【完結】婚約破棄された令嬢が冒険者になったら超レア職業:聖女でした!勧誘されまくって困っています

如月ぐるぐる

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58 反撃 疲労

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 ロビーの戦い方、魔法を使い【後の先ごのせん】を使ったモノは、間違いなく勇者のモノです。
 恐らくは、いえ間違いなくエステバンが体に入った事が原因でしょう。
 エステバンだけではブラックに勝てないのは理解できますが、まさかロビーの体に入り込み、その力をロビーが使えるようになるとは思いませんでした。

「フラン! 僕に並んで一緒に戦ってくれ!」

「わ、分かりました!」

 ロビーに言われて慌てて横に並んで剣を構えます。

「僕はとにかく攻めまくるから、防御を任せてもいいかい?」

「わかりました。回復も任せてください」

「頼りにしてるよ」

 そう言ってロビーはブラックの胸へ目がけて剣を突き出します。
 当然ながらブラックは【後の先】で反撃をしてきますが、おや? 3手4手先までのビジョンが見えてきました。
 今までなら次の攻撃や行動だけでしたが、こんなに先まで見えるとはどういう事でしょうか。

 しかし今は助かります。
 これだけ見えれば防御に間違いが起きる事はありません!

 ロビーの攻撃に対して【後の先】で反撃をしてきますが、その全てをわたくしが捌き、ロビーは防御を捨てて全力で攻撃をしています。
 いつもならば怖くてできませんが、今は安心して攻撃に専念してもらえますね。

 そして何度も剣戟をかわすうちに、わたくしにも余裕が出てきました。

 ロビーの剣に合わせて魔法を使い、2段攻撃を放ちます。
 当たり前のように剣も魔法も避けて反撃してきますが、この場合はロビーかわたくしのどちらかにしか反撃できません。
 今回はわたくしに来ました。

 わたくしに攻撃が届く前にロビーの攻撃が入り、初めてブラックにダメージを与える事が出来ました。

「クッ! 何なんだ……何なのだ一体! なぜ双子でもない、血のつながりもないお前が勇者の力を使える!!!」

「知らないよ。でもこの力は間違いなく勇者の力だと思う。だって……ほら」

 話をしながらロビーは魔法を放ち、拳や蹴りを撃ち、ブラックの剣を奪おうとします。
 魔法使いウィザード格闘家グラップラー盗賊シーフの力ですね。
 剣士ソードマンと同時に3つの職業を使い、ブラックに勇者であることを見せつけます。

「血の繋がりならあるんだろうね。特にブラック、君との繋がりがね」

「俺の……俺が捨てた感情などに、俺が負けるはずがない! そんな弱い善性の感情など完全に消し去ってやる!」

 ブラックの攻撃が激しくなります。
 地力ではブラックの方が上なので、力押してこられたらロビーでは太刀打ちできません。
 しかし今はわたくしがいます。

 全ての攻撃をわたくしが防ぎ、ロビーの攻撃はブラックに傷を負わせていきます。
 優勢です。このままいけば間違いなくわたくし達の勝利です!
 そう、このままいけば、ですが。

 ロビーの動きが少し鈍くなりました。
 疲労でしょうか? ロビーの顔を見ると大量の汗が流れ出ていて、息も荒くなっています。
 いつものロビーならばこれしきで疲れる事はありません。
 つまり……勇者という使いなれない力を酷使している事で、何倍もの疲労が蓄積されているのでしょう。

 長くは持ちませんね。

 わたくしも多少の余裕があるとはいえ、決定的な差になるほどのモノではありません。
 何か……何かもう一手、上回る物が欲しいです。

 ロビーのお陰で防御は問題ありません。
 攻撃……そう、攻める手が必要です。

「ふん! やはりまがい物の力では体が付いてこないか? もうヨロヨロではないか!」

 ロビーの様子を見て、ブラックが強気に出てきました。
 わたくしは防御がメインですし、ロビーは攻撃の手が弱くなっています。
 攻めるなら今でしょうからね。
 何とかわたくしも魔法を使い攻めていますが、やはり攻撃に関しては勇者の方が数枚上手です。

 新しいビジョンが見えました。
 攻撃の手が……増えています。ロビーとわたくしだけではなく、剣が2本と魔法が1つ……!?

「俺の存在を忘れてもらっては困るな」

 レッドがブラックの側面から剣を斬り上げました。

「レッドにぃの兄貴だか何だか知らねーけどな、仲間に手を出す奴は許さねぇ!」

 マットがブラックのカウンターにさらにカウンターを当てて顔を攻撃します。

「私だってまだ動けるんだからね~」

 ケイが全員の回復とブラックへ能力低下の魔法をかけました。

 みんな……無事だったのですね。

「ウチのメンバーが勇者になったのなら、何の戸惑いもなくフォローに回れる。ロビー、好きなだけ暴れろ」

「やっぱエステバンよりもロビーだよな! 安心感が違うぜ!」

「ほらほら~、勇者と聖女が揃ってるよ~、凄いね~」

 相変わらずですねわたくしの仲間は……ええ、エステバンには申し訳ありませんが、やはりロビーとの信頼や安心感は違いますね!

「さぁ! 全員揃った所で一気に攻めていきましょう!」
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