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14話

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「ヴァルプールが戦争って、いったい何があったんですか!?」

「別に普通だろう。ヴァルプールは小国であり、以前ならば緩衝地帯としての価値があったが、聖女の加護を受けられない今、その役割が無くなってしまった。加護のない小国では、加護を受けた国に手も足も出ないからな」

 加護の有る無しでそんな事が起こるなんて……。
 でもそれだと、まるで私がヴァルプールを滅ぼしたみたいになっちゃうけど。
 王族や貴族はまだしも、市民が戦争に巻き込まれるのは……いや。

「ポーションを作らなくても、戦争は無くなりませんよね?」

「当たり前だ。お前が作らなくても、すでに他の国では大量生産しているはずだ」

「じゃあ、加護が無くなれば?」

「……それはやってはいけない事だ。1度与えた加護を無くすことは、お前の、ひいては国の信頼を失う事になる」

 そ、そっか。国に迷惑をかける訳にはいかない。
 でも……なんとか戦争を避けられないかな。

「聖女様、自分を捨てた国を、救いたいとお考えですか?」

 アルバート神官長が真剣な目で見つめてくる。
 私の行動は矛盾しているからだろうか。
 ヴァルプールとの関係を無くしたいと言いながら、ヴァルプールを救いたいと思ってる。

「救い……たいです」

「聖女様を、アトリア様を捨てた国でも?」

「はい。少なくとも、国民を戦火に巻き込ませたくはありません」

「分かりました。失礼ながら、本日はこれにて失礼させていただきます。レオン長官、今日も奥様がお迎えにいらっしゃいますよね? 一緒に聖女様を神殿に送って差し上げてください」

「ん? 私は研究が……」

「お願いします」

「分かった」

「それでは失礼いたします」

 そういってアルバート神官長は部屋を出て行った。
 どうしたんだろう。怒ってる……わけじゃないよね? 私のわがままを、聞いてくれるのかな。
 でもどうやって?

「あいつが俺に頼みをするなんてな。珍しくやる気がある様だ」

「え? アルバート神官長はいつも真面目な人ですよ?」

「あいつは与えられた仕事は忠実にこなす。だが自ら行動する事は滅多にない」

「そうなんですか? なんだか意外です」

「ま、そんなあいつの頼みだ、妻が迎えに来たら神殿まで送ろう」

「はい、ありがとうございます」

 ……レオン長官って結婚してるんだ。
 しばらく研究所を見学していると、奥さんが迎えに来た。
 スゴイ美人だった……。

 化学技術庁に行ってから数日後、アルバート神官長が部屋に入ってきた。

「聖女様、この書類をご確認ください」

 渡された書類は、ヴァルプールへの派兵計画書だった。
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