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恋人(仮)との生活
体験するのが一番!でも何も考えられない
しおりを挟む朝起きて、隣にイケメンフェイスがあるのにも驚かなくなってきた頃。僕はあることを思い出した。そう
「担当さん、担当じゃなくなった」
何故忘れていたのか?それは至極簡単なことでこの隣にいる雫と、目まぐるしい日々を送っていたためそれどころでは無くなったのである。
そろそろ、新しいストーリーを書かなくては行けない。次はR18シーンなので雫の家に来た時からちょくちょく書き進めていたものの、完成への道はまだ遠い。
こういう時、相談していたのが担当さんだったのでもしかしたら現実を直視したくなくて忘れていたのかもしれない。うん。
「おはよ、舞白さん」
「おはよ」
雫は僕を抱き寄せて額にキスをする。よく、ちゅっちゅされるので朝のおはようのキスには慣れた。急にされるのは慣れていないのでよく可愛いって笑われるのには不満です!
朝ごはんを食べてゆっくりしている時に雫に相談することにした。
「雫、僕の担当になったんだよね?」
「はい、舞白さんの担当になりました」
「あのね、その事で相談があって」
事情を説明するとなるほどと言って、顎に手をやり考え始めました。イケメンだから様になってるな。このイケメン!なんかムカつく!
そう思ったので考えている雫の頬を両手で引っ張ったりぐにぐにして顔をいじる。
「ははは、ぶちゃかわ」
満足したので手を離すとその手を掴まれて思い付きました!っと言われる。そうだ、相談してたんだ。イケメンへの苛立ちで忘れていた。
「舞白さんも体験しましょう!」
「たい、けん?」
「はい!R18!」
「無理!」
な、何を言い出すんだ!確かに僕が相談した内容は、今までピュアな恋愛しか書いて描いて来なかったから今回は挑戦という形でR18が前提で作られた作品だったけど、でも分からなくて!でもあれだよ?めっちゃR18見てるよ?僕だって男だから気になるし?僕が雫と会った日に買いに行ってた小説も完全にエロしかない小説だけど?!実際書くとなると分かんなくて、だ、だから!
「ぁあの」
「大丈夫。俺が優しくリードしますから」
「書き方!そう書き方のあ、アドバイスくれるだけでいいから!」
「え~」
「え~、じゃない!!!」
そんなあるあるみたいな教えてあげますよ?でエロに持ち込まないでよ!まだ、そこまでは許してないぞ!僕は!
「舞白さん的にはどこまで許容範囲ですか?」
「えぇえっと、ぁ、あの」
「もう体触っていい?キスまで?お風呂とかは一緒に入ってもいいくらい気を許してくれてる?舞白さん」
「ま、まだき、キスまでです!」
急展開過ぎて、ついていけない。しかもキスまでならいいって言っちゃった!何言ってるんだ僕?!
「ふふふ、そうだよね舞白さん。毎日朝も昼も、夜もキスさしてくれるもんね?」
「あぅぅ、く、口にはしてない」
そ、そうだけど!それはそれ!これはこれ!だと思う僕は!だって口ではされてないもん!
僕がワタワタしてる間に頬にキスをされイケメンスマイル攻撃を受け、顔が赤くなるのを自覚する。
「舞白さん。ならキスしましょ?額でも頬でも、手の甲でも首筋でもなくて」
「はぅう」
耳元に顔を寄せて腰に来る声で誘われながら、それぞれ指でなぞられていく。僕って耳こんなに弱いの?知らなかった。
「ここに」
「、、、っ!」
そう言って少し顔を離し親指で僕の唇をなぞり、ふにふにと遊んでいる。目の前のイケメンは駄目?というように首をこてんっと傾げて微笑んでくる。
「、、、ぁ」
「舞白さん」
だんだん顔が近づいてきて、その目から、頬に添えられる手からも逃げられない。どうしたらいいか分からなくて、ぎゅっと目を強く瞑った。
「、、、っん!」
ふにっと一瞬くっついて離れていく。目をゆっくり開くと目の前には幸せオーラ全開の蕩けた微笑みを浮かべた雫がいた。
それを見ると僕は何故か分からないけど、幸せと嬉しさが胸の内に込み上げてきて耐えきれずに雫の唇へキスを送る。
「!?」
目を開けてじっと雫のことを見ていたので驚いて目をぱちぱちとしている顔を見てしてやったりと心の中でほくそ笑む。
ふふふ。僕だってやられてばっかりじゃないぞ!ははは!どうだ!
