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ストーカーさんとの生活
とりあえず一旦落ち着こう
しおりを挟む泣き続けて、やっと落ち着いた僕に小型カメラさんは声をかけてきた
「大丈夫ですか?」
「うん」
「良かったです」
僕自身もよく分かってないし何を言ってたのか覚えてないほど号泣して、それまでの間ずっと小型カメラさんに頭を胸元に抱き寄せられ、背中をなでなでされていた。そうされると不思議と落ち着いてきて、どうしてあんなに取り乱したのか疑問だけが残った。
それにしても本当に落ち着く。小型カメラさんの胸元が暖かくてちょうど良いから顔を寄せてグリグリする。手で頭をなでなでするのもやってくれるから、だんだん眠くなってきた。
「おやすみ、舞白さん」
「、、、、、」
あ、またキスされた。今度はおでこだけど。早く怒らなきゃいけないのに、ねむ
「すぅーすぅー」
「舞白さん、ごめんね。もう俺手放せないんだ」
――逃げなきゃ、この人から逃げなきゃ
でも、誰から逃げるんだろ?気になり出したらずっと頭から離れないのに、分からない。漠然とした不安や恐怖がずっとある。
「あ!◆◆◆!」
僕の大切な人が居る、いつもみたいに一緒に帰ろ?温かい飲み物でも買って公園で話そう?好き、大好き、愛してる!あなたへの想いが次々溢れて止まらない。大切な人の元へ行きたくてずっと学校の校庭を走ってる、もう目の前まで大好きな人が居るのに走っても走っても届かない。手を伸ばしても届かない。胸が苦しい、目の前が眩む、疲れた。
あぁ、君だったら僕のこと優しく抱きしめてお疲れ様って言ってくれるんだろうな。沢山褒めて頭を撫でてくれて僕に生きる価値をくれるんだ。でも、もう君は、僕の知る君は、居ないんだ。
そう思うと同時に、足場が崩れて校庭の地面に僕は沈んでいく。僕の愛する人は振り返りもせずに僕を置いていく。
「待って!◆◆◆置いていかないでよぉ、ずっと一緒に居るって!言ったじゃないか!この嘘つきぃい!」─────
「ま、って、置いてかないで!」
「舞白さん?」
「え?、、、、、ぁ」
夢から覚めた僕は冷や汗をかいていて、呼吸も荒かった。手を伸ばしていたらしく、小型カメラさんに両手で握られていた。、、、、、心配した顔で。めっちゃかっこいい。イケメンってずるいな、心配した顔も様になるなんて。
「大丈夫?舞白さん。悪い夢でも見た?」
「わ、分かんない。見た気がするけど、どうなんだろ?覚えてない」
心配をさせて申し訳ないけど悪い夢を見たのだろうか?状況的に、悪い夢を見たっぽいけど全く思い出せないし、思い出しちゃいけない気がする。
「舞白さん、ご飯出来たからリビングに行こ?お昼も食べてなかったでしょ舞白さん。流石に食べないと」
「、、、、ぅん」
あれ?今思えば僕、どうしてこんなに小型カメラさんには緊張せずに喋れていたんだろう?やっと気づいた僕は生半可な返事を返す。落ち着くから?不審者だから?どうしてだろう。分かんない。でもこの感覚、久しぶりだ。すごく嬉しい、気がする。素の自分で居られる気がしていいな。でも、僕が普通に喋れたとしても安心しても、この人だけは信じちゃ駄目な気がするなぁ~
「じゃあ、行こ?」
そう言って体を抱き起こしてくれる。少し待っててと言われたのでベッドで大人しく待っていると汗を拭くタオルを持ってきてくれた。汗を拭ってその後、小型カメラさんに渡すとどこかに行ってしまった。多分脱衣場かな?戻ってきた小型カメラさんに手を引かれてリビングまで行く。
「うわぁ!すっごく美味しそう!」
「見た目だけじゃなくて、味も美味しいよ?だって舞白さんが食べる物だからね」
机に並べられた料理の数々、どれも美味しそう!僕の大好きなお味噌汁や卵焼き、それにそれにサラダもなんか豪華で、なんか全部すごい!
「いっぱい食べてね舞白さん」
「うん!いただきます!」
小型カメラさんと向かい合わせに座ってご飯を食べ始める。今更だけど小型カメラさんの家、自分がいた部屋とリビングしか知らないけど広かったな。窓の外に映る夜景も街の灯りでキラキラして綺麗だし、もしかして小型カメラさん凄いお金持ちなのかな?ここ凄く家賃が高いと思うし、じゃないと無理だろうしな、住むの。
「もぐもぐ、、、、ん?なに?」
すごく僕のことを見ている。席に着いた時から見られていたんだよ?でもね、気がつかない振りをしてたんだ、でももう!耐えられない!穴が空いちゃう!僕の顔を蜂の巣にする気?!
「かわいい」
「!?、、、っん!、ごほっ、げほ!」
「大丈夫?!、お茶飲んで舞白さんっ」
「ごくごく」
急にうっとりした顔で僕のこと好きって言ってくるからびっくりしてそれで変なとこにご飯入った!僕の隣まで来て、背中をさすってくれる。なんて、優しいんだ!小型カメラさん!イケメンだからか?!イケメンだから優しいのか!!
「落ち着いた?」
「うん」
「良かった、ゆっくり食べてね。まだまだ沢山あるから焦らなくていいよ」
「、、、、、、、、」
焦ってないもん!ご飯は美味しいし確かにいっぱいご飯、口に運んでたけど!違う!小型カメラさんが急にか、かわいいって言うから!別に僕、食い意地はってないもん!そう思ってふいっと顔を背けた。
「ぱく」
「ひゃぁ?!」
「もにゅもにゅ」
「た、食べてる!また僕のほっぺ食べてるよ!離して!」
「無理」
「いやだぁぁあ!」
デジャブ、しかも今度は手で反対を抑えられてるから逃げられない。いやだ!僕のほっぺ感覚が無くなってきた。目の前に本物のご飯あるのに!
「ぼ、僕はご飯じゃない!」
「ご飯なんかと舞白さんが一緒なわけないでしょ」
「離して!」
「まだ食べる」
「いやぁぁあ!」
ずっと吸われたり、歯を立てられたり、キスされたりして遊ばれてる。胸を押し返そうとしても例の如く、退かせられない。
「美味しかった、また食べさせてね?」
「い、嫌!!」
「ふふふ、怒ってもかわいい」
やっと離してもらったものの、また僕のほっぺを食べる気だ!そんなに僕のほっぺは美味しいか?!安くないぞ!僕のほっぺは高いんだぞ!お金取るぞ!そんな事は思っても大人なので口には出さずご飯を食べ進める事にした。僕は大人だからな!とりあえず、相手のペースに呑まれちゃ駄目だ!ご飯を食べて仕切り直そう
「、、、、、ご飯食べないの?」
「食べますよ?」
ずっと傍に居たので声を掛けると席に戻っていく。ご飯を食べ始めるも僕の事を穴が空くほど見ている。楽しいものでもないでしょ、僕の顔なんて。なんで見てくるんだろ?
そういえば僕、小型カメラさんと出会ってからずっと不思議と疑問で頭が溢れているな?まず、聞かなくてはいけない事を聞こう。ご飯を食べ終わったら
───どうしてス僕のトーカーしてるの?って
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