【完結】小国の王太子に捨てられたけど、大国の王太子に溺愛されています。え?私って聖女なの?

如月ぐるぐる

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6話

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『ヴァルプール国のハロルド王太子とマーテリー嬢が結婚式をあげる』

 その報を聞いた時、私は何とも言えない感情が渦巻いた。
 もう何とも思っていないと思ってたけど、元婚約者と私を貶めた女の結婚は、やっぱり不快だった。
 結婚って、みんなが祝福する訳じゃないんだね。

 考えないでおこう。偶然とはいえ私は聖女になるんだ。
 今は出来る事を精いっぱいやっていよう。

「それではみそぎの泉で身を清めてください」

 神官長アルバートさんに言われて、私は神殿の奥深くにある神聖な泉に入る。
 うすい衣装で体のラインが丸見えだけど、ここには私しかいない。
 何度か泉に潜り、髪を含めた全身を清める。

 泉から出て着替えをする。
 シスター達が全部やってくれるけど、ううっ、恥ずかしいよぅ。

 白いシスター衣装に着替え、神殿の祭壇前に膝まづく。
 神官長アルバートさんが私に祈りを捧げ、次に神様の彫像に祈る。
 するとどうだろう、彫像が七色の光を放ち、光が私に伸びてきた!

 ビックリして目をつむったけど、痛くもなんともない。
 目を開けると、私自身が七色に光ってる。

 彫像の光がゆっくりと私に移り、彫像は……光を失った。
 代わりに私が強く光ってる。
 彫像の光が全部私に来たみたい。でも光はすぐに消えて無くなった。

 これが……聖女の禊の儀?

「それではこちらへ」

 アルバートさんに案内されて、閉ざされていた神殿の扉を開く。

 目に入ったのは沢山の人。聞こえてくるのは大歓声。
 思わず立ち止まったけど、アルバートさんにやさしく背を押された。

「今日、この地に聖女様が誕生した! 国は大いにさかえ、国民は聖女様に守護される!」

 沢山の、本当に沢山の人が集まって喜んでる。
 私? 私を見るために集まったの? これだけの人が?

 国王陛下が私の前で膝をつき、片手を取ってキスをした。

「聖女様、どうかこの国のために、そのお力をお貸しください」

「はい。力の限り」

 さらに大きな歓声が上がった。
 どうやらこれで私は、この国・メジェンヌの聖女として認められたみたい。

 その後は違う意味で大変だった。
 パーティーに引っ張りだこで、10日近くは毎日どこかのパーティーに呼ばれた。
 慣れてはいるんだけどね……流石に10日連続は疲れた。

 とは言え、聖女様になって何をするって言っても、毎朝祈りを捧げて、時々医療施設で治癒の力を使うくらい。
 お祭りがひと段落したら暇なものだった。

 最低限お祈りを欠かさなければ文句も言われず、治癒の力もあまり使う必要が無かった。
 聖女が誕生したら、庇護下にある国民は重病人以外は健康になったそうだ。
 お祈りが関係してるのかな。

 そんな暇を持て余していると、神殿の入り口が騒がしくなった。

「聖女様お助け下さい! 騎士が魔物に襲われて大怪我をしてしまったのです!」

 大変! 急がないと!
 神殿の前には鎧を着た騎士が沢山いて、その半分近くは血まみれだった。
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