41 / 63
【本編】
純也[※R18]
しおりを挟む
私は、誰かの気配を感じて目を開けた。
ぼんやりとした視界に見慣れたコウヤの顔が映る。
「コウヤ……?」
コウヤは、いつもの優しい笑顔で、私にそっと口付けを落とす。
そのままベッドの上で服を脱がされて、私はコウヤにされるがまま身体を預けた。
(……ああ、なんだ。
コウヤなら、ここにいるじゃない。
全部、悪い夢だったんだわ…………)
コウヤが私の全身を舐めて、愛撫し、私を快楽の海へと連れて行ってくれる。
ピンポーン…………
玄関からインターホンの音が聞こえる。
途端、私は夢から現実へと引き戻された。
ベッドには、私が一人で寝ていて、部屋には他に誰の姿もない。
(ああ、こっちが現実だったのか…………)
夢に見る程、私はコウヤが…………という考えをすぐに打ち消すと、重い体を引きずって玄関へと向かう。
何故だろう、頭がガンガンする。
「はい………」
何も考えられず、玄関を開けると、そこに立っていたのは、純也だった。
「え……純也? なんで……」
「………~っ!」
純也が何か慌てた様子で口を開けている。
何かを喋っているようだが、何故だか私の耳には、まるで入ってこない。
音声のない映画を見ているような気分だ。
(あ……だめ、目眩が………)
私は、自分の体から力が抜けて倒れるのを感じた。
純也が私を支えようと手を伸ばす映像を最後に、私の意識は途絶えた。
次に私が目を覚ますと、再びベッドの中にいた。
仰向けになって寝ていたようだ。
額に、貼った覚えのない冷えピタが貼られている。
(あれ、私どうしたんだっけ………)
何だか嫌な夢を見ていたような気がする。
「目が覚めたか?」
声がした方を向くと、そこに純也がいた。
そう言えば、夢に純也が出てきたような気がしたが、あれは夢ではなかったのか。
それとも、今見ているこれも夢なのだろうか。
「突然、倒れるんだもんな。びっくりしたよ。
何か食べられそうか?」
純也の声が思いの他優しいので、私は毒気を抜かれて、素直に首を横に振った。
「そうか。冷蔵庫に栄養ドリンクとゼリーと、何か食べられそうなものを買って入れておいたから、食べられそうになったら食べてくれ。
あと、ドラッグストアで風邪薬と解熱剤も買っておいた。ほら、とりあえず、これ飲めるか?」
純也が私の前に錠剤と水の入ったコップを差し出してくれる。
どうやら私は、熱を出して倒れたらしい。
私が身体を起こそうとするのを純也が手伝ってくれる。
病気のせいか、純也に身体を触られても嫌な気持ちにはならなかった。
薬を飲んで、再びベッドに横になる。
「ありがとう。
えっと……純也は、どうして、ここに……?」
「ああ……お前とちゃんと、話をしようと思って来たんだ。
……ほら、この前のことも、謝りたかったし……。
でも、そんな状態じゃあな。……またにするよ」
純也が気まずい顔で頭をかく。
付き合っていた頃にもよく目にした仕草で、一瞬、昔に戻ったような錯覚がした。
「えっと……一人で大丈夫か?」
倦怠感と頭痛は頭痛は続いていたが、解熱剤を飲んだので、すぐに熱は下がるだろう。
私が大丈夫と答えると、純也は、ゆっくり身体を休めろ、と言って部屋を出て行った。
ドアの向こうで玄関の扉が閉まる音が聞こえた。
(純也………)
少しずつ記憶が戻ってくる。
玄関先で気を失った私を純也がベッドまで運んでけれたのだろう。
弱っているせいか、余計に純也の優しさが身に染みる。
それでも、私は…………
(これが、コウヤだったら良かったのにって、思ってる………)
布団を引き上げて顔を覆うと、嗚咽を堪えた。
喉の奥から冷たい液体が込み上げてくるような感覚がして、私の目尻から涙が横に零れた。
(ああ、私………コウヤのことが、好きなんだわ)
コウヤが居なくなってから気付くなんて、私は、本当に大馬鹿者だ。
今更、もう遅い。
コウヤはもう、居なくなってしまったというのに――――。
ぼんやりとした視界に見慣れたコウヤの顔が映る。
「コウヤ……?」
コウヤは、いつもの優しい笑顔で、私にそっと口付けを落とす。
そのままベッドの上で服を脱がされて、私はコウヤにされるがまま身体を預けた。
(……ああ、なんだ。
コウヤなら、ここにいるじゃない。
全部、悪い夢だったんだわ…………)
コウヤが私の全身を舐めて、愛撫し、私を快楽の海へと連れて行ってくれる。
ピンポーン…………
玄関からインターホンの音が聞こえる。
途端、私は夢から現実へと引き戻された。
ベッドには、私が一人で寝ていて、部屋には他に誰の姿もない。
(ああ、こっちが現実だったのか…………)
夢に見る程、私はコウヤが…………という考えをすぐに打ち消すと、重い体を引きずって玄関へと向かう。
何故だろう、頭がガンガンする。
「はい………」
何も考えられず、玄関を開けると、そこに立っていたのは、純也だった。
「え……純也? なんで……」
「………~っ!」
純也が何か慌てた様子で口を開けている。
何かを喋っているようだが、何故だか私の耳には、まるで入ってこない。
音声のない映画を見ているような気分だ。
(あ……だめ、目眩が………)
私は、自分の体から力が抜けて倒れるのを感じた。
純也が私を支えようと手を伸ばす映像を最後に、私の意識は途絶えた。
次に私が目を覚ますと、再びベッドの中にいた。
仰向けになって寝ていたようだ。
額に、貼った覚えのない冷えピタが貼られている。
(あれ、私どうしたんだっけ………)
何だか嫌な夢を見ていたような気がする。
「目が覚めたか?」
声がした方を向くと、そこに純也がいた。
そう言えば、夢に純也が出てきたような気がしたが、あれは夢ではなかったのか。
それとも、今見ているこれも夢なのだろうか。
「突然、倒れるんだもんな。びっくりしたよ。
何か食べられそうか?」
純也の声が思いの他優しいので、私は毒気を抜かれて、素直に首を横に振った。
「そうか。冷蔵庫に栄養ドリンクとゼリーと、何か食べられそうなものを買って入れておいたから、食べられそうになったら食べてくれ。
あと、ドラッグストアで風邪薬と解熱剤も買っておいた。ほら、とりあえず、これ飲めるか?」
