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恋人(仮)との生活
名前を呼んで
しおりを挟むあれから数週間が経ちあと少しで1ヶ月が経とうとしている、不思議なことにこの生活に慣れつつあります。誰かと一緒に暮らすなんて想像も出来なかったから、ふとした瞬間になんかくすぐったく感じる。
それぞれテレビを見たり本を読んでソファでゆっくりしてまったりした時間を過ごしている。この時間が凄く好きだ。
本を読んでいた小型カメラさんが突然読むのをやめて言ったのだ。
「舞白さん。俺のこと呼んでみてくれます?」
「?小型カメラさん」
言われた通りに呼ぶと、何故か困ったように微笑まれた。なになんか僕した?何もしてなかったよ今!
「舞白さんはどうして俺のこと小型カメラさんって呼ぶんですか?そろそろ名前で呼んで欲しい」
「へ?」
「ダメですか?」
だって僕そもそも小型カメラさんの
「名前知らない、、、、、、から呼べないよ?」
「え?」
凄くビックリしてます。イケメンだから驚いててもかっこいいね。このイケメンが!そうです、そうなんです。皆さん気づきました?僕、一度も教えて貰ってないんです。小型カメラさんの名前!
「教えて貰ってない」
「?!」
確かに、って顔してるこれ!絶対そうだ!小型カメラさんってもしかして天然はいってたりしない?絶対するよ!これ!
「舞白さん俺の名前は、、、、、、」
「う、うん」
真剣な目で見つめられるから、緊張する。小型カメラさんの名前なんだろ?かっこいいから『はやと』とか『まさと』とか、最後に『○○と』ってつきそう!
「雫って言います」
「しずく」
「はい、舞白さん」
名前を繰り返し呟くと嬉しそうに声を弾ませて、僕に抱きついて来た。もう、慣れたよ。感極まって抱きつかれることにも!きょ、きょりが急にち、近くなることにも!慣れたよ?嘘じゃないよ?!
「小型カメラさんの名前可愛いね」
結構可愛らしい音だな。かっこいいから名前が可愛くても似合う。このイケメンが!
それと雫って名前が凄く自分の中に馴染んでくる気がする。なんだろ、なんか懐かしく感じるな?雫って名前
「舞白さん、俺のこと雫って呼んで下さい。てか、どうして小型カメラさんなんですか?」
「あ~」
そう言って少し離れた。
それを聞いてしまうのか!?小型カメラさん!?いや雫さん!ついにこの時が来てしまったか、ならば仕方がない。教えてしんぜよう!
「それはね?」
「はい」
「小型カメラを大量に見つけて、次に小型カメラを大量に手に持ってるのを見てしまって、、、、、小型カメラの印象しか無かったから!」
笑顔でそう伝えると可愛い!って言いながら腰まで抱き寄せられた。
「だから小型カメラさん!」
「はい、俺は小型カメラです!」
小型カメラさんは小型カメラじゃないです。小型カメラは小型カメラです!興奮しすぎて頭バグになってるよ!
「雫さんじゃなくていいの?」
「!、、、、、、よんで、くれるんですか!?」
「雫さん!」
「はい!是非呼び捨てで!」
「しずく?」
「そうです!舞白さん!」
名前を呼ぶだけでこんなに喜んでくれるなんて、僕もなんだか嬉しいな。そう思っていたら突然体が浮いて、雫の膝の上に向かいあわせで乗せられた。手は頬に添えられていて、もう片っぽの手は腰を支えるようにしている。手が大きくて温かいな~
「舞白さん」
「雫?」
「ふふふ、舞白さん」
笑顔の顔が近づいてくる。そのまま額にキスをされて、多分僕の顔は真っ赤だと思う。は、恥ずかし!名前を呼びあってキスされるなんて、めっちゃ恋人っぽい!頭くらくらしてくる。僕には刺激が強いよ!
「顔真っ赤」
「い、言わないでぇ」
「ふふふ、可愛い。可愛いよ舞白さん」
頭に手を回され、腰を引き寄せられて、隙間なく体が密着する。僕は恥ずかしくて、とにかく恥ずかしくて!雫の肩口に顔を埋める。でもいい匂いが濃く香ってくるから緊張で固かった体から力が抜けていく。
同じシャンプーとか使ってるはずなのにどうしてこんなに違う匂いしてるんだろ?凄く安心するいい匂いしてる。この匂い凄く好きだなぁ~。
「舞白さん」
頭に口をくっつけて名前を呼ばれる。頭に直接響いてぞくぞくしてくる。あぁ、やばい。甘くて溶けちゃいそう。
僕は少しもの抵抗で肩口を頭でぐりぐりする。その行動は何も意に介さないように嬉しそうにただ、笑っている。
「しずく、頭もなでてぇ?」
雫に撫でられるのが好きだから強請る。大きくて温かい手に優しく撫でられる。今の僕はふにゃふにゃで顔もだらしなくたるんでいることだろう。この時間が今すごく幸せだと感じる。
ずっと、ずっとこの時間が続けばいいのにって僕は思わずにいられない。この先の未来を思い描いて、今だけでもこの幸せを噛み締めようとその考えを振り払う。
────舞白さん。可愛い俺の舞白さん。
やっと堕ちてきてくれた。嬉しい。今すごく幸せすぎて溺れ死にそうだよ。
撫でてと強請られたので、小さい頭を撫でる。嬉しそうに小さく笑って、さらに俺にひっついてくるのがめちゃくちゃ可愛い。こんなに可愛くてどうするんだ。俺は舞白さんの可愛さに何回も殺されている。
あともう一押しで堕ちてくれるよね?俺の手元まで。舞白さんが懸念することは本当に何も無いんだ。俺は知ってるよ?舞白さんの秘密も忘れている過去も俺は知ってる。貴方から離れることは絶対しないから、だからさ。早く諦めて俺に言ってよ
『僕を愛して』って
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