貴方のお嫁さんにはなりません!!!このばかぁ

白藍たんぽっぽ

文字の大きさ
上 下
4 / 196
ストーカーさんとの生活

とりあえず一旦落ち着こう

しおりを挟む
 

 泣き続けて、やっと落ち着いた僕に小型カメラさんは声をかけてきた



「大丈夫ですか?」

「うん」

「良かったです」


 僕自身もよく分かってないし何を言ってたのか覚えてないほど号泣して、それまでの間ずっと小型カメラさんに頭を胸元に抱き寄せられ、背中をなでなでされていた。そうされると不思議と落ち着いてきて、どうしてあんなに取り乱したのか疑問だけが残った。
 それにしても本当に落ち着く。小型カメラさんの胸元が暖かくてちょうど良いから顔を寄せてグリグリする。手で頭をなでなでするのもやってくれるから、だんだん眠くなってきた。


「おやすみ、舞白ましろさん」

「、、、、、」


 あ、またキスされた。今度はおでこだけど。早く怒らなきゃいけないのに、ねむ


「すぅーすぅー」

「舞白さん、ごめんね。もう俺手放せないんだ」

 


 ――逃げなきゃ、この人から逃げなきゃ
 でも、誰から逃げるんだろ?気になり出したらずっと頭から離れないのに、分からない。漠然とした不安や恐怖がずっとある。


「あ!◆◆◆!」


 僕の大切な人が居る、いつもみたいに一緒に帰ろ?温かい飲み物でも買って公園で話そう?好き、大好き、愛してる!あなたへの想いが次々溢れて止まらない。大切な人の元へ行きたくてずっと学校の校庭を走ってる、もう目の前まで大好きな人が居るのに走っても走っても届かない。手を伸ばしても届かない。胸が苦しい、目の前が眩む、疲れた。
 あぁ、君だったら僕のこと優しく抱きしめてお疲れ様って言ってくれるんだろうな。沢山褒めて頭を撫でてくれて僕に生きる価値をくれるんだ。でも、もう君は、僕の知る君は、居ないんだ。
 そう思うと同時に、足場が崩れて校庭の地面に僕は沈んでいく。僕の愛する人は振り返りもせずに僕を置いていく。


「待って!◆◆◆置いていかないでよぉ、ずっと一緒に居るって!言ったじゃないか!この嘘つきぃい!」─────

 

「ま、って、置いてかないで!」

「舞白さん?」

「え?、、、、、ぁ」


 夢から覚めた僕は冷や汗をかいていて、呼吸も荒かった。手を伸ばしていたらしく、小型カメラさんに両手で握られていた。、、、、、心配した顔で。めっちゃかっこいい。イケメンってずるいな、心配した顔も様になるなんて。


「大丈夫?舞白さん。悪い夢でも見た?」

「わ、分かんない。見た気がするけど、どうなんだろ?覚えてない」


 心配をさせて申し訳ないけど悪い夢を見たのだろうか?状況的に、悪い夢を見たっぽいけど全く思い出せないし、思い出しちゃいけない気がする。


「舞白さん、ご飯出来たからリビングに行こ?お昼も食べてなかったでしょ舞白さん。流石に食べないと」

「、、、、ぅん」


 あれ?今思えば僕、どうしてこんなに小型カメラさんには緊張せずに喋れていたんだろう?やっと気づいた僕は生半可な返事を返す。落ち着くから?不審者だから?どうしてだろう。分かんない。でもこの感覚、久しぶりだ。すごく嬉しい、気がする。素の自分で居られる気がしていいな。でも、僕が普通に喋れたとしても安心しても、この人だけは信じちゃ駄目な気がするなぁ~


「じゃあ、行こ?」


 そう言って体を抱き起こしてくれる。少し待っててと言われたのでベッドで大人しく待っていると汗を拭くタオルを持ってきてくれた。汗を拭ってその後、小型カメラさんに渡すとどこかに行ってしまった。多分脱衣場かな?戻ってきた小型カメラさんに手を引かれてリビングまで行く。


「うわぁ!すっごく美味しそう!」

「見た目だけじゃなくて、味も美味しいよ?だって舞白さんが食べる物だからね」


 机に並べられた料理の数々、どれも美味しそう!僕の大好きなお味噌汁や卵焼き、それにそれにサラダもなんか豪華で、なんか全部すごい!


