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24話

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 ヴァルプール・ハロルド王太子の調査報告1

 証言者・アトリア聖女様
「私が捨てられたのは突然でした。晩餐会の会場でいきなり婚約破棄をされて、あれよあれよと国を追い出されてしまったんです。え? 不審な点ですか? そうですね、数日前までは愛を語ってくれたのですが、それから晩餐会までは会っていませんでしたので、その間に何かあったのかもしれません」

 証言者2・メジェンヌ国王陛下
「ワシが会ったのは数か月前だが、その時はアトリア聖女様にゾッコンでな、婚約破棄を聞いた時は耳を疑った物だ。不審な点か? そうだな……わからん!」

「おいセルジュ」

「うむぅ、流石に2人では大した情報は得られないか」

「おいセルジュ!」

「まあいい、引き続き調査を進めよう」

「話を聞けバカセルジュ!」

「アル! 仮にも王太子に向かってバカとはなんだ!」

「知りたいと思っている御二人に聞いて何の意味があるのだ!」

「……おお、流石はアルバート神官長、鋭い指摘だ」

 セルジュの茶番に付き合ったけど、この2人、相変わらず仲が良い。
 でも考えてみれば、会わなかった数日間に何かがあったから、晩餐会に繋がるのよね?
 じゃああながち、無意味な聞き取りじゃ無かったかもしれない。

「御二人とも茶番はその辺にして、聖女様の話にあった空白の数日について調べてはどうでしょう」

 ロナウド副団長鋭い!
 
「それを調べるにはヴァルプールへ赴かねばならんな。よし、ちょっと出かけてくる」

「だから待たんか! 王太子が軽々しく他国へ、しかも従属国へ行ってどうする!」

「ではお前が行くか? アル」

「私が行っても意味はない。そういった調査のノウハウが無いからな」

「私が参りましょう。騎士団をヴァルプールに駐留させていますので、視察という名目が使えます。更に騎士団には敵国の視察任務や内定調査任務もあるため、ノウハウもあります」

 なんて適任! これ以上ないくらいにピッタリな人がここに!
 
「ロナウド副団長にお願いしてもよろしいですか?」

「はっ! 聖女様の為、粉骨砕身、洗いざらい調べて参ります!」

 胸に手を当てて片膝をつき、私に頭を下げる。
 ロナウド副団長は背が高いから、膝をついても顔の位置が私と同じか少し低いくらい。
 普段は口数が少ない人だけど、とっても真摯な人だから安心して任せられる。

「それでは早速準備をして出発いたします」

 きびすを返して謁見の間から出て行った。

「我々は国内で出来る調査を進めよう」

「うむ、セルジュに任せよう。アルバート神官長も手を貸してやってくれ」

「は、お任せください陛下」

 こうして本格的な調査が始まった。
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