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53 兄弟 勇者
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バーリントン商会に入ると、直ぐに恰幅の良い中年男性に声をかけられました。
「ようこそバーリントン商会へ。聖女様とそのご一行様、歓迎いたします」
まるで私達を待ち構えていたようです。
いえ待っていたのでしょうね、きっと。
こちらの行動は筒抜けという訳ですか。
「初めまして、でよろしいでしょうか? 私はフランチェスカと申します」
「俺はレッド・ローズ」
「ロビーです」
「マットだ!」
「ケイです~」
「皆様、私はピーターと申します。この店の番頭をやっております。ささ、我が主が待っておりますので、こちらへどうぞ」
番頭さんは私達に深々と頭を下げ、大げさに両手で奥の通路を指し示しました。
なるほど、あそこへ進めという事ですね?
奥の通路に入るともう一人、若い使用人が居ました。
使用人に付いて行くと一番奥の部屋、両開きの扉の前で止まり、ドアをノックしました。
「旦那様、聖女様ご一行をお連れしました」
「入ってもらえ」
部屋の中からは男性の声がしました。
ん? てっきりもっと歳のいった人物だと思っていたのですが、それほど歳は取っていないような……。
使用人がドアを開けると、中には黒塗りの大きな机があり、その向こうには30歳手前の男性がイスに座っていました。
おや? この人物は……なぜか見覚えがあるような気がします。
「ようこそ聖女様、私はブラックと申します」
イスから立ち上がり、机の前にあるソファーに座るように促されます。
「自己紹介の必要は無いようですね」
「ええ、皆さんの事はよく存じておりますから」
ソファーに座るとブラックさんもイスに座りました。
私の隣にはロビーが座り、正面にはレッド・マット・ケイが座ります。
おや? レッドの顔色が悪いように見えますが……それに戸惑っている?
「さて、それで皆さんは、どういった御用件でバーリントン商会へ?」
白々しいですね。目的など言わずとも分かっているでしょうに。
そっちがその気なら、こちらもそういう態度で行きましょう。
「私達は冒険に必要な物を買いに来ました。何か良い物を紹介して頂けるのではないのですか?」
「それは失礼しました。我が商会では様々な物を取り揃えておりますので、具体的にどのような物をお探しか教えて頂ければ、最高の物をご案内しますが?」
「そうだな、それでは勇者の家系について教えてもらおうか」
「レッド?」
突然どうしたのですか? 他の皆も前触れの無い質問に驚いています。
いえ、1人だけ冷静な人が居ます。
「ほうほう、レッド様は勇者様の家系に興味がおありですか?」
ブラックさんはレッドが自称勇者である事を知っているはずですし、勇者の家系であることも知っているでしょう。
なのにどうしてわざわざ確認を……おや? ……この顔はどこかで見た事があるような???
ブラックさんの顔を見て、レッドの顔を見ます。
どことなく……似ていますね。
「興味があるな。どうしてそんなに似ているんだ? 俺の親父や……俺の兄貴と」
「え!?」
一斉に声が上がります。
ブラックさんがレッドのお父さんやお兄さんと似ているですって? 確かにレッドと似ているとは思いましたが。
レッド本人が気にするほどに似ているのでしょうか。
「はっはっはっは! そうですか、似ていますか。まぁそれはそうでしょうなぁ、なにせ私は」
少し間を開けて、私達を見回します。
「なにせ私は、レッド様の兄ですから」
「な!?!? なんですって!!!」
ブラックさんの口からとんでもない事が発せられました。
兄? ブラックさんがレッドの兄ですって?
いえ待ってください、以前レッドから聞いた話しだと、レッドのお兄さんは病で無くなったはずです。
それが……生きていたのですか?
私達が混乱しているよりも、レッドは更に混乱しています。
それはそうでしょう、亡くなったはずのお兄さんが生きていたというのですから、混乱しないはずがありません。
「嘘をつくな! 兄貴は確かに死んだ、葬式で墓に埋めたのをこの目で見たんだ!」
立ち上がってブラックさんに言い寄ります。
そして机を数回手で叩き、ブラックさんの胸元を掴みました。
「あまり下らない事ばかり言っていると、この場で叩き切るぞ」
「冗談ではないぞレッド。俺は確かにお前の兄なのだからな」
「まだいうのか!」
「それが真実だからな。俺はお前の兄・ホワイトの双子の兄弟なんだよ。ブラック・ローズ、それが双子として生まれ、忌み子として捨てられた男の名だ」
レッドのお兄さんの双子……忌み子として捨てられたもう一人のお兄さんですって?
