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15話
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◆魔界・マイヤー元男爵夫妻◆
「カタリナ、さっきから大技を連発しているが大丈夫か?」
「久しぶりだからちょっと鈍っているわね。少しだけ休憩してもいいかしら?」
「もちろんだ」
マイヤー元男爵がいびつに曲がりくねった木に剣を振るうと、ベンチが完成した。
そこにマイヤー夫人が腰を掛け、マイヤー元男爵は水筒を渡す。
「ありがとう、アナタ」
魔界には魔素が満ち溢れている。本来ならば大量の魔素を浴びた人間は生きていられない。
それなのに2人は戦いの疲れこそあるが、魔素の影響は無い様だ。
「魔界も随分と変わったな。以前来た時よりも森も魔素も密度が高いし、遭遇する悪魔も強大になっている」
「そうね、今回の支配者は随分と強そう」
前回、2人が結婚する前に前悪魔の支配者が門を開け、魔の森に魔族が溢れた事がある。
その時にも魔界に入り、魔界の支配者・ルーラーを倒したのだ。
「そうだな、どうやら今回の奴は、魔の森の結界が弱くなったタイミングを見て、門を開けた様だ」
「前支配者は力づくだったけど、今回は頭を使いそうね」
「注意する必要がありそうだ」
その後、軽く食事を済ませて出発し、魔界の支配者の元へと進むのだった。
◆王城・ローラ公爵令嬢◆
誰もが私のいう事を聞いている。
お茶会でもみんなが私の指示に従い、舞踏会でもみんなが私と踊りたがった。
どこへ行っても誰もが私に頭を下げて、私の顔色を伺っていた。
当たり前よ、私はそうされるべき存在。誰もが疑う事なく王妃となり、各国の王族が私の顔色を伺いに来る。
……はずだった。
そんな当たり前な日常は破壊され、魔族という天災が私を襲った。
それからは全てが狂ってしまった。
発言は全て否定され、良かれと思った行動は止められ、やる事なす事すべてが上手くいかなくなった。
どうしてだろう。きっと嫉妬してるんだわ。美しく聡明な私に、自分たちに足りない物を全て持っている私に、妬んでいるんだわ。
そう、神でさえ私に嫉妬し、天使ではなく悪魔を寄越すくらいだもの。
私は神にすら恐れられる存在。
ハインツ王太子、早く助けに来て。アナタが愛すべき女はここに居るわ。
◆王城・ジェニファー元男爵令嬢◆
とても幸せな2日間だった。
ハインツ様とおしゃべりをして、陛下とボードゲームをして、王妃様とお茶をした。
あまり表に出なかった第二王子や第三王子ともお話できた。
おしゃれして美味しいものを食べて、おしゃべりして。
でも残念ながら、魔族が街に近づいていると報告が入った。
「報告します! 魔族の集団は、街を囲むように集まって来ています!」
どうやら上級魔族の中に、リーダー格が生まれてしまったみたい。
そうでなければ魔族がまとまる事は無い。
そうだとしたら、のんびりしていられないな。
「うむ、魔族の総数はどれだけか」
「総数は……数えられない程……としか」
「そうか。城壁の修理はどうなっている?」
「は、修理は進めておりますが、破壊された箇所は依然直っておりません」
「引き続き修理を続けよ。騎士及び兵士は配置に付け!」
「はっ!」
「はっ!」
謁見の間では作戦会議が開かれているけど、どうしたんだろう、騎士・兵士の数は数万は居るはずだけど、それだけいれば魔族なんて簡単に蹴散らせない?
は! ひょっとして陛下は魔族にすら温情を与えるのね!? 魔族とはいえ生きているんだもの、何とか対話で平和的な解決方法を模索しておられるんだわ!!
はぁ~、やっぱり一国の主ともなると、考える事が違うんだな。
倒してしまえばいい、なんて短絡的な考えをした自分が恥ずかしい。
対話か……魔族って言葉わかるの? よし! みんなは忙しいだろうから、暇な私が調べてこよう!
「陛下、陛下の御心に感服いたしました。不詳このジェニファーが、お心に沿うような結果を出して見せます!」
「そうか、行ってくれるかジェニファー嬢よ。すまぬ、いつもいつも頼ってばかりだ」
「それが、陛下の臣たるものの務めです」
城壁を出て、遠くから迫ってくる魔族を観察する。
あ、鎧とか武器は磨き上げられてピッカピカになってた。
……魂、入ってないよね?
どこかにリーダー格がいるはずだけど……前線には出て来ないタイプかなぁ。
いつもだったら魔族を倒しまくって終わらせるけど、今回は陛下のご意向で、殺さずに帰ってもらわないといけない。
できるかな。魔族を倒す事の訓練はしてきたけど、生け捕りとか戦意をくじく方法は教わってない。
生け捕りは良いけど、戦意をくじくにはどうしたらいいんだろう。
ん~~……ん? ……ん~……。
あ、これでやってみよう!
要は、勝てないと思わせればいいのよね?
よし、流石に時間がかかるから、魔族と接触する前には詠唱を終わらせないとね!
これはお母さまから使うなと言われた魔法。
お父さまからも禁止されている魔法。
でも、脅しになら使ってもいいよね?
