貴方のお嫁さんにはなりません!!!このばかぁ

白藍たんぽっぽ

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俺が舞白さんを裏切った話

今の俺

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 読めば読むほどその時の景色が目に浮かぶ。舞白の表情から仕草、言葉も全部。頭が割れそうなほど痛むが舞白との日々を思い出したい。もっと舞白を知りたい。そう思って読み続けた。


 俺が不良に絡まれて頭をぶつけたから記憶をなくしたと言われた。けど、舞白に会いに行った時、そこまで喧嘩に苦労はしなかった。だから、その日から記憶を無くした理由に違和感を覚えた。けど、今なら分かる。事故の日の前日。


 舞白と番になる約束をした。


 そう書いてあった。次の発情期ヒートで項を噛むと。柄にもなく浮かれてたんだ、だからあんなへまをして舞白を悲しませた。俺は約束を破った。いや、舞白は俺は俺だって言ってたけど、俺は俺だと思いたくない。舞白を泣かして、遠ざけて、なんで、自分を優先したんだ。



 春に会った舞白には不快感も覚えず恐怖心も無く、ただただ愛しさのまま素直に接していたのに。記憶をなくしてから会った舞白には素直になれなかった。それは心のどこかで罪悪感や違和感があったからだ。もっと早くから舞白を大切にしていたら。舞白は俺を嫌いになったんだろうか。ああ死にたい

 舞白は両親を幼い時に事故で無くし孤児院で育ったらしい。第二の性を検査した時、オメガだと分かった時にそこの孤児院では考えが古い奴らばっかりで舞白はまともな生活をさせて貰えなかったと言っていた。それでも自前の頭の良さで特待生としてこの金持ち学校に通っている。
 それを俺が舞白と一緒にここに住もうと無理やり孤児院を連れ出して。お金で黙らせたから特にその時は何も無かったけど。今回は?今回は舞白はどうしたんだ?最後まで付き添えば良かった。もしかして孤児院に連れ戻された?いや、舞白のことを邪険にしていた上、帰って来ない事を条件にしていたからそれは無いか。


 記憶を思い出したのはいいが、自分のした舞白への罪悪感で死にそうになる。ふと舞白の机へ目を向ければ一枚の紙が置いてあった。舞白からの俺への手紙だった。

 

 さくらへ

 僕はここを出ます。一緒に過ごした日々は僕にとってすごく楽しくて幸せで一生の宝物です。ごめんねさくら。僕はさくらが僕を忘れていても大丈夫だって思ってたけど、さくらはさくらじゃないって、一生を過ごせないって思うと耐えられない。僕と番になったのは気にしないで。さくらとの最後の、絶対に忘れない形としての思い出が欲しかっただけだから。さくらはオメガに襲われただけだから。
 今までほんとうにありがとう
 ばいばい、さくら、大好き


          柊 舞白



 手紙には所々、文字が滲んでいた。この手紙だけで俺は舞白を忘れられると思うのか?無理だ。俺だって耐えられない。舞白。舞白がさよならしたのは記憶が無いの俺であって記憶のあるじゃないよな?

 俺はその手紙を手にしたまま顔を濡らす液体を鬱陶しがった


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