貴方のお嫁さんにはなりません!!!このばかぁ

白藍たんぽっぽ

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番外編

朝起きたら雫がぬいぐるみになってた

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 朝起きたら、雫はベットにいなかった。その代わりに雫によく似た小さいぬいぐるみ。その子はおはよう舞白さんと声を掛けてくる。僕はまだ夢の中だと思いたかったので寝た。


「寝たのにまだいる、雫ぬい」
 
「おはようましろさん」

「君は僕のこいびと?」

「はい!」


 ベットの上で小さいながらも何故か迫力いっぱいの仁王立ちとぬいぐるみだから、表情は一切動いてないのにドヤ顔だと分かる。なんだかよく分からないけど


「可愛いしいっか!」

「ましろさ~ん!」


 ぴょんっと僕の膝上に飛び乗り、丸い手でどうやってか服をよじ登ってくる。雫ぬいは肩まで登ってきた。
 

「ましろさん、すき」

「えへへ~僕もだよ」


 雫に好きって言われて自然と頬が緩む。ってよく考えたらおかしいよね?!ぬいぐるみが雫に似てるのはこの際良しとしよう。だって雫ならこの中に盗聴器やカメラなど仕掛けて居そうだから。でも!動いてる。喋ってる。意思疎通が出来る。おかしいよね!?
 今更ながらに得体の知れない雫ぬいが怖くなったので、肩で僕の頬をすりすりしていた所を捕まえて目の前に持ってくる。


「君はだれ?」

「しずく」

 
 この雫ぬいは雫と言うらしい。うん。でしょうね!雫だもん!
 

「何がしたいの?」

「ましろさんといっしょに、、、、、、、、、、」

「、、、、、、、、、、僕と一緒に?」


 そこから何も喋らなくなってしまった。こ、怖い何?僕と一緒に何?知りたいような知りたくないようなこの胸の動向は果たして好奇心なのか恐怖心なのかはたまたその両方なのか。
 じ~っと謎に包まれた雫ぬいを見ていると少し微笑んだ気がした後、僕の顔に飛びついてきた

「だいすき~!」

「うわぁぁあ?!」


 取ろうとしても取れない。どこから出ているんだこの力は!顔が痛くなってきたよ
 

「は、離してぇ」


 涙目になりながら情けない声でそう訴えると、あんなに取れなかったのに雫ぬいがはいと返事をした後に顔から離れて行った。
 僕は雫ぬいをそっとベットの上に置いた。雫ぬいはずっと、すき、だいすき、ましろさん、かわいい、などなど話している。僕は雫ぬいとの出会ったこの数分を思い浮かべて


「、、、、、っばいばい!」


 寝室から逃げた。




「し、しずくぅ!どこ行ってたの、こわかったんだよ。雫がぬいぐるみになったのかと思ったらなんか怖くてぇ!雫に化けた何かかもしれないってぇ!こわかった!」


 僕が寝ている間に仕事を済ませてこようと家を出たらしい。そういえば、時計は朝の七時を指している。今日は早起きですね舞白さん。もしかして恐い夢を見たから?なんて聞いてくる。た、確かにいつも昼頃に起きるけど違うから!


「き、きてこっちに」


 論より証拠と思った僕は寝室まで雫を引っ張って行った。


「ほら!この子だよ!雫ぬい!」


 寝室に行ったら、もう居なくなってたなんて恐怖体験はなかった。ベットの上にさっきと変わらずにいる。僕に気がついた雫ぬいはましろさん、もっとたよって、ちかづいて、いいにおい、えろい
 なんて、さっきよりも早口で単語をペラペラ語っている。

 
「ね、そこにいるでしょ?」

「舞白さん。すみません、あのベットに何がいるんですか?」

「え?ほら飛び跳ねてる雫ぬい」

「ベットの上に?舞白さん」


 雫は僕の方を見て少し可哀想な人を見る目になる。舞白さんと続けて、疲れてるから病院に行こうと言ってきた。も、ももももしかして、ミエナイノデスカ
 
 
「きゃあああぁあぁあぁあ!!、、、、、っ 」

「ま、舞白さん?!」


 恐怖が限界突破した僕は気絶した。
 後に雫ぬいは雫と離れてる距離が遠ければすき、だいすきなど簡単に直球に伝えて来るが近ければ複雑に饒舌になることが分かった。雫の心の声を表してるのかな~と思い確信がもて始めた頃。
 いつの間にかいなくなっていた。


「、、、、、という夢を見たんだよ雫!漫画のネタに使えるかな?」

「ふふふふ、使えると思います」


 なんと夢オチでした
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