして、ムサと子猫はほとんど同時にパーのサインを送りあった。
広い門から5台の馬車が夜道に出た。御者台の両脇に吊るされたランプから鯨油の生臭い臭いがする。
夜道の向こうに馬車が消えると子猫がグーを出し、それと同時にムサもグーを突き出した。
2人は無言で頷きあって、5台の馬車を音もなく追いかけた。
◇
女騎士ニョキシーは半泣きでくっころを宣言するとそのまま静かに泣き、自慢じゃねえが母親以外の女を泣かせた経験の無いボクはどうして良いか途方にくれた。10分か……もっと放置していたかもしれない。
声なんてかけられない。泣いてる女になにを言えば良いのかなんて俺は知らない。
『くそう……殺せぇ……!』
ニョキシーは地面に伏せてそんな言葉を繰り返していたのだが、不幸中の幸いか、それは外国語だった。
俺がさめざめと泣く子犬に困っていると周囲の住宅から住人が湧き出して来て、連中は少女を泣かせる俺を見てヒソヒソと勝手な噂話を始めやがった。
「あいつ、あんな女の子を……」「通報すべきでは」「いつかやると思ってた」「未成年よね、あの女の子」「カオスは死刑かな」「賛成だ」「俺ぁ執行人に立候補するね……」
おい聞こえてんぞ野次馬ども。子犬の言葉がレテアリタ語だったらもっと酷い罵声を聞くことになりそうだ。
(えええ……なにこれ? 命を狙われたのは俺のほうだよね、アクシノさん?)
〈涼しくて良い夜だな。秋は好きだ〉
まな板にさえ見捨てられた俺は、そうしてようやく子犬に声をかけてみることにした。
「……おい、勝負に負けたからって泣くなよ。俺、別にあんたを殺さないし」
自分の望みをただ口にしただけのセリフだったが、焦げたブレザーとほつれたスカート姿のニョキシーは、俺が声をかけると全身を震わせた。
「……わかりました。もう泣きません」
「はあ?」
「——泣かないと言った!」
子犬はレテアリタ語を叫び、急に立ち上がった。少しふらついたが、服に残った鎧の破片を両手で落とし、涙で濡れたすみれ色の瞳で俺を睨みつける。
「——それで?」
騎士ニョキシーは毅然とした声で言った。
「それでわたしをどうするつもりですか、悪魔め……! いいえ聞きません。悪魔がその邪悪な手の内にした女をどうするのかは兄上から警告されているッ!」
子犬の少女は自分の体を守るように両腕を前に組み、震えながら目を閉じた。
「さあ、奪え! 貴様のような悪魔は、女の騎士を倒したら『女の子の一番大切なものを奪う』と聞いています! なんだか知らんが取っていけば良い!」
野次馬の声がざっと3倍くらい大きくなり、逆にボクは絶句した。
「早くしろ、わたしを焦らして楽しんでいるのか!? 負けたわたしが悪いのです……早く好きなだけ奪えば良いでしょう!?」
「ちょ、あんた黙って……」
「くぅ……まずは言葉を奪うというのか!? 良いだろう、わたしは騎士で、これは決闘だった! 敗者は勝者に従う……好きなだけわたしの唇を塞ぐがいいっ!」
子犬は両目をキュッとつむって、涙をぽろぽろとこぼしながら両手で口をつぐんだ。無駄口を閉じてくれたのはありがたいが、ニョキシーが目を閉じて唇結んだ瞬間、野次馬どもがギャーギャーとわめく。
「見ろよ、女の子が唇を……」「奪うとかなんとか聞こえたが、あの小僧、彼女の唇を奪うつもりだ!」「深夜に少女をボコボコにしてキスしようとは……」「ギルドを呼べ! 黒猫に裁いてもらおう」「ねえあんた、得意の雷であのガキを撃ち殺してよ!」
野次馬からマジで雷の詠唱が聞こえ、俺は慌ててニョキシーの肩に触れた。すみれ色の目をした美しい少女は怯えるように全身を震わせ、涙でにじむ瞳で俺を見つめる。黙れという指示に健気に従ってはいたが、恐怖に怯えている。
「違う、なにもしねえから! 良いから来い、こっち来い……」
