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11話
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◆王都城壁付近・ジェニファー◆
低級中級魔族は一通り倒したけど、まだ上級が残ってる。
上級魔族ともなると、獣種でもかなり強いから注意しないと。
まずはオーソドックスな、人型にコウモリの翼が生えた奴からいく!
目の前の上級魔族が雄叫びを上げると、周囲の魔族も呼応して雄叫びを上げる。
あ! しまった!
雄叫びは私を囲むように、私に集中するように発せられる。
地面が裂け、空気が爆発するような音を上げる。
いえ、実際に爆発した。
迂闊だった……上級魔族がこれだけ集まるなんて初めてだから、ソニックレゾネンスの事を忘れてた。
爆風で吹き飛ばされ、空高く舞い上げられた。耳が痛い! 自分がどこを向いているのか分かんないじゃない!
多分頭が地面に向いてたんだと思う、頭側から大きな口を開けた大型獣種が迫ってくる。
「ペガサス・レッグ!」
具足から翼が生えて空を走るように駆ける。
すんでの所で獣種の牙から逃れ、走った勢いのまま反撃を試みる。
どうやらこいつは翼が無く、ジャンプしただけみたいだ。
よーし、落下速度を利用して! 私は地面に向けてジャンプをし、獣種の下側に回り込み、私の身長よりも大きな剣を構えた。
「最・大・ジャンプ!」
落ちてくる獣種目がけて飛ぶと、剣に軽い抵抗があっただけで獣種は真っ二つに切れてしまう。
この剣、昔お父さまが使ってたらしいけど、どういうしろ物なんだろう。
明らかに剣の長さよりも長く斬れてる。
ま、いっか♪
最大ジャンプしたもんだから、気が付いたら雲の中にいた。
「あ、いっけない、戻んなきゃ」
もう一度地面に向けて最大ジャンプをすると、あ! ダメだったら! 地面で上級魔族が数体待ち構えていた。
ダメ! ダメダメダメ! 最大ジャンプは急には止まれないのー!
直下では魔族数体が魔法を発射しようとしており、このままだと直撃を食らっちゃう!
「粉砕の剣!」
もう一本の剣、こっちは普通のロングソードだけど、これも昔お父さまが使ってて、お母さまが魔法で色々と遊んだ品……らしい。
刀身が光り輝く位だから、きっと灯りが欲しい時に作ったのね。名前とは一致しないけど。
魔族が魔法を発射した。
不死鳥の火炎、大地に蓋をする大岩、永久凍土の氷の槍、天地を繋ぐ竜巻。
どれも中級程度の魔法だけど、流石は上級魔族、飛んでくる順番や位置で相乗効果がある組み合わせだ。
よし! じゃあ私は上級魔法を……ダメ! 城壁の近くで使ったら城壁が飛んでっちゃう!!
「んもぉ! どうして王都の城壁ってもっと魔法で強化したり、アダマンタイトで作ったりしないの!?」
仕方なく全てを消滅させることにする。
粉砕の剣の灯りの機能を使って強い光を放つ。この光、なぜだか色んな物を撃ち消してくれるのよね~。
剣を突き出して落下し、すべての魔法を撃ち消しながら着地する。
あ、魔族の魔法のお陰で着地がマイルドになった。ラッキ。
「よぉ~っし、単体の上級魔法なら城壁にも影響ないよね!」
◆王城内・公爵令嬢・ローラ◆
「何があったの?」
突然巨大な6本足の魔物が動かなくなり、続いて城壁の外では地獄の業火が吹き荒れた。
魔族が……仲間割れ?
更には恐ろしい叫び声が鳴り響き、地面が大きく揺れて爆発が起こる。
「キャー!」
思わず耳を塞いで屈みこんだけど、耳が痛い!
やっと声が収まったと思って手を離すと、手には血が付いていた。
え? なに? 私怪我をしたの?
耳から血が流れていてジンジンする。
「いみゃのはにゃに……!?」
耳が良く聞こえない!! すごくゴモっていて、自分が何を言っているのか、周りの音も良く聞こえない。
きっと……きっと魔族同士が争っているんだわ。そのまま同士討ちしてくれればいいのに!
でも私の願いは空しく、さらなる恐怖が目に入る。
巨大な狼が空へ向かって飛んだのだ。あんなのが街に落ちたら……私は絶望した。
どうして、どうして? どうしてこんなにも上手くいかないの?
私はハインツ様と結婚して王族になり、常に称えられ、祝福され続ける存在になるはずなのに。
誰もが私に傅くのに。
ああ、きっと私は神の嫉妬を買ってしまったのね。
そうでなければこんな理不尽、誰にも説明できないわ。
きっとこのまま世界は破滅する。
だって……だって! 巨大な火の鳥が空を舞い、小さな町程の岩が飛び、星を射抜く氷の槍が突き出し、神の怒りのごとき竜巻が吹き荒れてるもの。
世界は……終わりよ。
私は天に祈った。
神よ。私があなたの怒りを買うほどの存在なのは理解しました。
ならばお願いです、私をあなたに仕えさせて下さい。
女神としてあなたの側にある事を約束しましょう。
その時だった。
天から一筋の光が降りてきた。
あれは……私の願いが通じたのね、きっとアレは本物の天使。天使が魔族を滅ぼし、私は女神として神の側に行くのだわ。
私がこの世界を救った救世主。自分を犠牲にこの世を救ったと、未来永劫語り継がれるのね。
火の鳥も岩も槍も竜巻も、全てが消え去った。
ああ、ああ! 天使よ、私を奪っていく事を許しましょう!
