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54 双子 呪い
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レッドのお兄さんの双子……忌み子として捨てられたもう一人のお兄さんですって?
憂国騎士団の関係者が?
「兄貴が……双子だったって?」
「そうだ。同じ代に勇者が二人も居たらどうなると思う?」
誰も答えられません。
単純に戦力として優秀なので、問題は無いように思えますが。
「同世代に勇者が2人、そして聖女は1人だ。聖女の奪い合いになるかもしれないだろう?」
「聖女の奪い合いですって? それこそ考え過ぎではありませんか? 片方は聖女と結ばれても、もう一人は自由恋愛が出来るのです。むしろそっちの方が喜ばれるのではありませんか?」
「違うのだよフランチェスカ聖女。実のところ、聖女を見つけるのは難しく無いんだ。大体が貴族の中に生まれる上、見目麗しいと評判の女性の確率が高い。つまり、勇者同士で聖女の奪い合いになるのだ」
貴族で……美しい女性? 私は元貴族ですが、美しいと言われたのは社交辞令か嫌味を含んだ言い方ばかりでした。
両親からは言われますが、なにぶん親ですから。
なのでロビーが私に好意を持っていると知った時、とても驚きました。
私が頭をひねっていると、他の皆はなぜか納得していました。
……???
「だが、だからと言って捨てるほどの事か? 兄弟なんだから、話し合いをした良いだろう」
「兄弟だからこそ、だろう? しかも双子なんだ、同じ顔、同じ性格、同じ能力を持っているのに、片方は地位も財産も得られ、もう片方は少し能力の高いだけの冒険者だ、許せるはずがない。そしてその判断は正しかったのさ」
「正しかったというのは、ブラックさんが憂国騎士団の一員だから、でしょうか?」
「はっはっは! 憂国騎士団なんて遊びで作った物さ。このバーリントン商会もな」
「じゃあ何が正しかったというんだ!」
「判断は正しかったが、方法は失敗だったな。あんなに簡単に殺せるとは思ってもいなかったぞ、ホワイトに俺が感じた劣等感や憎しみ、怒り、絶望……あらゆるものを呪いに込めるだけで死んでしまうとはな」
「兄貴を……兄貴を殺したのはお前……なのか?」
「そうだ。これでも勇者のはしくれだからな、能力自体はとても高くて助かったぞ」
兄弟を……呪い殺したというのですか? たったそれだけの理由の為に?
いえ、ブラックさん……ブラックの言う通りならば、兄弟だからこそ憎しみが強かったのでしょうか。
だからと言って許容できる問題ではありませんが。
「貴様ふざけるなー!」
レッドが剣を抜いてブラックに斬りかかります。
いけません! 感情に任せて殺してしまっては、この男と同じになってしまいます!!!
しかし不思議な光景を目にしました。
レッドの剣は確かにブラックを捉えた筈でした。首元に当たった、そう思っていました。
ですがレッドの首筋に剣が当てられています……何が……何が起こったというのですか。
ブラックはいつの間にか剣を抜き、いつの間にかレッドの首に剣を当てたのです。
そんな理不尽なことがあっていいのでしょうか。
「ふん、どうやら初めて見た様だな。今のが勇者のスキル【後の先】だ」
いまのが……【後の先】ですって? 聖女のスキル【先見の明】どころの騒ぎではありません。あの状態からでも勝てるなど、まるで時間が止まってしまったようなものです。
「な、なんだよ今の……メチャクチャじゃねーかよ」
「信じられない……【後の先】はあんなに恐ろしい力だったんだね」
「な、何が起きたのか分からなかった~」
なるほど、異世界からの侵略に対し、聖女と組めば対処できるという理由も分かります。
近未来を見る【先見の明】で相手の攻撃をあらかじめ予測し、後だしで勝てる【後の先】で敵をなぎ倒す。
不測の事態が起ころうとも、いえ、不測の事態が起こったとしても、問題にすらならないでしょう。
「わかったか? お前達では俺には勝てない。そして理解したはずだ、俺こそが聖女と結ばれるべきなのだと、な」
「え?」
「俺の物になれフランチェスカ。そして世界を護り、俺の子をなすのだ」
憂国騎士団の関係者が?
