貴方のお嫁さんにはなりません!!!このばかぁ

白藍たんぽっぽ

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愛する人との生活

恐かった

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 誰?!あの人、誰っなんでリビングにいたの?てか、どうやって家に入ったの?!
 僕は雫が帰ってくるのを今か今かと待ち続けていた。玄関の扉をガチャガチャしたり雫と叫んでみたけど、扉は開かなかった


「あら、落ち着いて、大丈夫だから」

「っ?!、、、、ぁ、っ!!」


 知らない人が、傍まで来た!?あぁ、そういえば僕、大きい声で雫って叫んでいた。僕のバカ、アホ!
 今もまだ、何かを僕に語りかける美人な人。その人の声は頭に入ってこない。だって、恐怖を押し殺し現実逃避をしているから


 部屋に入った時いつもとは違う匂いがしてたな、とか。でも久しぶりに家に帰るとこんな匂いだっけ?って思うからそれと同じだと思って、とか。変に思ったら雫に聞けば良かったのに、とか。
 僕は後悔の嵐で俯いていき、前を向いていなかった


「もう、我慢できないっ。本当にごめんなさい!私は貴方のこと、捨てたわけじゃないのよっ」


 そう知らない人の動向をちゃんと見ていなかった。言葉を理解する前に僕を抱きしめてくる知らない人
 あ、僕、ころされちゃう。せっかく雫と新婚さんなのに、幸せになれた、のに、、、雫との赤ちゃんだって、育てたかった、、、っ


「ふぅ、、すんっ、ひっく、、、うえぇええん!ひぐっ、しずく、ごめっ、、、ぼく、、、うぁああぁあん、し ず ぐぅ、ごめんねぇえ」

「っ?!ちょ、どうしたの?どこか痛むの?」


 死ぬのが怖くて泣きわめく。大好きな雫にもう会えないことも悲しいし、最後に雫を一目みたかった


「ご、ころさ、ないで、、、ひっく、、、うぅ、おねがい、しますっ、、、しにたくなっ」

「殺さないわよ?!どうしてそうなるの?!」


 殺さないでと希望をかけてお願いするとなんと殺さないでいてくれるらしい。その言葉にほんの少しだけ落ち着くと、後ろの扉がガチャっと音を立てて空いた
 新たな刺激に驚いて僕の涙は止まる


「舞白っ大丈夫?!、、、っはぁ!?俺の舞白を離して」


 僕の大好きな雫が来てくれた。姿を見るだけでもう大丈夫だって思えた。知らない人は僕を抱きしめるのをやめて二、三歩、後ろに下がる
 知らない人に離された瞬間僕は雫の方へ駆け寄る。雫は僕を受け止めて抱き寄せ、強く腕の中に閉じ込めた。安心から止まっていた涙も頬を流れ雫の服に染みを作っていった


「どうして、ここにいるんですか?会いに行かないとか、言っていた癖に。警察呼びますよ?」

「会いたくなったから仕方ないじゃない。それに会いたがってるって、言ってきたのはそっちでしょ?」

 僕の分からない話をする雫と女の人。一触即発な雰囲気を止めたのは荷物を持って玄関まで来た学さんだった。


 
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