ルームメイトの言動がおかしい

えびまる

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婚約のご挨拶に行く話

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 その後、ルーカスが早く寮に帰りたがったので晩餐の誘いを断って帰ることになった。
 来た時と同じようにヴィンセントとレイリーが見送りに来てくれた。

「ヴィンセント様……!」

 ニコラスは今まで我慢していたのだ。神を神と崇めることを。ヴィンセントの両手をガシッと握り、一歩踏み出す。

「うわ!なんだ!!」
「先程は!本当に、ほんっっっとーーーーに!ありがとうございました!!おかげでややこしくならずにすみました!ヴィンセント様!いえ!ヴィンセントお兄様!!」
「い、いや。私も卑猥な言葉はなるべく聞きたくないし、元はと言えば本人たちの口から話すと言っていたのをレイリーが口を滑らしたからややこしくなったのだ。例には及ばん」
「お、お兄様……」

 感動のあまり泣きそうになりながらヴィンセントに抱きつこうとすると、両手を広げた姿勢から身体が硬直し動かなくなった。

「あれ?」

 視線だけでヴィンセントを見ると、ヴィンセントの方もガシッと後ろから羽交い締めにされていた。レイリーに。
 そのレイリーは初めて見る真顔で
「私が悪かったし、握手は範囲内だよ。でもそれ以上は……ねぇ。いくら義兄弟になるっていっても……ねぇ?」と言った後、ニコリと微笑んだ。

「す、すいません、感動のあまり……」
「わかってるよ、次から気をつけてね。私もごめんね、段取りぶち壊してしまって」
「いえ、それは全然……」
「……ニコラス」

 手を広げたまま固まっているニコラスの正面から抱き着いてきたルーカスは、むっとした上目遣いでニコラスの顔を覗き込んできた。

「ルゥ」
「抱擁は駄目だ。嫉妬してしまう」
「ごめん、問題なくルゥと結婚出来ることが嬉しくて」
「ニコラス♡」
「魔法解いて?」

 その瞬間、パッと身体の硬直が解けた瞬間、勢いを殺せずにガバッとルーカスを抱き締めてしまった。

「おぉ」
「ふふふ」

 義兄達の前ではあるが、あっちはあっちでイチャイチャじゃれ合ってるし、まあいいかと思い馬車に乗る前に可愛いルーカスをしばらく愛でていた。


 ――

 両家へ挨拶することができ、大まかに決定したのは、『婚姻届、及び式は卒業してから三ヶ月後』『子どもは式が終わってから』『卒業後二人で領地に移り、次期領主夫夫として領地経営などを学ぶ』ということだった。
 細かい話は両家の顔合わせの際にする。

 両家共々特に反対意見もなく、とても喜んでくれたのでこちらとしても一安心出来た。

「……あの時はこういう未来が来るとは思わなかった」
「……まあ、始まり方は衝撃的だったけど、俺も学園で伴侶が出来るなんて思ってなかった」
「生まれて初めて勇気というものを振り絞ってみたが、悪くなかったな」
「あはは、振り絞り過ぎだけど、ありがとう。勇気出してくれて……俺さ、ルゥのこと好きだったんだ。でも爵位とかルゥの将来とか考えてビビって無意識に気持ちに蓋してた。……このまま仲良い友だちとして卒業して、大人になってたまに会えたりしたらいいなって。その時はこんなに気安く話せないだろうし、俺にもルゥにもそれぞれ相手が出来たりして、ルゥが幸せそうな顔が見られたらいいなって。……ルゥみたいに正面からぶつかる事を避けた。かっこ悪いし、情けねぇよ」
「ニコラス……。でも、僕だって正攻法ではない。卑怯な手を取ろうとした。子どもだけでもなんて今考えれば凄く無責任だ。子どもに対しても申し訳ないし、一人で全てどうにか出来ると思っていた。凄く甘く見ていたし、凄く傲慢だった。魔王と言われても仕方がない」

 二人は自分たちの両親が喜んでくれていたのを見て、始まり方について思い返していた。

 ニコラスは初めから諦め、逃げ腰になっていた自分の情けなさを恥じ、ルーカスは自らの傲慢さや、無鉄砲さを恥じた。

 ソファに寝そべっているニコラスの上に折り重なるようにして寝そべっているルーカスは、ニコラスの胸にそっと耳を押し当てた。ドクドクとニコラスの心臓の音がしている。

「言い訳だけどさ、俺たちはまだ若いし、人生経験もない。交際も始まったばかりで、これからどんどん壁にぶつかったり、立ち向かったり、諦めたり、色々あると思う」
「……あぁ」
「だけど、もう一人じゃない。俺にはルゥがいるし、ルゥには俺がいる。なんでも話し合って、たまには喧嘩もするかもだけど、でもずっと二人でいよう。支えて、支えてもらってそうしてずっと二人で生きていこう。二人なら、もっと強く、優しくなれる。きっと」

 ニコラスの身体の中と頭の上から響いてくる声に、ルーカスの目には涙が浮かんだ。

「好きだ、ルーカス……好きだ」

 ぎゅっと強く抱きしめられ、溜まった涙がぽろりと溢れ出た。どちらからとも無く顔を寄せあってキスをする。

「今度指輪買いに行こう、ここにつけて欲しい」

 そう言ってニコラスはルーカスの左手の薬指にキスをした。

「同じデザインのものがいい」

 ルーカスは再びニコラスの胸に耳をつけ

 「……早く君のザーメンを僕のおまんこの中いっぱいにして孕ませて欲しいな」

 と言ったあと、ニコラスの心臓の音が早くなったのを聴いてこっそり微笑んだ。


 おわり
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感想 1

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みんなの感想(1件)

鈴
2023.10.23

ルーカスがあほ可愛かったです…豹変したわけではないけれど、行為が始まった途端に雄弁になってドエロ発言止まらなくなっちゃうとことか本当に可愛すぎてたまらんでした!また、暴走を止めようとアワアワするニコラスの姿が面白かったですw

更新が毎日の楽しみになっておりました(*´꒳`*)
気が早すぎますが、新作が発表されることを楽しみにしております💕

2023.10.23 えびまる

お読み頂き、また感想まで頂きましてありがとうございます…!
そのうちニコラスも無意識に淫語を使ってしまって、我に返ったときうわぁ!となると思います笑

とてもありがたいお言葉励みになりますー!
お楽しみいただけたみたいで幸いです。また新作が出来ましたらお楽しみ頂けたらと思います。
本当にありがとうございます😊

解除

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