貴方のお嫁さんにはなりません!!!このばかぁ

白藍たんぽっぽ

文字の大きさ
上 下
24 / 196
恋人(正式)との生活

捨てないで

しおりを挟む


「舞白さんが番持ちだってこと、、、」


 その先の言葉を僕は聞きたくない。聞く勇気は今の僕にはない。嫌だ、嫌だ嫌だいやだ。雫まで居なくなったら、やっぱり僕は一人で生きていくのは、、、、、、、、、、無理だ
 雫が言葉の続きを言うのを邪魔する為にキスをする。唇を痛いくらいにくっつけて雫の頭を抱き締めて離れたくないと伝える。こんなに早く雫から離れることになるなんて、いやだぁ


「ま、しろさん」

「んん!んや!」


 涙が止まらない。ずっと出てくる。まだ雫に抱かれてすらないのにこのままお別れ?前の時より酷いんじゃ
 自分でネガティブな方向に走りショックを受け、力が緩んだ瞬間を狙って雫は僕から離れて言った


「舞白さん」

「、、ふ、、、、、んぐ、ひっく」

「何も心配いらないよ?舞白さん」

「う、うそだぁ!僕を捨てるんでしょ?せっかくよりを戻せたのにどうして?なんでまた捨てるの?いやだ、いやだよ、捨てないでぇ、しずくぅ!」

「舞白さんは勘違いしてます。落ち着いて大丈夫だから、ね?」


 僕を捨てるはずなのに優しく前と変わらず抱き締めてくれる。頭も撫でてくれる。嬉しい、嬉しいもっとずっと幸せが続けば。傷付く前に心を開く前に、雫から離れていたら
 取り乱して、雫の話を全く聞いていないことに雫は分かっていたのだろう。僕がしたキスよりも深く舌を絡ませてきて、さっきまで考えていたこともあまりの甘さに溶けてどこかへ行ってしまう
 あ、あれ?雫がキスしてくれてる?


「舞白さん」

「、、、、、ぷはぁ、はぁ、しず、く?」

「舞白さんが番持ちなのは知っています」

「、、、あっ」

「知ってるんです舞白さん」


 大丈夫と言葉を続けて、雫は僕に伝えてくる。しって、いる?知っているって?いつから?はじめから?なんで?どうして?


「ふふふ、舞白さんさては忘れちゃってますね?」

「な、なに」

「俺が救いようもない舞白さんのストーカーだってこと。番持ちってのも調べがついています。その上で舞白さんが大好きなんですよ?だから捨てるとかは舞白さんは心配しなくていい。捨てられるのはどっちかっていうと俺なので」

「な、なんで」


 ストーカー時代から番持ちって知ってたの?どうやって?誰かから聞いた?僕の体を見て?そんな疑問が頭を過ぎていくけど、知っていた上で僕のことを好きだったってことは


「僕は、すてられない?」

「当然です舞白さん」

「あ、ご、ごめん、なさいぃ、、、、僕突っ走っちゃって、、、かってに、、ひっく」

「早く言えば良かったですね。てっきり舞白さんは俺が知ってることを知ってると思ってました」


 そんなの知るわけない。こっちは知らないと思ったから逃げようと、好きになったらだめだと、また悲しくなるから後悔するから、二度とあの絶望を味わいたくなくて


「しずく、僕のこと、、、ひっく、、、ほんとにすき、なんだね」

「舞白さんは相変わらず俺の愛を疑いますね。昔から言ってるじゃないですか」

「安心したら、なんだか、ねむ、たく、、、」

「おやすみなさい舞白さん」



 舞白さんは思い出さなくていいんです。俺が裏切った過去なんて、俺じゃない俺との過去なんて。大丈夫です。今の俺はそんなことしません。大丈夫ですから
 思い出しちゃったら舞白さん俺から離れちゃうでしょ?舞白さんが思い出して俺から離れたい時は離れてもいい。けど、俺はそれを全力で邪魔するよ。今みたいに、舞白さんに睡眠薬を盛ったりして
 舞白さんは昔から寂しがりで、快楽に弱くて、甘えたがりで、可愛くて、頭を撫でることやキスも大好きで。俺の知らない俺との過去はそのまま捨て去ってしまえばいいよ。辛い過去なんて思い出さずにさ

 ね?舞白さんのだけを見て


 なのに、舞白さんは確実に思い出してる。毎日、毎日少しずつ。俺がいるから無意識に。でも絶対に邪魔する。

 じゃないと


 俺が生きていけない
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

その捕虜は牢屋から離れたくない

さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。 というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」 「恩? 私と君は初対面だったはず」 「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」 「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」 奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。 彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 だが夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

どうも。チートαの運命の番、やらせてもらってます。

Q.➽
BL
アラフォーおっさんΩの一人語りで話が進みます。 典型的、屑には天誅話。 突発的な手慰みショートショート。

上手に啼いて

紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。 ■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。

ひとりのはつじょうき

綿天モグ
BL
16歳の咲夜は初めての発情期を3ヶ月前に迎えたばかり。 学校から大好きな番の伸弥の住む家に帰って来ると、待っていたのは「出張に行く」とのメモ。 2回目の発情期がもうすぐ始まっちゃう!体が火照りだしたのに、一人でどうしろっていうの?!

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

処理中です...