上 下
59 / 158
第四章 大いなる冒険

イサウの娘

しおりを挟む

 女神ニケが街を創造してからの数時間は壮絶だった。

 無人の新市街に駆け込んだ村人たちは〈早いもの勝ち〉という神託の下、どこを自分の住居とするかで争い、ポコニャ区長は自宅の確保をパーティメンバーに任せて紛争の解決に奔走したのだが、一番やっかいだったのは、その仲間たちだった。

 怪盗の母は泥棒猫と一緒に街中を走ると海の見える海岸沿いのビルを一棟、丸々〈剣閃〉と命名し、住みたがる冒険者に決闘を挑んだ。

 村最強の斥候に勝てる冒険者は少なかったし、そんな怪盗とコンビを組んだ三毛猫に勝てるのはたぶん俺だけだ。

 ポコニャ区長は娘が区民を半殺しするのを止めさせ、激しく抗議する怪盗を濁流魔術で押し流すためにMPの大半を浪費した。

「酷いわポコニャ、仲間でしょ!? あんたっ……ギルマスになって変わっちまった……☆」
「ざけんにゃ怪盗! 悲劇のヒロインぶってんじゃねぇー!」
「にゃ。隙あり☆」
「ニャッ!? やめろミケ、おまえはあちしの娘だろ!?」

 ようやく騒ぎが収まる頃には夕方になっていて、ギルマスに激しく抵抗した〈剣閃の風〉のメンバーたちは、交渉のすえ、結局海沿いのビルの最上階だけを独占することになった。


 俺は最上階の一室から夕日の沈む海を見ていた。遠く水平線にツイウス王国が領土としている火山島が浮かんでいる。

 父さんやムサ、ラヴァさんは城壁を出て、周辺の森で内装に使う木材を集めに行っている。母と泥棒猫は別行動で、自宅に置く家具などを見るためラーナボルカ市の商店街に出かけている。

 ひとり佇む新居の部屋は、文字通り石造りの部屋というだけで、すべての部屋の入り口にはドアがなかったし、部屋には「窓」が用意されていたが、それは単なる穴でしかなく、鎧戸も窓ガラスも無かった。住居の外側だけは用意したから、細かい内装は自分たちでやれということらしい。

 そんな吹きさらしの部屋にあぐらをかき、俺はひとり、ぼんやりと夕日を眺めていた。

 やるべき仕事はある。窓が単なる穴でしかない新居を目にした俺は、鍛冶スキルで「窓ガラス」を作れるかもしれないと母に提案し、説明を受けた母は喜んだ。

『へえ、聞いた感じ木戸より何倍も良さそうね……新居にうってつけ☆』

 母さんは俺の計画を了承し、すぐに作れと命じ——俺はひとりで部屋に残って、仕事をサボっていた。

 別に窓ガラスが要らないわけじゃない。今日からこの部屋に住む以上、窓ガラスは今すぐ欲しかったし、海辺の砂でもかき集めて〈火炎〉で溶かし、制作するつもりでいた。


 メールが届いていた。


 ホーム画面の手紙アプリに赤いバッジが付いていて、白抜きの「1」が「早く読め」と主張していた。

 送り主はひとりに決まっているし、ニケが「神々の御業」として街を作っている最中に、こっそり邪神が送りつけたのだろう。

(嫌だなぁ……開けたくねえ)

 沈む夕日を見ながらそんなことを思っていると、脳内に叡智アクシノの声がした。

〈ふむ……おまえの予想通りそれは星辰様からの新しいクエストだが、開封することをオススメするぞ? 賭けても良いが、おまえは内容に奮起するはずだ〉
(……はあ?)

