貴方のお嫁さんにはなりません!!!このばかぁ

白藍たんぽっぽ

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貴方の帰りをどれだけ待ち望んでいたのか

見た目ほど酷くはないらしい

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 僕は昔、雫に忙しい父の代わりだったという執事さんに紹介された。この人にだけは会って欲しいと言われ付き合い始めの時に会った。その執事さんはその頃と見た目が変わらず元気そうだった。ただ、あの時と違うのは凄く慌てた様子でそれでも僕を気遣い言葉を選んでくれた。



 ───雫は事故にあった。
 僕は目の前が真っ暗になって執事さんの言葉は頭に入ってこなかった。その後、急いで執事さんと雫が運ばれたという病院へと車で向かった。高校の時なんて事故にあったことを噂で聞き駆けつければケロっとして見た目は元気そうで、、、、だけど、今回は手術も必要って執事さんから聞いて。
 どうせ噂だから事故にあったなんて嘘だ。なんて自分に言い聞かせることも出来ないまま不安を抱えて執事さんと雫の手術が終わるのを永遠の時を待っているような錯覚を覚えながら待ち続けた。



 出てきた雫は全身包帯でぐるぐるにされていて、部屋に運ばれた。僕は雫と一緒にいたかったので雫の病態などは代わりに執事さんが聞いてくれることになった。
 お医者さんには一命は取り留めたのでそこは安心して欲しいと言われ、やっと地に足が着いた心地がして安心する





 外はこんなにも明るく晴れているのに、目の前にいる雫は未だ眠っている。雫が経営している病院にたまたま運ばれたらしく部屋には雫だけ。その事に感謝しながらずっと僕は泣いていた。このまま起きなかったらどうしよ、時の変化に寂しさを覚えたけど雫がいなくなるのは話が違うじゃないか。嫌だ、雫。嫌だよ


「しずぐう、、、、うぐ、うぅあぁあんっ嫌だ、やだよぉ、死なないで、おねがぁい」


 ずっと泣いている僕に声をかけてきたのは執事さんだった。お医者さんによると雫はじきに目を覚まし、そのまま徐々に回復するだろうとの事だった。怪我も大きく見えるけど命に関わるほどでは無いらしい。それでも重症ではあるから回復するまでは入院が必要だそうだ。


 執事さんから話を聞いても涙は止まらなくてずっと泣いている僕を気遣って、飲み物を渡してくれた


「舞白様、水分をとらないと。こちらをどうぞ」

「あ、ありっがと、、、、ひっく、うぅ」


 お茶を飲んだら少しは落ち着いて涙は止まった。執事さんは僕にどうするか聞いてきた。帰るのか泊まるのかどうかを


「とま、れるの?」

「はい、ご希望でしたらご用意させて頂きます。こちらはお坊ちゃまがお持ちの病院です。お坊ちゃまの大切な方が言うのでしたらその様にします」

「じゃ、じゃあお願い、します」

「はい、かしこまりました。それでは失礼致します」



 そう言って執事さんは部屋を出ていった
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