俺は調速で詠唱中のおっさんを転ばせ、ニョキシーのパーカーの袖を引っ張って仕立屋に引き返した。野次馬が「誘拐だ」なんだとわめいたが、連中は先程の爆発を目撃している。予想通り誰も俺たちを追いかけて来なかった。
ニョキシーは俺が引っ張ると抵抗もせず従順に付いて来て、割れたショーウィンドウをくぐると、店内に他の強盗は居なかった。
「くそ、仲間は逃げたのか?」
質問したがニョキシーは口を閉じたままだ。真面目そうな奴だとは思ったが、マジでクソ真面目だな。
「もう喋って良い……あんたの仲間は?」
「……知りません。しかし姫様が逃げたのは幸いです。犠牲は……わ、わたしひとりで済みますからーーーーっ!」
子犬は答えるとまた小刻みに震え、
「くっ、さあ殺せ……!」
ボクはもう、苛ついて叫びそうになった。
冗談じゃねえ。ボクにその手の趣味はねえ。広い世の中にはリョナだの触手だのNTRが好きな紳士が存在するのは知っているが、俺に泣いてる女を襲う趣味は無いし、そもそも相手は12歳のクソガキだ。
ボクは怒鳴ってやろうと思ったが、
「……あらカオス、楽しそうね? 女の子を捕まえてなにをしているのかな」
「おいバイト、そんなことよりおれの店がぐちゃぐちゃな理由を聞きたいのだが」
軽蔑したような声が2つほど聞こえ、ユエフーとパルテが店先に顔を出した。ユエフーの隣にはタヌキもいたが、魔法使いの子狸は白く細長い牙を手に持って無言だ。
「パルテ、他の連中もどうしてここに……」
「爆発音が聞こえたからな。じいさんやユエフーは危ないから行くなって言ったけど、おれの店を壊されちゃたまらねえ」
パルテはノールの手元を見やった。
「実際、駆けつけたら大切なお宝が路地の片隅に転がってたし」
パルテたち3人は店に入ってきて、外から大人の声が聞こえる。
「皆様、どうかお休みください。ええ、わたしの孫が経営する店に強盗が入りまして、護衛が撃退しただけでして……」
「そうだ、寝ろよお前ら。眠れねえならオレが刀で永久に眠らせてやるぞ」
エプノメじいさんとリドウスさんが少し遅れて店に入り、女騎士ニョキシーはいよいよ不安そうな顔で俺たちを見つめた。
「くっ、わたしをどうするつもりですか、悪魔どもめ……!」
「それじゃ首尾よく勝ったらしいな、バイト。さすがだぜ」
店長が子犬を無視して俺に聞いた。
「あんまり自慢できないな。4人いたうち3人は逃がしたし……ロボってわかるか? レテアリタの言葉で言うとゴーレムみたいなモノなんだけど……強盗のうち一体はロボだった」
「ろぼ? なんだそりゃ」
自分の体を好きにしろとわめく少女に困惑していたボクはほっとして店長に答えた。パルテもパルテで面倒な奴ではあるが、子犬に比べたらずっと話しやすい。
「まあ、ロボはともかく、この子犬がリドウスさんから竜皮を盗んだ犯人だ。こいつがニョキシーで間違いない……ですよね、リドウスさん?」
ハゲで眼帯のリドウスさんが片目で怯える子犬の顔を睨み、大きく頷く。
〈——ラーナボルカ市の三本尾は“人狼探し”のクエストを達成しました。冒険のニケと叡智アクシノの名において、三本尾は最寄りのギルドで報酬を受取ることが可能です。また、仕立て屋パルテのスタッフは技術レベルが上昇しました。まず、店長のパルテは……〉
叡智の楚々とした声が俺たちの頭に響いた。リドウスさんが子犬に盗まれた竜皮はまだ戻っていないが、俺たちが引き受けたクエストは「犯人確保」であり、盗品の有無は関係ない。
この神託は、今頃どうせ爆睡中の三毛猫にも届いているだろう。
「職人たちのレベルが……? つか、おい、ニョキシーとかいうこの女、どうしておれの店の最高級品を着て……ユエフー! 大事な話があるから、来い!」
店長が鬼の形相で猛烈な説教を始めた。
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