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旦那さん(正式)との生活
高級レストラン
しおりを挟む僕が雫に連れてこられた場所は入口にシャンデリアが輝き、通路を彩る絵画や花瓶などが僕たちは高いよ?高級品だよ?と主張してくるところだった。
そうここは高級レストランらしい。イケおじなスタッフの方が案内をしてくれる。僕には馴染みのない空気感でお上品なお姉様お兄様方が沢山いる場所に出た。あぁ、僕場違いだよぉ。
何故、僕が苦手とする人や場所やその他様々なものを鍋に詰め込んだような所に突然連れてこられたんだろう。あれ?何か雫を怒らすようなこと僕したかな。あ、もしかして朝ごはん作って貰ったの怒ってる?ごめんね雫。謝るから帰ろう、無理かな
「ほら、舞白こっちだよ」
僕が緊張しているのに今、気づいたらしい雫。
「大丈夫だからね舞白」
何が大丈夫なんだろ。慣れない場所の恐怖で震えそうな僕が見えないのかっ!インドア派の陰キャだからこんなキラキラした所、早く立ち去って帰りたい。
それが出来ないのは目の前で楽しそうに微笑む僕の大好きで愛おしい人のせい。
「うん、ごめんね雫」
「どうして謝るの?」
雫に繋がれてる手を弱い力で引くと止まってくれてイケおじを目配せで下がらせる。あぁ、そのやり取りだって僕には馴染みがない。僕は席に着く前に思い切って雫に言うことにしたんだ。
「僕、ここ落ち着かなくて、、、」
「うん」
雫は僕が話してくれるのを待ってくれて、ずっと僕に俺にならなんでも言ってよ、そう言ってくれた、から
「、、、っ、ぅ、ぁの、、、落ち着かない、から、、、帰りたい、ごめん」
「ふふふ、なんだぁ。舞白、俺を誰だと思ってるの?安心して」
だんだん悲しくなってきて眼に涙を溜めているとそっと拭ってくれる。雫を見ると微笑まれてエスコートされるまま奥の廊下へと進む。もちろん僕たち高いよ絵画達もいる。
「俺のハニーお先にどうぞ」
「、、、、っ」
雫が開けてくれたドアの中に入ると、そこは個室で綺麗な夜景が広がっていた。
「きれい」
「でしょ?それに舞白が落ち着く場所」
確かにさっきよりも落ち着く場所で僕はやっと肩の荷が降りたのだった。
───────────────
雫に話を聞けばたまには外に出て美味しいご飯を食べて綺麗な景色を一緒に楽しみたかったらしい。そっかなるほど
「ありがとうね、雫。でもね、来る前に、いや一週間くらい前に言って欲しかった。心の準備期間が欲しかった」
「俺は舞白が大好きだから分かるけど、絶対に体調くずしちゃうよ。不安とかのストレスで。だから内緒にしてた」
「帰ったらくずすよ」
「ふふふ、舞白は急に連れてくると体調崩さないよ。不思議だよね~可愛いからいいけど」
そうなの?僕って急に連れてこられると崩さないんだ。僕のことなのに知らなかった。
「だけど、短時間かつ個室とかじゃないとくずしちゃう」
「そうなんだ」
「そうだよ~」
雫は僕以上に僕のことを知っていて少し恐怖を感じてしまい背筋に悪寒が走ったのだった。
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