「ステラ・バースト!」
「カタリナ、さっきから大技を連発しているが大丈夫か?」
「久しぶりだからちょっと鈍っているわね。少しだけ休憩してもいいかしら?」
「もちろんだ」
マイヤー元男爵がいびつに曲がりくねった木に剣を振るうと、ベンチが完成した。
そこにマイヤー夫人が腰を掛け、マイヤー元男爵は水筒を渡す。
「ありがとう、アナタ」
魔界には魔素が満ち溢れている。本来ならば大量の魔素を浴びた人間は生きていられない。
それなのに2人は戦いの疲れこそあるが、魔素の影響は無い様だ。
「魔界も随分と変わったな。以前来た時よりも森も魔素も密度が高いし、遭遇する悪魔も強大になっている」
「そうね、今回の支配者は随分と強そう」
前回、2人が結婚する前に前悪魔の支配者が門を開け、魔の森に魔族が溢れた事がある。
その時にも魔界に入り、魔界の支配者・ルーラーを倒したのだ。
「そうだな、どうやら今回の奴は、魔の森の結界が弱くなったタイミングを見て、門を開けた様だ」
「前支配者は力づくだったけど、今回は頭を使いそうね」
「注意する必要がありそうだ」
その後、軽く食事を済ませて出発し、魔界の支配者の元へと進むのだった。
◆王城・ローラ公爵令嬢◆
誰もが私のいう事を聞いている。
お茶会でもみんなが私の指示に従い、舞踏会でもみんなが私と踊りたがった。
どこへ行っても誰もが私に頭を下げて、私の顔色を伺っていた。
当たり前よ、私はそうされるべき存在。誰もが疑う事なく王妃となり、各国の王族が私の顔色を伺いに来る。
……はずだった。
そんな当たり前な日常は破壊され、魔族という天災が私を襲った。
それからは全てが狂ってしまった。
発言は全て否定され、良かれと思った行動は止められ、やる事なす事すべてが上手くいかなくなった。
どうしてだろう。きっと嫉妬してるんだわ。美しく聡明な私に、自分たちに足りない物を全て持っている私に、妬んでいるんだわ。
そう、神でさえ私に嫉妬し、天使ではなく悪魔を寄越すくらいだもの。
私は神にすら恐れられる存在。
ハインツ王太子、早く助けに来て。アナタが愛すべき女はここに居るわ。
◆王城・ジェニファー元男爵令嬢◆
とても幸せな2日間だった。
ハインツ様とおしゃべりをして、陛下とボードゲームをして、王妃様とお茶をした。
あまり表に出なかった第二王子や第三王子ともお話できた。
おしゃれして美味しいものを食べて、おしゃべりして。
でも残念ながら、魔族が街に近づいていると報告が入った。
「報告します! 魔族の集団は、街を囲むように集まって来ています!」
どうやら上級魔族の中に、リーダー格が生まれてしまったみたい。
そうでなければ魔族がまとまる事は無い。
そうだとしたら、のんびりしていられないな。
「うむ、魔族の総数はどれだけか」
「総数は……数えられない程……としか」
「そうか。城壁の修理はどうなっている?」
「は、修理は進めておりますが、破壊された箇所は依然直っておりません」
「引き続き修理を続けよ。騎士及び兵士は配置に付け!」
「はっ!」
「はっ!」
謁見の間では作戦会議が開かれているけど、どうしたんだろう、騎士・兵士の数は数万は居るはずだけど、それだけいれば魔族なんて簡単に蹴散らせない?
は! ひょっとして陛下は魔族にすら温情を与えるのね!? 魔族とはいえ生きているんだもの、何とか対話で平和的な解決方法を模索しておられるんだわ!!
はぁ~、やっぱり一国の主ともなると、考える事が違うんだな。
倒してしまえばいい、なんて短絡的な考えをした自分が恥ずかしい。
対話か……魔族って言葉わかるの? よし! みんなは忙しいだろうから、暇な私が調べてこよう!
「陛下、陛下の御心に感服いたしました。不詳このジェニファーが、お心に沿うような結果を出して見せます!」
「そうか、行ってくれるかジェニファー嬢よ。すまぬ、いつもいつも頼ってばかりだ」
「それが、陛下の臣たるものの務めです」
城壁を出て、遠くから迫ってくる魔族を観察する。
あ、鎧とか武器は磨き上げられてピッカピカになってた。
……魂、入ってないよね?
どこかにリーダー格がいるはずだけど……前線には出て来ないタイプかなぁ。
いつもだったら魔族を倒しまくって終わらせるけど、今回は陛下のご意向で、殺さずに帰ってもらわないといけない。
できるかな。魔族を倒す事の訓練はしてきたけど、生け捕りとか戦意をくじく方法は教わってない。
生け捕りは良いけど、戦意をくじくにはどうしたらいいんだろう。
ん~~……ん? ……ん~……。
あ、これでやってみよう!
要は、勝てないと思わせればいいのよね?
よし、流石に時間がかかるから、魔族と接触する前には詠唱を終わらせないとね!
これはお母さまから使うなと言われた魔法。
お父さまからも禁止されている魔法。
でも、脅しになら使ってもいいよね?
「ステラ・バースト!」
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