 賭けるって、女神がヒトを相手になにを賭けるのさ。負けたら全裸を見せてくれるとか? だけど叡智さんの双丘ったら歌の半分も無い残念な体積で……。

〈殺すぞ〉

 すみません。

 母が確保した俺の家には玄関ドアすら無く、5階の廊下から新米区長の疲れた声が聞こえた。

「——おいカッシェ、どこにゃ。どの部屋にゃ? 『窓ガラス』ってのは後にして、中央広場を手伝ってくれにゃいか? 生産職どもが広場で血みどろにゃ。あいつら冒険者でもねえくせに、みんにゃ自分の店はココに開くってうるせえ。元々この街にいたラーナボルカの商人どもまで新しい土地を確保しに来てやがる……」

 俺は覚悟してメールを開いた。瞬間、世界はぴたりと停止し、邪神からのうっぜえ手紙が目に入る。


〈よくやったぞ☆ 勇者・カオスシェイド()よッ! おまえの活躍により、憎きウユギワ・ダンジョンがわたしの星から消えたッ!〉

 手紙はお褒めの言葉から始まっていたが、死者の数を思うと嬉しくもなんともなかった。

〈しかし勇者の冒険は、まだまだ始まったばかりなのです☆〉

 ——ほほう、最終回っぽいアオリですな。そうしてくれて良いのだぜ?

 しかしまあ、ラーナボルカ市の「フェネ地区」は、ラーナボルカ市にある迷宮のすぐ近くだと聞いている。

 邪神はどうせ俺の家族を人質に「魔物Xを倒せ」だの「迷宮を撃破しろ」だのと命令するんだろうけどさ。


〈 ——14歳までに、英雄の娘を助け出せッ! 〉


 しかし邪神の新たなクエストは、これまでのものと毛色が違った。

〈——つい先日のことです。ドーフーシ帝国の英雄にしてSランク冒険者のイサウ・ユリンカは、邪帝アニザラに立ち向かい、大軍を撃破して「竜」すらも斬り倒し、レテアリタ皇帝を亡き者としました。
 しかし英雄はそこまででした。夥しい傷と竜の毒により、我ら神々が見守る前でイサウは地に伏せ、倒れてしまいます。
 死を目前にした英雄は、彼を最も愛していた剣神カヌストンに娘の救出を願いました〉

 文面には☆も♪も無く、ファレシラは真面目な調子で書いていて、

〈約6年前、イサウの娘は大陸でも名の知られた暗殺者マガウルに誘拐されていたのです〉

 突然出てきた「マグじい」に俺は面食らった。

〈ツイウス王国に雇われた暗殺者マガウルの使命は、こちらの世界で名の知られた人物の子を引き換えに、あちらの世界の「貴族」を手に入れることでした。要はこの星と「月」との人質の交換です。
 月の鬼族きぞくは、わたしの星のヒトを殺すだけで経験値を得ることができます。ツイウス王国の王家にとって、いくらでも用意できる奴隷を殺せばレベルの上がる月の住人は最高の手駒でした——生きた兵器と言い換えても良いでしょう〉

 鬼族というのが誰のことを言っているのかは明らかだ。

〈そしてそれは、イサウの娘にしても同様です。あの子は月の奴隷を殺すだけでレベルが上がりますから、幼い頃から教育せんのうすれば、生きる兵器として月の忠実な武器になることでしょう!
 そして殺人鬼マガウルは優秀でした。彼はイサウの娘と〈月〉の鬼族きぞくを交換してみせ、ツイウス王国はフィウを手に入れたし、イサウは娘を〈月〉に奪われました。
 彼は娘の奪還と復習に燃えて戦いましたが、しかし、先述の通り月の眷属を前に倒れました。英雄は神々に娘の救助を頼んで亡くなり、我らは勇者の偉業を讃え、その願いを聞き入れたのです〉

 メール画面はそこで一旦切れていて、俺は〈NEXT〉ボタンを押した。

〈さて、ここであなたもよく知る「シュコニ」が登場します〉

 急に出てきた「シュコニ」の名前に俺は目を見開いた。

〈実はシュコニは、フィウのメイドとして働いていました。極大魔法の〈鑑定〉によりアクシノがすべてを見抜いていますから、メイドのお姉さんの詳しい人生については叡智に聞くと良いでしょう。
 彼女はとある理由から「迷宮殺し」を夢に見ていて、同時に、フィウを月まで送り返してあげたいと強く願っていました。
 冒険の女神ニケはシュコニの命と引き換えに〈大冒険〉を発動し、迷宮殺しを叶えてあげましたが、しかし、お姉さんに加護を与えていたニケも愉快ムリアフバも、フィウの帰還については手出しができませんでした。