「いっぱい食べてね舞白さん」

「うん!いただきます!」


 小型カメラさんと向かい合わせに座ってご飯を食べ始める。今更だけど小型カメラさんの家、自分がいた部屋とリビングしか知らないけど広かったな。窓の外に映る夜景も街の灯りでキラキラして綺麗だし、もしかして小型カメラさん凄いお金持ちなのかな?ここ凄く家賃が高いと思うし、じゃないと無理だろうしな、住むの。


「もぐもぐ、、、、ん?なに?」


 すごく僕のことを見ている。席に着いた時から見られていたんだよ?でもね、気がつかない振りをしてたんだ、でももう!耐えられない!穴が空いちゃう!僕の顔を蜂の巣にする気?!


「かわいい」

「!?、、、っん!、ごほっ、げほ!」

「大丈夫?!、お茶飲んで舞白さんっ」

「ごくごく」


 急にうっとりした顔で僕のこと好きって言ってくるからびっくりしてそれで変なとこにご飯入った!僕の隣まで来て、背中をさすってくれる。なんて、優しいんだ!小型カメラさん!イケメンだからか?!イケメンだから優しいのか!!


「落ち着いた?」

「うん」

「良かった、ゆっくり食べてね。まだまだ沢山あるから焦らなくていいよ」

「、、、、、、、、」


 焦ってないもん!ご飯は美味しいし確かにいっぱいご飯、口に運んでたけど!違う!小型カメラさんが急にか、かわいいって言うから!別に僕、食い意地はってないもん!そう思ってふいっと顔を背けた。


「ぱく」

「ひゃぁ?!」

「もにゅもにゅ」

「た、食べてる!また僕のほっぺ食べてるよ!離して!」

「無理」

「いやだぁぁあ!」


 デジャブ、しかも今度は手で反対を抑えられてるから逃げられない。いやだ!僕のほっぺ感覚が無くなってきた。目の前に本物のご飯あるのに!


「ぼ、僕はご飯じゃない!」

「ご飯なんかと舞白さんが一緒なわけないでしょ」

「離して!」

「まだ食べる」

「いやぁぁあ!」


 ずっと吸われたり、歯を立てられたり、キスされたりして遊ばれてる。胸を押し返そうとしても例の如く、退かせられない。


「美味しかった、また食べさせてね?」

「い、嫌!!」

「ふふふ、怒ってもかわいい」


 やっと離してもらったものの、また僕のほっぺを食べる気だ!そんなに僕のほっぺは美味しいか?!安くないぞ!僕のほっぺは高いんだぞ!お金取るぞ!そんな事は思っても大人なので口には出さずご飯を食べ進める事にした。僕は大人だからな!とりあえず、相手のペースに呑まれちゃ駄目だ!ご飯を食べて仕切り直そう


「、、、、、ご飯食べないの?」

「食べますよ?」


 ずっと傍に居たので声を掛けると席に戻っていく。ご飯を食べ始めるも僕の事を穴が空くほど見ている。楽しいものでもないでしょ、僕の顔なんて。なんで見てくるんだろ?
 そういえば僕、小型カメラさんと出会ってからずっと不思議と疑問で頭が溢れているな?まず、聞かなくてはいけない事を聞こう。ご飯を食べ終わったら


 ───どうしてス僕のトーカーしてるの?って




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

ふしだらオメガ王子の嫁入り

金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか? お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

噛痕に思う

阿沙🌷
BL
αのイオに執着されているβのキバは最近、思うことがある。じゃれ合っているとイオが噛み付いてくるのだ。痛む傷跡にどことなく関係もギクシャクしてくる。そんななか、彼の悪癖の理由を知って――。 ✿オメガバースもの掌編二本作。 (『ride』は2021年3月28日に追加します)

帰宅

papiko
BL
遊んでばかりいた養子の長男と実子の双子の次男たち。 双子を庇い、拐われた長男のその後のおはなし。 書きたいところだけ書いた。作者が読みたいだけです。

丁寧な暮らし

COCOmi
BL
「理想的な生活」を夢見る平凡受けが、全てを与えてくれる美形のお兄さんに狂わされていくお話。オチは皆様にお任せ、な感じで終わってます。 ていねいなくらしは自分でこだわって作っていくものですよ、美郷くん。

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

処理中です...