憂国騎士団の関係者が?
「ようこそバーリントン商会へ。聖女様とそのご一行様、歓迎いたします」
まるで私達を待ち構えていたようです。
いえ待っていたのでしょうね、きっと。
こちらの行動は筒抜けという訳ですか。
「初めまして、でよろしいでしょうか? 私はフランチェスカと申します」
「俺はレッド・ローズ」
「ロビーです」
「マットだ!」
「ケイです~」
「皆様、私はピーターと申します。この店の番頭をやっております。ささ、我が主が待っておりますので、こちらへどうぞ」
番頭さんは私達に深々と頭を下げ、大げさに両手で奥の通路を指し示しました。
なるほど、あそこへ進めという事ですね?
奥の通路に入るともう一人、若い使用人が居ました。
使用人に付いて行くと一番奥の部屋、両開きの扉の前で止まり、ドアをノックしました。
「旦那様、聖女様ご一行をお連れしました」
「入ってもらえ」
部屋の中からは男性の声がしました。
ん? てっきりもっと歳のいった人物だと思っていたのですが、それほど歳は取っていないような……。
使用人がドアを開けると、中には黒塗りの大きな机があり、その向こうには30歳手前の男性がイスに座っていました。
おや? この人物は……なぜか見覚えがあるような気がします。
「ようこそ聖女様、私はブラックと申します」
イスから立ち上がり、机の前にあるソファーに座るように促されます。
「自己紹介の必要は無いようですね」
「ええ、皆さんの事はよく存じておりますから」
ソファーに座るとブラックさんもイスに座りました。
私の隣にはロビーが座り、正面にはレッド・マット・ケイが座ります。
おや? レッドの顔色が悪いように見えますが……それに戸惑っている?
「さて、それで皆さんは、どういった御用件でバーリントン商会へ?」
白々しいですね。目的など言わずとも分かっているでしょうに。
そっちがその気なら、こちらもそういう態度で行きましょう。
「私達は冒険に必要な物を買いに来ました。何か良い物を紹介して頂けるのではないのですか?」
「それは失礼しました。我が商会では様々な物を取り揃えておりますので、具体的にどのような物をお探しか教えて頂ければ、最高の物をご案内しますが?」
「そうだな、それでは勇者の家系について教えてもらおうか」
「レッド?」
突然どうしたのですか? 他の皆も前触れの無い質問に驚いています。
いえ、1人だけ冷静な人が居ます。
「ほうほう、レッド様は勇者様の家系に興味がおありですか?」
ブラックさんはレッドが自称勇者である事を知っているはずですし、勇者の家系であることも知っているでしょう。
なのにどうしてわざわざ確認を……おや? ……この顔はどこかで見た事があるような???
ブラックさんの顔を見て、レッドの顔を見ます。
どことなく……似ていますね。
「興味があるな。どうしてそんなに似ているんだ? 俺の親父や……俺の兄貴と」
「え!?」
一斉に声が上がります。
ブラックさんがレッドのお父さんやお兄さんと似ているですって? 確かにレッドと似ているとは思いましたが。
レッド本人が気にするほどに似ているのでしょうか。
「はっはっはっは! そうですか、似ていますか。まぁそれはそうでしょうなぁ、なにせ私は」
少し間を開けて、私達を見回します。
「なにせ私は、レッド様の兄ですから」
「な!?!? なんですって!!!」
ブラックさんの口からとんでもない事が発せられました。
兄? ブラックさんがレッドの兄ですって?
いえ待ってください、以前レッドから聞いた話しだと、レッドのお兄さんは病で無くなったはずです。
それが……生きていたのですか?
私達が混乱しているよりも、レッドは更に混乱しています。
それはそうでしょう、亡くなったはずのお兄さんが生きていたというのですから、混乱しないはずがありません。
「嘘をつくな! 兄貴は確かに死んだ、葬式で墓に埋めたのをこの目で見たんだ!」
立ち上がってブラックさんに言い寄ります。
そして机を数回手で叩き、ブラックさんの胸元を掴みました。
「あまり下らない事ばかり言っていると、この場で叩き切るぞ」
「冗談ではないぞレッド。俺は確かにお前の兄なのだからな」
「まだいうのか!」
「それが真実だからな。俺はお前の兄・ホワイトの双子の兄弟なんだよ。ブラック・ローズ、それが双子として生まれ、忌み子として捨てられた男の名だ」
レッドのお兄さんの双子……忌み子として捨てられたもう一人のお兄さんですって?
憂国騎士団の関係者が?
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