「兄貴が……双子だったって?」
「そうだ。同じ代に勇者が二人も居たらどうなると思う?」
誰も答えられません。
単純に戦力として優秀なので、問題は無いように思えますが。
「同世代に勇者が2人、そして聖女は1人だ。聖女の奪い合いになるかもしれないだろう?」
「聖女の奪い合いですって? それこそ考え過ぎではありませんか? 片方は聖女と結ばれても、もう一人は自由恋愛が出来るのです。むしろそっちの方が喜ばれるのではありませんか?」
「違うのだよフランチェスカ聖女。実のところ、聖女を見つけるのは難しく無いんだ。大体が貴族の中に生まれる上、見目麗しいと評判の女性の確率が高い。つまり、勇者同士で聖女の奪い合いになるのだ」
貴族で……美しい女性? 私は元貴族ですが、美しいと言われたのは社交辞令か嫌味を含んだ言い方ばかりでした。
両親からは言われますが、なにぶん親ですから。
なのでロビーが私に好意を持っていると知った時、とても驚きました。
私が頭をひねっていると、他の皆はなぜか納得していました。
……???
「だが、だからと言って捨てるほどの事か? 兄弟なんだから、話し合いをした良いだろう」
「兄弟だからこそ、だろう? しかも双子なんだ、同じ顔、同じ性格、同じ能力を持っているのに、片方は地位も財産も得られ、もう片方は少し能力の高いだけの冒険者だ、許せるはずがない。そしてその判断は正しかったのさ」
「正しかったというのは、ブラックさんが憂国騎士団の一員だから、でしょうか?」
「はっはっは! 憂国騎士団なんて遊びで作った物さ。このバーリントン商会もな」
「じゃあ何が正しかったというんだ!」
「判断は正しかったが、方法は失敗だったな。あんなに簡単に殺せるとは思ってもいなかったぞ、ホワイトに俺が感じた劣等感や憎しみ、怒り、絶望……あらゆるものを呪いに込めるだけで死んでしまうとはな」
「兄貴を……兄貴を殺したのはお前……なのか?」
「そうだ。これでも勇者のはしくれだからな、能力自体はとても高くて助かったぞ」
兄弟を……呪い殺したというのですか? たったそれだけの理由の為に?
いえ、ブラックさん……ブラックの言う通りならば、兄弟だからこそ憎しみが強かったのでしょうか。
だからと言って許容できる問題ではありませんが。
「貴様ふざけるなー!」
レッドが剣を抜いてブラックに斬りかかります。
いけません! 感情に任せて殺してしまっては、この男と同じになってしまいます!!!
しかし不思議な光景を目にしました。
レッドの剣は確かにブラックを捉えた筈でした。首元に当たった、そう思っていました。
ですがレッドの首筋に剣が当てられています……何が……何が起こったというのですか。
ブラックはいつの間にか剣を抜き、いつの間にかレッドの首に剣を当てたのです。
そんな理不尽なことがあっていいのでしょうか。
「ふん、どうやら初めて見た様だな。今のが勇者のスキル【後の先】だ」
いまのが……【後の先】ですって? 聖女のスキル【先見の明】どころの騒ぎではありません。あの状態からでも勝てるなど、まるで時間が止まってしまったようなものです。
「な、なんだよ今の……メチャクチャじゃねーかよ」
「信じられない……【後の先】はあんなに恐ろしい力だったんだね」
「な、何が起きたのか分からなかった~」
なるほど、異世界からの侵略に対し、聖女と組めば対処できるという理由も分かります。
近未来を見る【先見の明】で相手の攻撃をあらかじめ予測し、後だしで勝てる【後の先】で敵をなぎ倒す。
不測の事態が起ころうとも、いえ、不測の事態が起こったとしても、問題にすらならないでしょう。
「わかったか? お前達では俺には勝てない。そして理解したはずだ、俺こそが聖女と結ばれるべきなのだと、な」
「え?」
「俺の物になれフランチェスカ。そして世界を護り、俺の子をなすのだ」
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