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8話
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◆チェスター国・公爵令嬢ローラ視点・王城の休憩室◆
軍議が一区切りして、私達新しい貴族は休憩室に集まった。
「シャンク公爵! これは一体どういう事なんだ! 貴公が美味い汁を吸えるというから賛同したのに、よりにもよって国を崩壊させることになったぞ!」
「うるさい! 私だって知らなかったのだ! このような事態になるなど、一体誰が予想できたのいうのか!」
「取るに足らない男爵だから追放し、宝石をせしめようなどと言い出したのは貴公だぞ!」
下らない言い争いだわ。今考えるべきは第3波をどうにか防ぎ、陛下の慈悲にすがる事。
そうでなければ我がシャンク公爵家はお終い。
何かいい手は無いかしら。心から反省した振りをして、私も兵として前線に立ちます! と言ったら許してくれるかしら。
「大体、今回の事はローラが言い出したのだ!!」
……え?
「ローラが、マイヤー元男爵の娘が気にくわないというから、ついでに一家もろとも追放し、宝石を手に入れようとしただけなんだ!」
お父……様?
「シャンク公爵の娘が? なぜだ、なにが気にくわなかったのだ!!」
「わ、私は……男爵の分際で、陛下や王太子と親密な関係なのが嫌で……」
「それくらい何だというのだ! 下らない嫉妬心のお陰で、我々は家が取り潰されるかもしれないのだぞ!」
どうして私がこんな事を言われなくてはいけないの?
アナタは以前、贈り物をくれたじゃない。
アナタも、私の息子に会ってくださいと言っていたわ。
私は祝福され、賛美されていた。
それは当たり前の事。
なのに……これはどういう事? どうしてみんな、私を睨みつけて、私を罵るの?
ー 怖い ―
私は怖くなって部屋を抜け出した。
それからしばらくは何も覚えていない。
気が付いたのは、城壁の外で大きな音が鳴ったからだ。
自室の窓を開けて音の方を見る。
ここからでは何も見えない。
でも、大きな音がする度に、城壁上の兵士が喜んでいるのが見える。
興味が沸いた。
部屋を出て一目散に城壁に昇ると、兵士が一か所を見ている。
あれは……騎士団? でも少し違う。
「流石は神聖騎士団だぜ! あの力があれば魔族なんて怖くねーな!」
神聖騎士団。聞いた事がある。確か魔族の第2波で使うと言っていた騎士団だ。
あれがそうなのね。
神聖騎士団の戦いは単純だった。
前に5人、後ろに10人が並び、前の5人が剣や槍で魔族と戦い、後ろの10人が魔法で魔族を倒している。
大体の魔族は近づく前に魔法で打ち倒され、魔法から逃れた魔族は前の5人が倒している。
すごい……前の戦いでは数万の兵士で辛うじて防衛が出来たのに、たった15人で優位に戦ってる。
これが天使を降ろしたという神聖騎士団の力。
なんだ、ぜんぜん平気じゃない。
神聖騎士団がいれば、魔族なんて怖くない。
やっぱりマイヤー元男爵家は必要なかったのよ。
でも天使ってなんだろう。
どれだけ時間が過ぎたか知らないけど、私は興奮しながら神聖騎士団の活躍を見ていた。
そして遂に、魔族が居なくなった。第2波を防ぎぎったんだ!
皆が歓声を上げて神聖騎士団を称える中、数名の、多分隊長格の人だけが沈痛な面持ちだ。
「バカが……無茶しやがって……お前たちの事は忘れない。いずれヴァルハラで会おう」
何を言っているの? 無茶? 神聖騎士団の事かしら。でも神聖騎士団は15人全員が無事なのに……!?
神聖騎士団の1人が倒れた。
それを皮切りに次々と倒れ、15人全員が地面に倒れてしまった。
「隊長……? これは一体?」
「天使を降ろす。それは天使と名付けられた薬物だ。天使を過剰摂取させ、その命と引き換えに、人の領域を超えた力を得る……天使の様な力を得、天使となって天に昇る。そういう薬なんだよ」
薬……薬物による身体強化? ならここに居る兵士たちに使えば良いのではなくて?
【お待ちください陛下! 我々は天使を降ろす器ではございません! 発狂してしまいます!!】
お父様の言葉を思い出した。
普通の人では……耐えられない?
