【完結】婚約破棄された令嬢が冒険者になったら超レア職業:聖女でした!勧誘されまくって困っています

如月ぐるぐる

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51 尋問 観察者

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 真・祖国解放戦線の元アジトが見えてきました。
 逃げ出した3人はアジトが憂国騎士団に襲われた事を知らないでしょうから、まずここに来ると思って間違いはありません。

 先見の明せんけんのめいのビジョンが見えました。

「ケイ! アジトにフラッシュを投げてください!」

「わかった~」

 ケイは呪文を唱え、小さな光の玉をアジトの中に投げ入れました。
 と同時に閃光が放たれ、アジトからは目が潰れるほどの光が見えます。

「間に合った~?」

「上々です」

 アジトの扉を破壊してなだれ込むと、そこには目を押さえて唸りながら倒れ込む者が数名居ました。
 逃げた3名は……無事ですね。
 良かった、アジトの惨事に驚いた3人が、侵入者に気づかずに殺されるところでした。

 逃げた3人に対して、処分に来たのは5人でした。
 実力差もあるのに数でも上をいきますか、入念というか用心深いというか。

 まずは全員を縛り上げ、身動きが出来なくしてから運び出します。
 ボロボロの荷車があったので、それに積み込み城へと向かいました。




「な、なんと!? こいつらがそうなんですか!?」

 城の衛兵に事情を説明し、真祖戦の3人と憂国騎士団と思われる5人を引き渡します。
 ですが今回はわたくしが尋問をする事にしました。

 荷車に乗せたまま1人ずつ牢屋に放り込み、順番に連れ出して尋問を開始します。

「よぉ真祖戦。お前らはもう壊滅したって事は気付いているな? だからもう義理立てする必要どころか、裏切られたんだから洗いざらい吐いちまえよ」

 わたくしは尋問は嫌いです。
 なのでわたくしとケイは外に出てニルスの警護に入りました。

「ニルス、ニルス居ますか?」

 ドアをノックして、反応を待ちます。
 が、中々返事が返ってきません。
 もう一度ノックをしてみますが、やはり反応がありません。

 一抹の不安を感じ、声をかけてからドアを開けました。

 よかった、取り越し苦労でした。ニルスはベッドで寝息を立てています。

「よかった~、まさかまた誘拐されたんじゃないかと思っちゃった~」

わたくしもです。でも考えてみれば今日帰ってきたばかりなのです、疲れて眠ってしまっても、仕方がありませんね」

 ベッドの両脇に2人で立ち、仰向けで寝ているニルスの頬を指で撫でます。
 無事でよかった……本当に、よかった。

 寝ているのを無理に起こす必要もないので、そのまま寝かせる事にしました。
 可能ならば誘拐された時の状況を聞きたかったのですが……それは後でもいいでしょう。

 暫くするとレッドが部屋に入ってきました。

「尋問が終わった。話をするから来てくれ」

 寝ているニルスの護衛は衛兵に任せ、わたくしとケイは部屋を後にします。
 
「何か情報はありましたか?」

「それなんだがな、少々面倒な事になった」

「何があったの~?」

 連れられて来た場所は霊安室。
 まさか……。

「憂国騎士団と思しき連中を尋問していると、いきなり血を吐いて死んでしまった」

「マジびびったぜ。目隠しを取って話をしようとしたらいきなりだったんだぜ?」

「自殺用の毒でも仕込んであるのかと思ったけど、口の中には何もないし、魔法らしきものが仕掛けられた様子も無いんだ」

 4つの遺体が並べられ、そのどれもが苦悶の表情で死んでいます。
 1人は残っているのですね……これを逃せば手掛かりが遠のいてしまうという訳ですか。

「真祖戦の方はどうでしたか?」

「そっちはダメだな。リーダーしか詳しい事を知らなかったらしく、下っ端には何も情報が無かった」

「そのリーダーは~?」

「元アジトに転がっていた奴だ」

 やはりすでに死んでいましたか。
 そうなると生き残りの1人から、何としても情報を引き出さないといけませんが……。

「弱りましたね。毒でもなく魔法でも無いのなら、一体どうやって死んだのでしょうか」

「だからお前を呼んだんだ。先見の明で様子を見ながら尋問をしたいんだが……大丈夫か?」

 そういう事ですか。先見の明は自分が直接関わっていなければ発動しません。
 尋問に参加したら発動するので、近未来を見ながら尋問が出来ます。

「仕方がありませんね。わたくしも参加しましょう」

「わりーなフラン」

「ごめんねフラン」

「恩に着る」

「無理はしないでね~」

 ケイはニルスの護衛に戻り、わたくしは地下牢へと移動します。
 地下牢に一人残された憂国騎士団を連れ出し、尋問室へと連れて行きました。
 すでにレッド・マット・ロビーは尋問の準備をして待っています。

 目隠しは外さないままイスに座らせます。
 わたくしが口を開こうとしたその時、先見の明のビジョンが見えました。
 ああ、尋問を開始すると同時に血を吐くのですね。

「これは弱りましたね。何か聞こうとすると死んでしまうのでは、何も聞くことが出来ません」

「やっぱりそうなのか。俺達が何かをしたわけでは無いんだな?」

「違うようですね。もっと別の……外的要因に見えました」

 外的要因……つまり、この場所を誰かが見ているという事です。
 であれば試してみたい事があります。

「レッド、防護障壁フィールドを張ります、協力してください」

「なに? 分かった」

 わたくしを中心に円形に魔法が発動し、球状の透明な光の膜が尋問室の内部に広がります。
 それに同調してレッドが魔法で黒い球状の膜を重ね掛けします。
 これで外部からは視覚的にも魔法的にも遮断されました。

「これでダメならば、もう手の施しようがありません」

「そうだな。これでダメなら諦めよう」

 一度深呼吸をし、尋問をすべく口を開きます。

「あなたの所属はどこですか?」

 尋ねられた男はびくりと体を震わせますが、何が起きたのか理解できないように口を開きます。

「え? あれ? 死んでない……のか?
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