低級中級魔族は一通り倒したけど、まだ上級が残ってる。
上級魔族ともなると、獣種でもかなり強いから注意しないと。
まずはオーソドックスな、人型にコウモリの翼が生えた奴からいく!
目の前の上級魔族が雄叫びを上げると、周囲の魔族も呼応して雄叫びを上げる。
あ! しまった!
雄叫びは私を囲むように、私に集中するように発せられる。
地面が裂け、空気が爆発するような音を上げる。
いえ、実際に爆発した。
迂闊だった……上級魔族がこれだけ集まるなんて初めてだから、ソニックレゾネンスの事を忘れてた。
爆風で吹き飛ばされ、空高く舞い上げられた。耳が痛い! 自分がどこを向いているのか分かんないじゃない!
多分頭が地面に向いてたんだと思う、頭側から大きな口を開けた大型獣種が迫ってくる。
「ペガサス・レッグ!」
具足から翼が生えて空を走るように駆ける。
すんでの所で獣種の牙から逃れ、走った勢いのまま反撃を試みる。
どうやらこいつは翼が無く、ジャンプしただけみたいだ。
よーし、落下速度を利用して! 私は地面に向けてジャンプをし、獣種の下側に回り込み、私の身長よりも大きな剣を構えた。
「最・大・ジャンプ!」
落ちてくる獣種目がけて飛ぶと、剣に軽い抵抗があっただけで獣種は真っ二つに切れてしまう。
この剣、昔お父さまが使ってたらしいけど、どういうしろ物なんだろう。
明らかに剣の長さよりも長く斬れてる。
ま、いっか♪
最大ジャンプしたもんだから、気が付いたら雲の中にいた。
「あ、いっけない、戻んなきゃ」
もう一度地面に向けて最大ジャンプをすると、あ! ダメだったら! 地面で上級魔族が数体待ち構えていた。
ダメ! ダメダメダメ! 最大ジャンプは急には止まれないのー!
直下では魔族数体が魔法を発射しようとしており、このままだと直撃を食らっちゃう!
「粉砕の剣!」
もう一本の剣、こっちは普通のロングソードだけど、これも昔お父さまが使ってて、お母さまが魔法で色々と遊んだ品……らしい。
刀身が光り輝く位だから、きっと灯りが欲しい時に作ったのね。名前とは一致しないけど。
魔族が魔法を発射した。
不死鳥の火炎、大地に蓋をする大岩、永久凍土の氷の槍、天地を繋ぐ竜巻。
どれも中級程度の魔法だけど、流石は上級魔族、飛んでくる順番や位置で相乗効果がある組み合わせだ。
よし! じゃあ私は上級魔法を……ダメ! 城壁の近くで使ったら城壁が飛んでっちゃう!!
「んもぉ! どうして王都の城壁ってもっと魔法で強化したり、アダマンタイトで作ったりしないの!?」
仕方なく全てを消滅させることにする。
粉砕の剣の灯りの機能を使って強い光を放つ。この光、なぜだか色んな物を撃ち消してくれるのよね~。
剣を突き出して落下し、すべての魔法を撃ち消しながら着地する。
あ、魔族の魔法のお陰で着地がマイルドになった。ラッキ。
「よぉ~っし、単体の上級魔法なら城壁にも影響ないよね!」
◆王城内・公爵令嬢・ローラ◆
「何があったの?」
突然巨大な6本足の魔物が動かなくなり、続いて城壁の外では地獄の業火が吹き荒れた。
魔族が……仲間割れ?
更には恐ろしい叫び声が鳴り響き、地面が大きく揺れて爆発が起こる。
「キャー!」
思わず耳を塞いで屈みこんだけど、耳が痛い!
やっと声が収まったと思って手を離すと、手には血が付いていた。
え? なに? 私怪我をしたの?
耳から血が流れていてジンジンする。
「いみゃのはにゃに……!?」
耳が良く聞こえない!! すごくゴモっていて、自分が何を言っているのか、周りの音も良く聞こえない。
きっと……きっと魔族同士が争っているんだわ。そのまま同士討ちしてくれればいいのに!
でも私の願いは空しく、さらなる恐怖が目に入る。
巨大な狼が空へ向かって飛んだのだ。あんなのが街に落ちたら……私は絶望した。
どうして、どうして? どうしてこんなにも上手くいかないの?
私はハインツ様と結婚して王族になり、常に称えられ、祝福され続ける存在になるはずなのに。
誰もが私に傅くのに。
ああ、きっと私は神の嫉妬を買ってしまったのね。
そうでなければこんな理不尽、誰にも説明できないわ。
きっとこのまま世界は破滅する。
だって……だって! 巨大な火の鳥が空を舞い、小さな町程の岩が飛び、星を射抜く氷の槍が突き出し、神の怒りのごとき竜巻が吹き荒れてるもの。
世界は……終わりよ。
私は天に祈った。
神よ。私があなたの怒りを買うほどの存在なのは理解しました。
ならばお願いです、私をあなたに仕えさせて下さい。
女神としてあなたの側にある事を約束しましょう。
その時だった。
天から一筋の光が降りてきた。
あれは……私の願いが通じたのね、きっとアレは本物の天使。天使が魔族を滅ぼし、私は女神として神の側に行くのだわ。
私がこの世界を救った救世主。自分を犠牲にこの世を救ったと、未来永劫語り継がれるのね。
火の鳥も岩も槍も竜巻も、全てが消え去った。
ああ、ああ! 天使よ、私を奪っていく事を許しましょう!
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