じゃあ神聖騎士団をたくさん作らないと!!
軍議が一区切りして、私達新しい貴族は休憩室に集まった。
「シャンク公爵! これは一体どういう事なんだ! 貴公が美味い汁を吸えるというから賛同したのに、よりにもよって国を崩壊させることになったぞ!」
「うるさい! 私だって知らなかったのだ! このような事態になるなど、一体誰が予想できたのいうのか!」
「取るに足らない男爵だから追放し、宝石をせしめようなどと言い出したのは貴公だぞ!」
下らない言い争いだわ。今考えるべきは第3波をどうにか防ぎ、陛下の慈悲にすがる事。
そうでなければ我がシャンク公爵家はお終い。
何かいい手は無いかしら。心から反省した振りをして、私も兵として前線に立ちます! と言ったら許してくれるかしら。
「大体、今回の事はローラが言い出したのだ!!」
……え?
「ローラが、マイヤー元男爵の娘が気にくわないというから、ついでに一家もろとも追放し、宝石を手に入れようとしただけなんだ!」
お父……様?
「シャンク公爵の娘が? なぜだ、なにが気にくわなかったのだ!!」
「わ、私は……男爵の分際で、陛下や王太子と親密な関係なのが嫌で……」
「それくらい何だというのだ! 下らない嫉妬心のお陰で、我々は家が取り潰されるかもしれないのだぞ!」
どうして私がこんな事を言われなくてはいけないの?
アナタは以前、贈り物をくれたじゃない。
アナタも、私の息子に会ってくださいと言っていたわ。
私は祝福され、賛美されていた。
それは当たり前の事。
なのに……これはどういう事? どうしてみんな、私を睨みつけて、私を罵るの?
ー 怖い ―
私は怖くなって部屋を抜け出した。
それからしばらくは何も覚えていない。
気が付いたのは、城壁の外で大きな音が鳴ったからだ。
自室の窓を開けて音の方を見る。
ここからでは何も見えない。
でも、大きな音がする度に、城壁上の兵士が喜んでいるのが見える。
興味が沸いた。
部屋を出て一目散に城壁に昇ると、兵士が一か所を見ている。
あれは……騎士団? でも少し違う。
「流石は神聖騎士団だぜ! あの力があれば魔族なんて怖くねーな!」
神聖騎士団。聞いた事がある。確か魔族の第2波で使うと言っていた騎士団だ。
あれがそうなのね。
神聖騎士団の戦いは単純だった。
前に5人、後ろに10人が並び、前の5人が剣や槍で魔族と戦い、後ろの10人が魔法で魔族を倒している。
大体の魔族は近づく前に魔法で打ち倒され、魔法から逃れた魔族は前の5人が倒している。
すごい……前の戦いでは数万の兵士で辛うじて防衛が出来たのに、たった15人で優位に戦ってる。
これが天使を降ろしたという神聖騎士団の力。
なんだ、ぜんぜん平気じゃない。
神聖騎士団がいれば、魔族なんて怖くない。
やっぱりマイヤー元男爵家は必要なかったのよ。
でも天使ってなんだろう。
どれだけ時間が過ぎたか知らないけど、私は興奮しながら神聖騎士団の活躍を見ていた。
そして遂に、魔族が居なくなった。第2波を防ぎぎったんだ!
皆が歓声を上げて神聖騎士団を称える中、数名の、多分隊長格の人だけが沈痛な面持ちだ。
「バカが……無茶しやがって……お前たちの事は忘れない。いずれヴァルハラで会おう」
何を言っているの? 無茶? 神聖騎士団の事かしら。でも神聖騎士団は15人全員が無事なのに……!?
神聖騎士団の1人が倒れた。
それを皮切りに次々と倒れ、15人全員が地面に倒れてしまった。
「隊長……? これは一体?」
「天使を降ろす。それは天使と名付けられた薬物だ。天使を過剰摂取させ、その命と引き換えに、人の領域を超えた力を得る……天使の様な力を得、天使となって天に昇る。そういう薬なんだよ」
薬……薬物による身体強化? ならここに居る兵士たちに使えば良いのではなくて?
【お待ちください陛下! 我々は天使を降ろす器ではございません! 発狂してしまいます!!】
お父様の言葉を思い出した。
普通の人では……耐えられない?
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