マジで普通の異世界転生 〜転生モノの王道を外れたら即死w〜

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第二章 地響きの前夜

月夜の蜂と森を征く女

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 草むらの合間、ほんの五メートル先に「巣」が見えている。大木の枝にぶら下がった巣はスズメバチのそれに似た形だが、サイズはお寺の鐘のように大きい。

 改めて秘匿スキルを発動中の母・ナサティヤが張り詰めた声を出した。

「今から私は後衛に回るけど——覚えておきなさい、蜂は焼き殺すに限るわ。合図をしたらミケはレイピアを振り回して巣をつつく。蜂蜜が目的だから巣を破壊しちゃダメよ? で、軽く小突いたら蜂が出てくるから、カッシェが〈火炎〉で焼き尽くす。ミケは攻撃を当てようとしちゃダメ。どうせ当たらないからすぐに退避」
「にゃ」

 秘匿スキルの無い俺は無言で首肯し、ステータス画面の〈無詠唱〉に目線を動かした。カーソルを持っていき、クリックして〈鍛冶〉を〈火炎〉に入れ替える。火炎はレベル4だが無詠唱が3のため、念じて出せるのはレベル3までの火だ。

「蜂は猛毒を持ってるけど、毒を受けても慌てたらだめ。癒快ゆかい持ちの私がすぐに治す。でも詠唱には時間がかかるから——血を吐くでしょうけど耐えなさい。それに、自分で言うのもアレだけど、なにがあっても私を最優先で守りなさい。みんなが生き残るにはそうするしかない」

 俺たちの返事を待たずに母は指を三本立てた。

「カッシェ、〈教師〉でミケに〈鑑定〉を。自分も常に〈鑑定〉しながら、巣に残ってる成虫の数を私たちに報告しなさい。難しいかもしれないけど、それが鑑定持ちの役目よ。ポコニャはあんたよりレベルが下だけど、戦闘中は敵から絶対に目を離さないし、鑑定を続ける」

 指を一本折った。

「ミケは前衛として、常にカッシェの詠唱を意識すること。火炎が来るまでは蜂をおびき出す。火炎が来ると思ったら退避よ。同士討ちになるから、あんたが退避するまで火炎は撃てないし——退避を知らない間抜けな前衛は冒険者になれない」

 指をまた折る。

「最後に巣から女王が出てくるだろうけど、それは私に任せなさい。不意打ちじゃなきゃあんな雑魚ワンパンよ」

 母はすべての指を折り、

「行け」

 ——合図で、俺たちは動き出した。


「にゃ、鑑定! ——アクシノ様、どうか『連打』を!」

 無詠唱の無いミケが「鑑定」を詠唱すると同時に、背後の母も「癒快の神よ……」と解毒の準備を始めた。

 ミケがレイピアで巣を突き、小さな穴を開ける。蜜が垂れた。すぐに大量のツキヨ蜂が飛び出してきて、ミケがバックステップを決める。俺は火炎Lv3の攻撃魔法を念じた。

〈——火炎魔術:癇癪玉——〉

 空中に突如として黒い小石が現れ、砕けて粉を撒き散らし、引火して爆発を起こした。火系魔法はこうやって「燃えるもの」を伴うのが特徴で、魔術師たちはそれを「燃素ねんそ」と呼んでいる。

 数十匹ものツキヨ蜂が粉塵爆発に包まれ、火が消えると三毛猫が剣を突き出し、再び蜂をおびき出した。

「上手よ、その調子!」

 母さんが褒めたが、良い流れはそこまでだった。

 俺が魔法を使ったせいで秘匿スキルが切れたらしい。蜂どもは二手に分かれてミケと俺を同時に襲い、全方位を蜂に囲まれた俺たちはそれぞれHPを消費してしまった。絶対防御で針を折られた数匹の蜂が死んだが、

「くっそ……!」

〈——火炎魔術:癇癪玉——〉〈——火炎魔術:癇癪玉——〉
〈——火炎魔術:癇癪玉——〉〈——火炎魔術:癇癪玉——〉

 俺は自分に無詠唱の爆撃を連打した。青い壁が出現している間、俺の魔法は俺自身を焼かない。HPと引き換えに数百匹は巻き添えにしたあと、叡智の助言に従って回避行動を取る。

〈——冒険術:冒険——〉

 ミケも本気になったみたいだ。青白いHPの壁に守られながらゆらりと立ち上がった三毛猫は、直後に目で追えない速度でレイピアを振り回し、周囲を飛んでいる蜂を一撃で数十匹ずつ落とした。

 蜂は一切反撃できない。ステータスを三倍に増やした子猫は叡智の助言に完璧に従い、数百匹はいる蜂の猛攻を回避している。俺の方もアクシの指示でレベル4の中2じみた呪文を(恥辱に耐えながら)詠唱し、

