貴方のお嫁さんにはなりません!!!このばかぁ

白藍たんぽっぽ

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愛する人との生活

私の力不足のせいで

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 雫が気遣いで部屋を出ていったあと、僕とお母さんはしばらく無言で過ごしていた。僕が人見知りして目を逸らしてしまうのにお母さんは嬉しそうに微笑んで愛おしそうにするだけ
 そんな風に見られては緊張してしまうしどうすればいいのかわかんないっ!
 でも僕もいい歳した大人なので頑張って話すことにした。雫も僕なら大丈夫って言ってくれたし


「お母さん、、、ぁ、僕、ごめんなさいっ、、、そのお母さんって呼んでもいい?」

「っ!も、もちろんよ!謝らないで、、、こんな私をお母さんって呼んでくれるだけでとても嬉しいわ」

「ほ、ほんと?えへへ」


 僕は勝手にお母さんと呼んでいることに気づいて反射的に謝ってしまった。それを嬉しいから呼んでほしいって言って貰えたのが嬉しくなる。
 僕の話したいこと、、、はたくさんあるようで思いつかない。けど、僕は会いたかったことは伝えたかった


「あの、ね、、、僕、お母さんに会いたかった。もしお母さんに新しい家族がいなくて、僕のことも忘れてなくて、、、僕に、会いたいって思ってもらえたら会いたいって、、、雫に言ってたんだ」

「、、、っあ、私!舞白のこと、忘れたことなんて一日たりともないわ!、、、ただ、私に会う資格がない、、、と思って」


 お母さんは僕の話を聴き終わった後にもう我慢出来ない、という風に強めに僕に言い放った。けど、やっぱり最後の方は悲しそうな声になってしまう


「会う資格がないって、、、?」

「っ、、、お父さんが死んでしまった後、向こうの親族たちが私たちの築き上げた会社と資産を奪おうとしたの、、、それで──」



 お母さんの話を要約すると、お父さんの家族たちが大きくなった会社を自分のものにしようといろいろ仕掛けてきたらしい。それに対処して馬車馬のように自分のキャパを超えて働いてしまい、倒れてしまった
 その後、お母さんの右腕秘書から聞いた話では、その親族。お父さんのお母さん。つまり僕の祖母にあたる人が僕を勝手に施設に預けてしまったらしい。その施設を経営するのはその方たちで取り戻すことも難しかったそう
 そんな、勝手に預けるなんてできるんだろうか、、、なんて疑問も実はお父さんの家がお金持ちというのを察し、お金を握らせたのかな、と推測する

 
 お母さんはそれだったら、お前の会社潰してやらぁっ!ってことで実際に潰して自分の会社に取り込んだと、、、数年越しに僕を迎えに施設に行けば、僕は家出をして行方が分からないままになっていたと
 まぁ、そこから僕の酷い扱いとかを聞いていた上にいざ会いに行けば僕が家出をしたから、こんな酷い親、嫌われて当然の親失格。会う資格が無いと思ったらしい


 僕は自分のネガティブは親譲りかもしれないと、どうでもいい考えとともに


「でも、会いに来てくれた」


 その事が嬉しくてそういえば、お母さんはずっと俯いていた顔をあげて驚いていた


 
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