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第2章 ダンジョン編
第9-1話
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ベルティアにとって、ゲオンは、単なる足手まといでしかないと思っていた。
だが、後々ゲオンが、ベルティアの役に立つこととなる。その頃の彼女はまだ、そのことを全く知らないのだった。
ダンジョンの入り口は、とてつもなく特殊だった。
ヴォヴゥレの街を包み込むように広がっている巨大な森林の中に「それ」はある。というか、居た!
そのダンジョンの入り口は、巨大ワニの口なのだという。巨大ワニには、トムという、まぬけな名前までついている。
トムワニの巨大な口が、異空間と通じ、古からある広いダンジョンへ繋がっているというのだ。
ワニの大きさは、町3つ分ほどもあるという。全身茶色で、多数のイボのある不気味な真っ赤な瞳のワニだそうだ。
「あ~あ、ダンジョン行く前にワニ探しって、マジかったり~~~!灼熱の砂漠に突然出現したすぐに溶けちゃいそうなアイスのように、かったり~~~~~!!」
ベルティアは、1人ぼやいた。
でも、町3つ分ほどの巨大ワニだ。見回せばいるかもしれない!彼女は、それを期待し、周りを見渡したのだった。
だが、ただただ、森林が目に入るだけで、見渡しても巨大ワニの姿はない。
ベルティアは、少しの間、かったるそうに何度もため息をつきつつ、そこに立ち止まっていたのだった。
しかし、そうしていても、時が、無駄に過ぎていく。
「私がしっかりしなきゃ、ご飯は食べれないわっ!」
ベルティアは、自分の両頬をビンタするかのような勢いで叩くと、神経を集中させていく。
ベルティアはワニを探すため、ただただ集中し、神経を研ぎ澄ませた。
彼女は、トムワニを探し、一発でぶっ倒して伸びさせ、それから、ダンジョンへ行こうと画策している。トムワニと仲良くなることは、考えに無かった。
神経を研ぎ澄ませながら森林の中を進んでいるため、ベルティアの歩みが、ゲオンよりも遅くなる。
ゲオンとベルティアの距離は、少しずつ開いていった。
そしてついに、ベルティアの傍からゲオンの気配が消えると、ベルティアは、思わず安堵の吐息をもらす。
「正直、足手まといがいなくなって、ほっとしたわ。さあ、気配を……って、ええっ!!?」
目の前の大木の後ろから、いきなりゲオンが現れたのだ。
ベルティアは、ワニの気配を探るので忙しく、ゲオンの気配を感じ取ることができなかった。
「ベルティアちゃん。ワニのトム、俺が連れてきたよ。」
ゲオンが、にっこりと笑う。
「ええっ!!?」
何とゲオンの後ろには、いつの間にか、大きな茶色の山が存在していた。
その山には、2つの真っ赤な瞳があり、どデカい口も存在する。
その口の中から、よだれがたれ、口の中には真っ赤な空間が広がっている。
巨大ワニは、大人しかった。ゲオンの後ろに、黙って鎮座している。
「どっ……どうやって連れてきたの?」
ベルティアのそのマリンブルーの綺麗な目が、驚きで大きく見開かれる。
「え?ただ単に名前を呼んだだけさ。トムと俺は親友だから、俺が呼ぶと、すぐに来てくれるんだ。その『トム』って名前も、俺がつけたのさ。」
ゲオンが誇らしげに胸を張る。
って、んなセンス無ぇ名前つけて、んなに誇らしげに胸張るなよっ!ベルティアが、1人心の中で、ツッコミを入れた。
だが、後々ゲオンが、ベルティアの役に立つこととなる。その頃の彼女はまだ、そのことを全く知らないのだった。
ダンジョンの入り口は、とてつもなく特殊だった。
ヴォヴゥレの街を包み込むように広がっている巨大な森林の中に「それ」はある。というか、居た!
そのダンジョンの入り口は、巨大ワニの口なのだという。巨大ワニには、トムという、まぬけな名前までついている。
トムワニの巨大な口が、異空間と通じ、古からある広いダンジョンへ繋がっているというのだ。
ワニの大きさは、町3つ分ほどもあるという。全身茶色で、多数のイボのある不気味な真っ赤な瞳のワニだそうだ。
「あ~あ、ダンジョン行く前にワニ探しって、マジかったり~~~!灼熱の砂漠に突然出現したすぐに溶けちゃいそうなアイスのように、かったり~~~~~!!」
ベルティアは、1人ぼやいた。
でも、町3つ分ほどの巨大ワニだ。見回せばいるかもしれない!彼女は、それを期待し、周りを見渡したのだった。
だが、ただただ、森林が目に入るだけで、見渡しても巨大ワニの姿はない。
ベルティアは、少しの間、かったるそうに何度もため息をつきつつ、そこに立ち止まっていたのだった。
しかし、そうしていても、時が、無駄に過ぎていく。
「私がしっかりしなきゃ、ご飯は食べれないわっ!」
ベルティアは、自分の両頬をビンタするかのような勢いで叩くと、神経を集中させていく。
ベルティアはワニを探すため、ただただ集中し、神経を研ぎ澄ませた。
彼女は、トムワニを探し、一発でぶっ倒して伸びさせ、それから、ダンジョンへ行こうと画策している。トムワニと仲良くなることは、考えに無かった。
神経を研ぎ澄ませながら森林の中を進んでいるため、ベルティアの歩みが、ゲオンよりも遅くなる。
ゲオンとベルティアの距離は、少しずつ開いていった。
そしてついに、ベルティアの傍からゲオンの気配が消えると、ベルティアは、思わず安堵の吐息をもらす。
「正直、足手まといがいなくなって、ほっとしたわ。さあ、気配を……って、ええっ!!?」
目の前の大木の後ろから、いきなりゲオンが現れたのだ。
ベルティアは、ワニの気配を探るので忙しく、ゲオンの気配を感じ取ることができなかった。
「ベルティアちゃん。ワニのトム、俺が連れてきたよ。」
ゲオンが、にっこりと笑う。
「ええっ!!?」
何とゲオンの後ろには、いつの間にか、大きな茶色の山が存在していた。
その山には、2つの真っ赤な瞳があり、どデカい口も存在する。
その口の中から、よだれがたれ、口の中には真っ赤な空間が広がっている。
巨大ワニは、大人しかった。ゲオンの後ろに、黙って鎮座している。
「どっ……どうやって連れてきたの?」
ベルティアのそのマリンブルーの綺麗な目が、驚きで大きく見開かれる。
「え?ただ単に名前を呼んだだけさ。トムと俺は親友だから、俺が呼ぶと、すぐに来てくれるんだ。その『トム』って名前も、俺がつけたのさ。」
ゲオンが誇らしげに胸を張る。
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