貴方のお嫁さんにはなりません!!!このばかぁ

白藍たんぽっぽ

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貴方の帰りをどれだけ待ち望んでいたのか

知るはずのない情報

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 ということで僕は違和感の正体を掴むため、夜中になんとか雫の腕の中から脱出に成功しました。最近は、正確には恋人になってから雫は僕がトイレとかで起きると簡単に腕が解けるようになっていた。それだけ安心してくれたのだろう。
 本当に寝ているのか分からないのでここで一つ、雫にあることをします


「、、、、、、雫」ちゅ


 軽く雫の額へキスを送る。さっきと変わらずすやすやと寝ていることを見るに本当に夢の中らしい。起きていると雫なら絶対、反応をみせる。舞白さんっなんて言ってキスを返してくれる。
 僕は雫の柔らかいくせっ毛に指を絡ませながら撫でる。


「、、、ましろ、いかないで、、、、、、」


 雫はそう言って僕が撫でていた手を掴み、頬が歪むほど強く擦り寄ってきた。
 その行動に可愛いさと愛しさを感じ胸が痛いほどにときめく。それと同時にやっぱり確かめなければならないという確信。僕は後ろ髪を引かれつつも雫から離れた




 

 雫の仕事部屋へと足を踏み入れる。軽食を持って行ったり担当としての用事だったりで普段から入っているのに妙にドキドキするのはいけないことをしている気がするからだ。
 僕は雫の部屋に入って隅々まで荒らそうだなんて思ってない。じゃぁ、どうやって雫の過去を知るのか。それは───


「あ!あった」


 本棚の一番上、僕の身長でギリ届く棚のさらに奥。本を一つずつ順番に抜いて行けば現れる奥の棚に沿って棚の壁みたいになった本。これがお目当ての品。
 本棚の奥行と本のサイズを考えれば奥にまだ何かあるのは明白だけど、だれも不思議には思わないだろう。だって雫の読む本は英語びっしりの洋書が大半を占めている。分厚さも。
 椅子を使って奥にある知るはずのない記憶があるから分かるものを取る。その中身と僕の記憶が合っていれば正しいと証明されるもの


「、、、、、、っ、合ってる」


 ───日記

 雫は日記をつけていた。毎日欠かさず、上から下までびっしりと。でもそんな姿を僕は一度だって見たことがない。そう


 手に取った僕には無い記憶が確かにあることを証明した日記は最近のものだった。一週間くらい前のことから昨日まで書かれていた。それはまるでラブレターみたいに僕への愛が書かれている。す、すごく照れちゃう。好きだとか可愛いだとかずっと一緒にいたいだとか食べたいとか、、、、、、食べたい?!僕は食べ物じゃない!雫って、僕のこと食べ物だと思ってる?


「いやいや!そんなことよりも、、、」


 他の日記も手に取り遡る。一番、古い日記を探して見つけた時だった。
 寝室の扉が開いた音。
 その後に掠れた色気の含んだ声。

「、、、、、、、、、舞白さん?、、、、、、、、どこにいるんですか?」


 雫が僕を探してる


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