「舞白さん!」
「ふぅ!?」
調子乗ったからか?!雫の舌が口の中に入り込んで来た。舌を絡められて上顎を擽られてぞくぞくする。その上、耳の裏も擽って頭もなでなでされるからだんだん体から力が抜けて行く。
「ぁう、し、ずくぅ、んぅ」
「舞白さん」
頭がぼ~っとして何も考えられない。キスってこんなに気持ち良かったっけ?久しぶりだから?分からない。
「舞白さん」
「しず、くぅ、んぁ」
息継ぎの合間に名前を呼ばれる。それだけで嬉しくて嬉しくて、興奮が高まる。僕も雫の名前を呼んで首へ手を回す。頭を抱き締めるようにして、もっともっとと強請るように僕の方へ強く寄せる。雫は嬉しそうにそれに応えてくれて、舌の動きが激しくなる。僕も頑張って応えようとするけど気持ちよさに動きが鈍る。
「舞白さん。可愛い♡」
「はぅ、んあ、、、ぁ」
雫と僕の間に繋がる糸が切れて、雫が離れることが寂しくて小さく不満の声を漏らしてしまう。
「しずく、もっと、もっとしてぇ?お願い。しずくが欲しい」
「っ!?、、、はい舞白さん!もっとしましょ?」
「んぅ、はぁ、あぁう、ぅん!」
もっともっと雫が欲しい。僕を満たして欲しい。寂しさを埋めて。僕を求めて。お願い。もっと。もっと
「かわいい♡」
「はぁ、しずくぅ」
キスの合間に雫と名前を呼ぶとより一層嬉しそうに笑みを零して、僕を甘やかしてくれる。嬉しい。凄く嬉しい。今僕は幸せだ。雫の目を見つめてふと思う。
ねぇ?
どうして忘れちゃったの?
寂しいよ雫
キスをしていたら雫のスマホが鳴った。それで我に返った僕は慌てて雫から離れる。残念そうにしながらも雫はスマホを手に取り内容を確認しだした。腰に手を回したまま。
は、恥ずかし。な、なな何してんだ僕!途中凄いこと口走ってた気がする。何も覚えてない。いや、覚えてるんだけど!あぅ、頭がまだぼ~っとしてるし顔も真っ赤なことだろう。両手で頬に触れると案の定めっちゃ暑かった。やばい!やばい、もうやばいしか言えない!
チラッと雫の横顔を見ると、真剣な顔でスマホを見ていた。かっこいい。あれ?こんなにかっこよかったっけ?いつもよりキラキラして見える気が、、、
「ぇ?嘘!!」
「舞白さん?」
見てると何故か恥ずかしくなってきたので、視線をずらすとスマホの内容に驚く。
「し、雫って」
「あぁ、やっと気づいたんですか?舞白さん」
「ぁ、ぁあ!」
いたずらっ子のような悪い笑顔でそう言う雫。う、嘘だ。あ!気づいた。気づいてしまった。だ、だからあの時!
『舞白さんは俺の小説読んでますよ?』って言ったのか。意味がやっと分かった!
そう、僕が小型カメラさんに会う前に買いに行こうとしてた小説!その後、雫に渡された小説!その作者がまさか
「この小説の作者、俺です」
「!?」
どこから取り出したのか、小説を手にしながら微笑むイケメンは僕が愛する神作家だったなんて誰が予想出来ただろうか?否誰も出来ないであろう。僕もだ!
し、しかもBLR18の人気小説。アニメ化されて次には映画化も待っている人気小説!あぁ、推しに会えるなんて
僕はいろいろありすぎてキャパオーバーした。
「舞白さん?!」
また、起きたらいろいろ話したいことがある!雫よ。それまでは、、、、、、おやすみ
ガクッ
す~す~
────舞白さん。気絶してるだけか。びっくりした。いや、舞白さんの方がびっくりしてるか。それにしても可愛い反応してくれるな~
小説のこともだけどそれより、キスを強請ってくれるようになるなんて。僕は嬉しいよ。キスだけで我慢した僕を誰か褒めて欲しい。いや、舞白さんだけに褒めてもらいたい。
小さな身体を抱き抱えて、寝室に連れていく。優しくベッドに寝かせたら抱きしめて一緒に眠る。
あと少しで完全に手に入る。舞白さん。
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