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旦那さん(正式)との生活
発情期のお世話は全て
しおりを挟む呼ばれるまで寂しいけれど大人しくしていようと思い、ベッドの真ん中に雫の服たちを戻す。形を整えたらそこに飛び込んで寝転び、自分の体に服をかけて雫の匂いに包まれればハグをされているような感覚になっていた。
「、、、、、」
天井を見つめながら、雫の料理を作る音を聞く。もちろん記憶になくても雫に抱かれた身体は疲労と痛みを訴えていた。僕は昨日のことを思い出しながら無意識にお腹を撫でた。
「できる、かな、、、」
愛の結晶と言われる子ども。もちろん望んだことだし覚悟も決めてある。だけど、今回でできるとは限らないのに子育てに不安になっていた。その分だけ会えることも楽しみにしていた
天井から扉が見えるよう体の向きを変えて見えないけれど向こうにいる雫を見る。それからお腹を撫でながらいつか会う子に
「絶対幸せにするからね」
一人っきりの部屋でそう静かに伝えたのだった。
─────────────
コンコンと音が鳴ったあと雫が僕を呼ぶ声が聞こえる。返事をして部屋に入ってくるのを待つも雫は全然、部屋に来なかった
疑問に思っていると雫は不安そうな声で僕の機嫌をうかがう
「舞白~?どうして出てこないの?」
「、、、、、、入ってこない、の?」
「え、入っていいの?」
「うん」
そうやり取りした後に雫はそ~っと入って来る。言葉から伝わった不安は顔にはなくて、なんなら笑顔だった
「どうして入ってこなかったの?」
腕を広げて抱き上げてもらうのを待っていると雫はそれに応えてくれる
「だってここ舞白の部屋だよ?まだぽやぽやしてるの?可愛い」
ちゅっちゅと額や頬、頭、耳などにしながらそう話す。僕は雫が入れない部屋だからっていう理由があるのは分かっていたけど、ここで巣作りして愛し合ったのだから何を今更、部屋に入るのを躊躇うことがあるんだろ?って思って聞いただけなのに
リビングまで来たらいつも食べるテーブルの方ではなくソファーの前にあるローテブルの方に料理が並んであった
「おいしそうっ」
「うん、舞白が食べるものだからね」
昔から雫は発情期中は僕のお世話を全てすることに命を懸けていた。どうして命を懸けているのかと言うと、初めて雫と過ごした発情期、僕が一人でトイレに行こうとベッドから降りた時に力が入らずそのまま落ちて顔に怪我をしてしまったのが始まりだった。
あの時、雫は顔を青ざめてこれからは俺がお世話をする!、、、そう宣言した
それから申し訳なくて一人でしようとする僕にお世話する側の雫が死にそうな顔で必死にお願してきた。僕は引い、、、、てはないよ?ちょっと押されて流されるままお世話をしてもらってたらいつの間にか雫の中でイチャつき甘えさせ可愛がり放題の時間だと認識されるようになった
「雫、これたべたい」
「はい舞白、あ~ん」
「あ~」
だから今も雫の膝の上に座って雛のようにご飯を食べさせてもらっているんだ
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