〈猫が飛ぶ、撃て〉
「炎よ、敵を包んで焼き尽くせ!」

〈——火炎魔術:四重の火炎獄テトラプリズン——〉

 四面体の黒い檻が鉢を囲んだ。直前、ミケは足元の地面を割りながらジャンプしていて、発火した檻の中で蜂だけが丸焼きにされる。

「あれ……私の回復、必要ない……?」

 背後から母の呆れた声がし、叡智の預言が脳内に響いた。

〈勝ったな。出てきたぞ〉

 蜂どもがほぼ焼き尽くされると、巣から一回り大きな蜂が飛び出してきた。女王だ。ミケが嬉しそうにレイピアを突き出し、女王は剣戟を回避した。

〈——飛翔技:緊急避難。追加効果で敏捷が倍化されます——〉

 その表示を見た瞬間、俺は叡智の女神に怒鳴った。

「——アクシノ、鑑定Lv9で!」

〈おいおい、女王はおまえの母が殺す作戦では?〉
(いいから! このままじゃミケに盗られる!)

 体が光り、MPがごそっと抜け落ちた。

〈この通りにナイフを振れ〉
(……そこにはなにも居ないぞ?)
〈嫌ならいいさ〉

 カーブした矢印が眼前に表示されたのだが、そのルート上には女王も、生き残った蜂すらもいない。しかし俺はアクシノを信じ、矢印に沿ってナイフを振った。

 すぐ近くではミケが女王をレイピアで突き刺していた。しかし女王は青白い光の泡になってレイピアをやり過ごし、俺が振っているナイフの軌道上に

「に゛ゃ!?」

 ミケのめちゃくちゃ悔しそうな声を聞きながら、俺は〈女王〉を一撃で切り伏せた。

「……ボスはもらったぜ、ミケ?」
「にゃ……!? ぬ……!」
「——ったく、作戦通りにしなさい! あんたたちよ! カッシェ、巣の鑑定はどうしたの!?」

 おっと、忘れてた。

「巣の中に成虫は無し、周りにはあと百二十六匹!」
「……にゃ! かくごだー、むしけらどもめー」

 俺とミケは生き残った働き蜂を殺し、しばらくすると、叡智の女神の神託があった。


  ◇


〈——ツキヨ蜂の巣を討伐しました。ミケのレベルが1、上昇しました。望剣スキルのレベルが上昇しました。カオスシェイド()は火炎スキルのレベルが上昇しました。火炎Lv5の呪文は、魔術師や魔導書、もしくは鑑定によって学習できます——〉

「あ、倒した。倒したから〈教師〉解除するぞ。さすがにMPがやべぇ。気絶しそう……」
「にゃにゃ……ちからがぬけていくー」

 ミケがわざとらしく倒れようとしたが、蜂の死骸だらけの地面を見て思いとどまった。

「倒したの? 私には叡智様の声が聞こえなかったけど……それに、まだ生き残りがいるんじゃない? いつもだと——」
「母さんは戦闘に参加した扱いにならなかったみたい。一応まだ森の各地で花の蜜を集めてる蜂が合計二百五十一匹いるけど、女王を討伐した時点で放っておけば七日以内に死ぬよ。どこに何匹いるかわかるけど、それも倒しに行くの?」
「……え? うそ、えぇ……」

 母はなぜか肩を落として首を振った。声がだんだん小さくなる。

「その情報、鑑定? そう……いつもだと生き残りを探して周辺の花を一、二時間は調べて歩くんだけど、あいつら殺さなくても死ぬの……? 知らなかったからこれまでずっと……それに、生き残りの場所までわかるとか……ポコニャの鑑定とは情報いりょくが違うわね。倒したあとが大変だと思ってたのに……」
「にゃ。カッシェの〈鑑定〉は強い。蜂百匹に囲まれても、言われた通りにしてれば平気……ミケだけでは勝てなかった」

 母が落ち込み、ミケが同意し——俺はハッとして「俺、またなんかやっちゃいました?」的なドヤ顔をしてみせた。こんなチャンスは村長と将棋して以来だ。

〈——ふふん、よかろう。叡智の女神の偉大さを示した褒美として、1SPをやる〉

 よっしゃ!

「にゃ? どしたのカッシェ……その子猫を挑発するような顔」
「なんでもない」

 ミケに睨まれた俺はすぐ真顔に戻り、ステータス画面のSPを確認した。ずっとゼロだったSP欄が1に変わっている。

(修行アプリが久しぶりに使える! 1年……いや、「女神の遊戯」の触れ込みで将棋を広めて、村長をドヤ顔で詰ませて以来だから、もう2年ぶりか? どれを修行しよう——やべえ、早く家に帰って検討したい……!)

