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貴方の帰りをどれだけ待ち望んでいたのか
これからのこと
しおりを挟む俺の親代わりでもある、執事の学さん。この人が舞白さんを連れて来てくれたんだろう。お腹にある幸せの重みに視線を移せば、腫れた瞼と泣いた跡が白い肌にくっきりと残っていた。
その事に悔しさを覚えても意味の無いことだと考え直す。
「学さん、今何日?」
「今は7月2日でございます」
記憶がある僕の日付は5月中旬。
「約一ヶ月半か、、、、、」
その時、俺はある可能性に気づいた。舞白さんは記憶があるのか?見るからに俺の傍に居てくれてる。涙も最近のものだ。きっと大丈夫だ。だから、舞白さんが起きたらめいいっぱい甘やかして心配かけたことも謝らないと。舞白さんの苦しみに比べたら俺の傷なんて大したことない。だから大丈夫だ。
あぁ、それにしても
「ねぇ、あの運転手どうなった。ちゃんと捕まえたんだよね?」
「勿論でございます。お坊ちゃま。」
「そう、俺自身でボコりたかったけど、逃げられなかっただけマシか」
めっちゃ腹が立つけど。
すると、ノック音が部屋に響く。目配せで学に返事をしてもらい看護師が部屋に入ってきた。いつの間にか俺が起きたことを報告したんだろう。何年経っても衰えることなく現役のまま優秀な執事に感謝する。
俺は今後、リハビリをやって筋肉をつけないといけないらしい。あぁ、舞白さんのために鍛えた身体が無くなるだなんて、、、、舞白さんの為にまた前以上に鍛え直す、いい機会だな、なんてポジティブな考えで何とかショックな気持ちに気付かないふりをした
看護師が出て行った後に、幸せの重みがもぞもぞと動き始めた。目を擦りながら体を起こし伸びをする。あぁ、舞白さんは可愛いなぁ
「ふぁあ、、、、いつの間にか寝ちゃってた」
「、、、、、、、、、、、舞白さん、心配かけてごめんね。おはよう、でいいのかな?」
「、、、、、、、、、、、、、、、」
「、、、、、、、、、、、、、、」
「、、、、、僕まだ、夢の中みたい。」
「え?」
そう言って舞白さんはさっきと同じ体勢に勢い良く戻った。
「ふぐっ?!ま、ましろ、さん。嬉しいけど痛いです、、、、、、、、、、、」
「、、、、、、、、っ」
「あの?舞白さん?」
「、、、、、、、、、、、、」
え?舞白さん返事してくれない。もしかして俺を忘れた?いやさっき雫って呼んで、、、、ないな。どうしよう、嘘ほんとに
「舞白さん、俺のことわかり、ますか?っ」
「、、、、、、、、、、知らない、です」
俺の中に稲妻が走った。目の前は真っ暗、ではなく舞白さんみたく真っ白に染って、、、、
そのまま気絶した
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