 その理由は、フィウを月まで送る対価に「イサウの娘」が必要だからです。

 神たる「首吊りの木」がフィウの輸送を拒否したのを覚えているでしょう?
 フィウは生きてる兵器ですから、あの子鬼はわたしの星の脅威になり得ます。フィウはわたしの星にいるほうが〈月〉にとっては有利になるのです。
 だからあの草はマガウルの願いを断りました。この星の脅威たるフィウを〈月〉に返すには、月にとって同じくらい脅威になる人材と交換じゃなきゃダメ——つまり、イサウの娘です。

 面倒ですが、それが我ら神々のルールであり、この世界はそうやって均衡を保っているのです〉

 続いて「クエスト受託」のボタンがあった。例によって俺に拒否権は無いようだが……。

〈てことで、クエストです☆ シュコニの果たせなかった夢を叶えてあげるため、まずは英雄イサウの娘を発見してください。
 この7年でわたしもカオス()さんがどんな人間かわかってきたつもりです。

 あなたは、恩を仇で返せる人じゃない。

 常に安全マージンを取り、幼いあなたと三毛猫を最下層まで導いてくれた先輩冒険者に恩返しするチャンスです☆ それともシュコニなんざ忘れて、のんびり窓ガラスを作ります?
 ……クエスト拒否のボタンは必要ですか?〉

 見透かしたような文面に腹が立ったが、手紙にも書いてあるように、アクシノは極大魔法の鑑定でシュコニの人生をすべて知っていて……眷属の俺は、よせば良いのに色々なことを知ってしまっていた。

 邪神からの手紙は、完全に俺が引き受ける前提でもうしばらく続いていた。

〈クエスト攻略のためのヒントを与えておきましょう。叡智アクシノが集めた情報によると、イサウの娘「ニョキシー」は母親と同じ狼系の子犬ワンちゃんで、「全身鎧の女騎士おんなきし」として月の貴族に育てられています。それとわかるのも、この世界に月の眷属が居るように、向こうにも我々のスパイがいるからです。
 冗談みたいな名前を持つ女騎士ニョキシーは月の貴族たちから着実に洗脳きょういくされ、最近は、巨大迷宮ノモヒノジアに月側から侵入して鍛錬を積んでいるとか……☆ そうです、カオス()さんたちが引っ越したラーナボルカ市にあるノモヒノジア迷宮のことです!

 ですから、あなたもノモヒノジアを攻略してください。ちなみにボスやマスターは無視で良いです。混沌の影()の実力じゃまだ勝てませんし、わたしも来年からしばらくは休暇の予定ですから、わが眷属にばかり重労働クエストを強いたりはしません☆

 そして、そうしてカオスさんも迷宮を攻略していれば、ワンチャン☆ニョキシーに出会えることがあるかもしれません。あるいはぶっちゃけ、会えないかもしれません♪

 曖昧ですが、イサウの娘について我々が知っていることは、実は現時点ではこの程度だけなのなのです。スパイの数はごく僅かですし、どうやら子犬には生まれつき鑑定を跳ね返すスキルがあるようで、我々は、英雄の娘ニョキシーについてほとんどなにも知りません。

 どうします?

 先輩冒険者の遺志を継ぎ、月に囚われた英雄の娘を助け出し、誘拐されてる月のお姫様を家に返してあげる……☆

 囚われの姫の救出です! まさに勇者の振る舞いです☆ お望み通りの“王道テンプレ”でしょう?

 引き受けますよね。そもそもあなたに拒否権を与えるつもりはありませんから、14歳までに英雄の娘を月から助けなさい。

 ——ああそうだ、報酬が欲しいです? しくじったらカオス()さんは天罰でぬっ殺されますが、その代わり、今引き受けるなら2点ものSPをあげちゃいますぞ♪〉


  ◇


 時間の流れが元に戻ると廊下の向こうからポコニャ区長の声が聞こえた。

「おいカッシェ、お小遣いあげるぞ? さっき伯爵に聞いたのだが、ギルマスと区長を兼務するあちしの給料は莫大にゃ☆ 得意にしてる癇癪玉で商人どもを軽く炙ってくれるだけで良いのだが……どの部屋にゃ? この街は広すぎる……」

 夕日が差し込む窓ガラスの無い窓から海風が部屋に吹き込んだ。

 ——まあ、焦っても仕方ねえよな。まずは住む場所を整備しなくちゃ。

〈レテアリタ帝国ラーナボルカ市フェトチネ地区のカオスシェイド()は、新たなクエストを了承しました——〉

 叡智アクシノの怜悧な声が脳内に響いた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

愛しのお姉様(悪役令嬢)を守る為、ぽっちゃり双子は暗躍する

清澄 セイ
ファンタジー
エトワナ公爵家に生を受けたぽっちゃり双子のケイティベルとルシフォードは、八つ歳の離れた姉・リリアンナのことが大嫌い、というよりも怖くて仕方がなかった。悪役令嬢と言われ、両親からも周囲からも愛情をもらえず、彼女は常にひとりぼっち。溢れんばかりの愛情に包まれて育った双子とは、天と地の差があった。 たった十歳でその生を終えることとなった二人は、死の直前リリアンナが自分達を助けようと命を投げ出した瞬間を目にする。 神の気まぐれにより時を逆行した二人は、今度は姉を好きになり協力して三人で生き残ろうと決意する。 悪役令嬢で嫌われ者のリリアンナを人気者にすべく、愛らしいぽっちゃりボディを武器に、二人で力を合わせて暗躍するのだった。

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた

八又ナガト
ファンタジー
名作恋愛アクションRPG『剣と魔法のシンフォニア』 俺はある日突然、ゲームに登場する悪役貴族、レスト・アルビオンとして転生してしまう。 レストはゲーム中盤で主人公たちに倒され、最期は哀れな死に様を遂げることが決まっている悪役だった。 「まさかよりにもよって、死亡フラグしかない悪役キャラに転生するとは……だが、このまま何もできず殺されるのは御免だ!」 レストの持つスキル【テイム】に特別な力が秘められていることを知っていた俺は、その力を使えば死亡フラグを退けられるのではないかと考えた。 それから俺は前世の知識を総動員し、独自の鍛錬法で【テイム】の力を引き出していく。 「こうして着実に力をつけていけば、ゲームで決められた最期は迎えずに済むはず……いや、もしかしたら最強の座だって狙えるんじゃないか?」 狙いは成功し、俺は驚くべき程の速度で力を身に着けていく。 その結果、やがて俺はラスボスをも超える世界最強の力を獲得し、周囲にはなぜかゲームのメインヒロイン達まで集まってきてしまうのだった―― 別サイトでも投稿しております。

そろそろ寿命なはずなのに、世界がじじいを離さない

ファンタジー
妻に先立たれ、酒を浴びる毎日を送り余生を楽しんでいた岡村鉄次郎70歳は、愛刀の鉄佳を月に照らした瞬間異世界に転移してしまう。 偶然ゴブリンキングから助けた皇女シルアに国を立て直すよう頼まれ、第二の人生を異世界で送ることに。 肝臓が悲鳴を上げ寿命が尽きると思っていたのに、愛刀を持てば若返り、自衛隊上がりの肉体はちょっとやそっとの魔物くらい素手でワンパン。あくまで余生を楽しむスローライフを希望するじじいの元にばばあが現れて……? 俺TUEEE改めじじいTUEEE物語が今始まる。 強いじじいと強いばばあ好きな方は是非宜しくお願いします!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【続編完結】侯爵令嬢は今日もにこやかに断罪する

ミアキス
ファンタジー
侯爵令嬢アディエル・ノクタールは二年前のとある出来事から巷では『断罪令嬢』と呼ばれている。 第一王子からアディエルへの断罪劇を、第一王子への断罪劇へと転換し、完膚なきまでに第一王子を断罪したからである。 その後、彼女の鮮やかな断罪っぷりに感銘を受けた者達に請われ、次々と不埒な者達を断罪していく姿に、『断罪令嬢』という二つ名ーー世間では好意的な意味でーーが広まった。 そして、今日も彼女は相談相手のために、にこやかな笑顔を浮かべて断罪していくーー。 ※本編は完結済。 以降は番外編を登場人物一人を焦点に公開しております。 別公開の【後日談】も良ければお読みください。

処理中です...