純也が私の前に錠剤と水の入ったコップを差し出してくれる。
どうやら私は、熱を出して倒れたらしい。
私が身体を起こそうとするのを純也が手伝ってくれる。
病気のせいか、純也に身体を触られても嫌な気持ちにはならなかった。
薬を飲んで、再びベッドに横になる。
「ありがとう。
えっと……純也は、どうして、ここに……?」
「ああ……お前とちゃんと、話をしようと思って来たんだ。
……ほら、この前のことも、謝りたかったし……。
でも、そんな状態じゃあな。……またにするよ」
純也が気まずい顔で頭をかく。
付き合っていた頃にもよく目にした仕草で、一瞬、昔に戻ったような錯覚がした。
「えっと……一人で大丈夫か?」
倦怠感と頭痛は頭痛は続いていたが、解熱剤を飲んだので、すぐに熱は下がるだろう。
私が大丈夫と答えると、純也は、ゆっくり身体を休めろ、と言って部屋を出て行った。
ドアの向こうで玄関の扉が閉まる音が聞こえた。
(純也………)
少しずつ記憶が戻ってくる。
玄関先で気を失った私を純也がベッドまで運んでけれたのだろう。
弱っているせいか、余計に純也の優しさが身に染みる。
それでも、私は…………
(これが、コウヤだったら良かったのにって、思ってる………)
布団を引き上げて顔を覆うと、嗚咽を堪えた。
喉の奥から冷たい液体が込み上げてくるような感覚がして、私の目尻から涙が横に零れた。
(ああ、私………コウヤのことが、好きなんだわ)
コウヤが居なくなってから気付くなんて、私は、本当に大馬鹿者だ。
今更、もう遅い。
コウヤはもう、居なくなってしまったというのに――――。
2
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。
雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。
——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない)
※完結直後のものです。
黒豹の騎士団長様に美味しく食べられました
Adria
恋愛
子供の時に傷を負った獣人であるリグニスを助けてから、彼は事あるごとにクリスティアーナに会いにきた。だが、人の姿の時は会ってくれない。
そのことに不満を感じ、ついにクリスティアーナは別れを切り出した。すると、豹のままの彼に押し倒されて――
イラスト:日室千種様(@ChiguHimu)
【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】
うすい
恋愛
【ストーリー】
幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。
そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。
3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。
さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。
【登場人物】
・ななか
広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。
・かつや
不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。
・よしひこ
飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。
・しんじ
工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。
【注意】
※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。
そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。
フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。
※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。
※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。
【R18】聖女のお役目【完結済】
ワシ蔵
恋愛
平凡なOLの加賀美紗香は、ある日入浴中に、突然異世界へ転移してしまう。
その国には、聖女が騎士たちに祝福を与えるという伝説があった。
紗香は、その聖女として召喚されたのだと言う。
祭壇に捧げられた聖女は、今日も騎士達に祝福を与える。
※性描写有りは★マークです。
※肉体的に複数と触れ合うため「逆ハーレム」タグをつけていますが、精神的にはほとんど1対1です。
【R18】軍人彼氏の秘密〜可愛い大型犬だと思っていた恋人は、獰猛な獣でした〜
レイラ
恋愛
王城で事務員として働くユフェは、軍部の精鋭、フレッドに大変懐かれている。今日も今日とて寝癖を直してやったり、ほつれた制服を修繕してやったり。こんなにも尻尾を振って追いかけてくるなんて、絶対私の事好きだよね?絆されるようにして付き合って知る、彼の本性とは…
◆ムーンライトノベルズにも投稿しています。
オオカミの旦那様、もう一度抱いていただけませんか
梅乃なごみ
恋愛
犬族(オオカミ)の第二王子・グレッグと結婚し3年。
猫族のメアリーは可愛い息子を出産した際に獣人から《ヒト》となった。
耳と尻尾以外がなくなって以来、夫はメアリーに触れず、結婚前と同様キス止まりに。
募った想いを胸にひとりでシていたメアリーの元に現れたのは、遠征中で帰ってくるはずのない夫で……!?
《婚前レスの王子に真実の姿をさらけ出す薬を飲ませたら――オオカミだったんですか?》の番外編です。
この話単体でも読めます。
ひたすららぶらぶいちゃいちゃえっちする話。9割えっちしてます。
全8話の完結投稿です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる