【完結】私よりも妹が大事なんですか?~捨てる親あれば拾う王子あり~

如月ぐるぐる

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22話

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 ナンシーと一緒に教室に入ると、クラスメイトがざわめき始める。
 それはそうよね、いなくなったはずのナンシーがいるんだもの、ビックリするわよね。

 私とナンシーがよく座っていた席に着くと、数名のクラスメイトが近づいて来る。

「その、アシュリー、今まで本当にすまなかった。片方の言い分しか聞かずに、勝手に悪い方に考えちまった」

「僕もすまない。君とは1年間一緒に居たのに、会ったばかりの人間の言葉を信じてしまった」

 アレンとローランが頭を下げてる。
 その後ろではクラスメイトが申し訳なさそうに頭を下げてる。

「え? ちょっと待って。あんたたち、まさか私が居なくなった後も、アシュリーをのけ者にしてたの!?」

「……ああ、本当にすまないと思ってる」

「すまない」

「あっきれた! そこまで人を見る目が無いとは思わなかったわ!」

「な、ナンシー? ちょっと落ち着いて? ね?」

「アシュリーはもっと強くでなきゃダメ!」

「は、はい」

 あら? なんだか私が怒られてるわ。
 なんだか謝られたり怒られたりと忙しいわね。

 そんな事をしていたら、バート様が入ってきた。
 バート様はみんなが私に群がっているのを見て、慌てて走り寄って来る。

「おい! 何をやってるんだ、まさかまだアシュリーを!?」

「ち、違う違う! 俺達はアシュリーに謝ってたんだ!」

「謝って……ああそうか、それならいいんだ」

「バート様、やっほ」

「ナンシー久しぶりだね。何とか間に合ってホッとしている」

「あの、バート様……色々とお世話をかけていたのですね。ありがとうございます」

「気にしないでくれ。俺はこんなやり方しか出来ない臆病者さ。何とかアシュリーの名誉を回復させないと、あの子に合わせる顔が無いからね」

「あの子?」

「気にしないでくれ」

 少し恥ずかしそうに顔を背けた。
 あら? 珍しい反応だわ。でも、なにかしら、疲れてるように見える。



 卒業式の予行練習は順調に進み、私は久しぶりにナンシーとバート様とで街に遊びに出た。
 ずっと来れなかった穴場のカフェテリアだ。

「それにしても、私はバート様に頭が上がらないな~。どうやってお礼をしたらいい?」

「気にするなって言ってるだろ? 友人を助けるのは当たり前だ。むしろ遅いくらいだったからな」

「それが私のお礼を受け取らない理由ですか? まるで私が悪い子みたいじゃないですか」

「アシュリーはいいんだよ。君は俺にからかわれていればいいんだ」

「あ、酷い言い方」

「素直じゃないな~バート様。ところでさ、あの子って誰の事?」

 教室でのやり取りを思い出す。
 あの子に合わせる顔が無い、バート様はそう言っていたわね。
 誰かしら、恋人?

「忘れろと言っているのに……まあいい。昔、街に遊びに来た時に馬車から落ちたんだが、その時女の子に助けてもらったんだ。その時の子さ」

「へぇ、バート様は昔から落ち着きが無かったんですか?」

「む、昔の話だ! 今はそうでもない」

 そんな過去があったんだ。
 これは……からかわれた時に使えるわね。
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