 修行の二文字を連呼しているが、俺は別に武闘派になったわけじゃない。ミニゲームに勝利するとレベル3までのスキルを与えてくれる修行アプリは、娯楽と無縁の寒村に生まれた俺の数少ない息抜きになっていた。

 特に印地の修行は良かった。迫りくるゾンビを撃ち殺していくFPSで、クリアすると遊べなくなるため、俺は長らくわざと負け続けた。

 新しいゲームで遊ぶためにSPが欲しくてたまらなかったが、このポイントは俺に加護を与えている女神らの気まぐれでしかもらえない。

「さて……じゃあ蜂蜜を回収しましょうか。カッシェの倉庫には入り切らないから、袋に担いで歩くわよ。ギルドに半分売ったらお昼ご飯ね」
「にゃ。蜂蜜はおいし。ミケはマドレーヌを所望。たっぷりかけて食べるとおいし」

 インベントリから革袋を出すと、母は〈解体〉持ちのミケに蜂蜜を無駄にしない巣のバラしかたを教え始めた。母は俺にも解説したが、俺は生返事を返すのがやっとだ。

 火炎がレベル5にアップしたのも嬉しいね。

 ゼロ歳のうちに修行アプリで火炎を手に入れた俺は、麹を作ったり料理に使ったり、〈鍛冶〉が使えるようになってからは毎夜、母にもらったナイフやを鍛えるために活用して来たのだが、それでようやくレベル4になったのが昨日だった。

 スキルレベルは魔物を相手に実戦で使うと上がりやすい。なぜなら、スキルは魔物に立ち向かうため偉大なる()神々が人に与えている能力だからだ。

 日常生活に使うだけではほとんど上昇しない。毎日包丁を振るい、魔物の肉を料理することで〈小刀〉はレベル9カンストしたが、その派生系たる細剣術は料理に使えず、ミケと二年も戦っているのにLv2がやっとだ。

 鍛冶などの補助スキルもそれは同様で、単に武器や防具を鍛えただけではレベルが上がらず、鍛えた武器を、誰かが魔物を殺すために使った時だけ〈鍛冶〉のレベルが上昇する。だから、例えば腕の良い鍛冶屋は腕の良い冒険者に格安で武器を売る。自分の武器で冒険者が魔物を殺してくれるほど自分の腕に神様の加護が与えられるからだ。

 俺はSPと火炎に夢中で、母と子猫は蜂蜜に夢中だった。


 ——そのせいだろう。斥候職の母が突然「——誰!?」と叫ぶまで、俺たちはそいつの気配に気づかなかった。


 苔むした深い森を、こちらにゆったりと歩いて来る女性がいた。

「カッシェ、鑑定!」
「鑑定——え?」

〈無駄だよカオス——鑑定は拒否されました(笑)——でもMPはいただくぞ〉

 アクシノが妙なことを言う。

 美しい女だった。たなびく髪は赤く、瞳もまた燃えるように赤い。古代ギリシャ風の白い服には赤と金の糸で刺繍が施されていて、俺が鑑定できないと伝えると母は真顔になった。

「……どちら様かしら? 武器も無いし、鎧も着てないみたいだけど……鑑定対策してるだなんて、名前を隠さなきゃいけない事情でもあるのかしら」

 母はナイフを抜き、その真剣な表情にようやく俺も理解が追いついた。

 若い女性が武器・防具も無しに蜂が出るような森にいる。相当の実力者でなければそんなことはできないはずだし、鑑定が無効だ。例えば、仮にあの女が指名手配中の強盗犯だった場合、名前を隠すだろうけど……!?

 母さんは俺たちをかばうように前に出た。しかし、そんな挺身を一匹の子猫が裏切る。

「ミケ、ダメ! そいつ怪しいわ!」
「にゃ……!?」

 ミケが母の警告を無視し、赤毛の女に走って行こうとしていた。母は混乱しつつもミケのしっぽを掴み、三毛猫がにゃーにゃー言って嫌がる。

〈……ふむ。まあ、おまえは鑑定のLv9だし、特別に教えてやるか……〉

 脳内に声が響き、叡智アクシノが突然方針を変える。

(はあ? 教えてくれるのか)
〈面倒なのがでしゃばって来たぞ。化けて出た理由はいくつかあるだろうが、ワタシがおまえにSPを与えたのが気に食わなかった——おそらくそれが最大の理由さ〉

 赤毛の美しい女性が口を開いた。

「おお、わたしの勇猛なる眷属、ミケよ……暇だったからちょっと来てみた(笑)」
「にゃにゃー! ニケさまー☆」

 三毛猫は母の制止を振り切り、〈冒険の女神・ニケ〉に抱きついた。


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