29 / 33
29話 魔法とは?
しおりを挟む
破壊された結婚式場を見回り、ザビーネが使った魔法の手掛かりが無いか探しています。
とはいえ数日が過ぎているので、もう魔法の残り香は無くなっている。
衛兵さんや騎士さん、他にも様々な人が見ているけど、これといった手掛かりは見つかっていない。
「ザビーネめ、逆恨みにも程があるだろう! それになんだアレ、陛下を婿として迎えるだって? 何を考えているんだアイツは」
ハンスと私も一緒に現場検証をしています。
式の当日にいた人で、都合の付いた人が数名参加している。
「権力が欲しいのかしら」
「それなら……極端な話し、国を乗っ取ってしまえばいい。あんな強力な魔法を使えるし、場合によっては陛下をどうにかできるはずだ。どうしてそれをしなかった」
「そうよね、じゃあ一体何をしたいのかしら」
あんな理解の出来ない言動をする人の目的なんて、私達には理解できません。
この日はもう手掛かりが見つかりそうにないので、それぞれの屋敷に戻りました。
数日が過ぎ、もう結婚式どころの騒ぎではなくなってしまい、ザビーネ対策を連日話し合っています。
軍の偉い方々や当日式に出席していた方々、魔法研究家などもいました。
中々解決策は見つかりませんが、少しだけ気になっていた事があります。
どうしてザビーネは逃げていったのでしょうか。
あのまま悪魔の魔法フィエンドスペルで攻撃していたら、私やハンスは間違いなく殺されていました。
にもかかわらず、ザビーネは逃げた。
そこに何かヒントがあるように感じます。
とはいえ少なすぎるヒントでは、解決策はできません。
「あ~、フィエンドスペル、悪魔の魔法といったか? 古い資料を読み漁っているが、その様な魔法はどこにも書かれていなかった」
魔法の研究をしているお爺さんがグチっている。
あれは私達を信じていない目ね。
まるで「俺の知らない魔法なんて存在するはずがない」とでも言わんばかり。
「では聞くが、既存の魔法であんなことが出来るものはなんだ?」
「そ、それは……」
騎士団長の質問に言葉が詰まるお爺さん。
う~ん、既存の魔法の知られていない使い方かしら?
でも魔法を発動する時は、何らかの属性のしるしが現れるはず。
水魔法なら水色っぽい光を発して魔法が発動する、とか。
「闇の魔法に対しては光の魔法が有効です。では悪魔の魔法に対しては、一体何が有効なのでしょうか?」
式の当日、会場にいた神父さんがそんな事を呟きました。
魔法には相反する属性が存在します。
光と闇、水と火、風と土。
悪魔の魔法だったら、神の魔法かしら?
「神の魔法とでも言いたいのか? 君は」
隊長さんが懐疑的な目を向ける。
誰もが思った事だけど、神の魔法なんて聞いた事がない。
ああ、悪魔の魔法も聞いた事がないものね……ん?
「あら? じゃあ神聖魔法の逆魔法は何かしら」
思わず声を出してしまいました。
神聖魔法は神官が使うような回復魔法がメインのものです。
神官さんが発言をしたので、そんな事を考えてしまったのですが……そもそも神聖魔法ってなに?
「神聖魔法は光魔法に通ずるものがありますが、神聖魔法は治療・加護しかありません。怪我や病気を治療し、加護で予防をするのです。属性で言うと逆になる物は……はて?」
神官さんが頭を傾けました。
そして説明を受けて、ほとんどの人が一つの結論を出しました。
そう、神聖なのだから、逆は悪魔なのでは? と。
「そういえばシオン、神官が君に回復魔法をかけた時、ザビーネは何もしなかったよな?」
「言われてみればそうね。何か戸惑っていたように見えたけど、なんでかしら」
ハンスに言われ、あの時の事を思い出してみます。
そう、確かザビーネは魔法を使うそぶりを見せていたのに、魔法が飛んできませんでした。
なぜ? いえ、もしも魔法を使ったのに発動しなかったとしたら……!!
「「まさか!」」
満場一致で一つの答えに導かれました。
とはいえ数日が過ぎているので、もう魔法の残り香は無くなっている。
衛兵さんや騎士さん、他にも様々な人が見ているけど、これといった手掛かりは見つかっていない。
「ザビーネめ、逆恨みにも程があるだろう! それになんだアレ、陛下を婿として迎えるだって? 何を考えているんだアイツは」
ハンスと私も一緒に現場検証をしています。
式の当日にいた人で、都合の付いた人が数名参加している。
「権力が欲しいのかしら」
「それなら……極端な話し、国を乗っ取ってしまえばいい。あんな強力な魔法を使えるし、場合によっては陛下をどうにかできるはずだ。どうしてそれをしなかった」
「そうよね、じゃあ一体何をしたいのかしら」
あんな理解の出来ない言動をする人の目的なんて、私達には理解できません。
この日はもう手掛かりが見つかりそうにないので、それぞれの屋敷に戻りました。
数日が過ぎ、もう結婚式どころの騒ぎではなくなってしまい、ザビーネ対策を連日話し合っています。
軍の偉い方々や当日式に出席していた方々、魔法研究家などもいました。
中々解決策は見つかりませんが、少しだけ気になっていた事があります。
どうしてザビーネは逃げていったのでしょうか。
あのまま悪魔の魔法フィエンドスペルで攻撃していたら、私やハンスは間違いなく殺されていました。
にもかかわらず、ザビーネは逃げた。
そこに何かヒントがあるように感じます。
とはいえ少なすぎるヒントでは、解決策はできません。
「あ~、フィエンドスペル、悪魔の魔法といったか? 古い資料を読み漁っているが、その様な魔法はどこにも書かれていなかった」
魔法の研究をしているお爺さんがグチっている。
あれは私達を信じていない目ね。
まるで「俺の知らない魔法なんて存在するはずがない」とでも言わんばかり。
「では聞くが、既存の魔法であんなことが出来るものはなんだ?」
「そ、それは……」
騎士団長の質問に言葉が詰まるお爺さん。
う~ん、既存の魔法の知られていない使い方かしら?
でも魔法を発動する時は、何らかの属性のしるしが現れるはず。
水魔法なら水色っぽい光を発して魔法が発動する、とか。
「闇の魔法に対しては光の魔法が有効です。では悪魔の魔法に対しては、一体何が有効なのでしょうか?」
式の当日、会場にいた神父さんがそんな事を呟きました。
魔法には相反する属性が存在します。
光と闇、水と火、風と土。
悪魔の魔法だったら、神の魔法かしら?
「神の魔法とでも言いたいのか? 君は」
隊長さんが懐疑的な目を向ける。
誰もが思った事だけど、神の魔法なんて聞いた事がない。
ああ、悪魔の魔法も聞いた事がないものね……ん?
「あら? じゃあ神聖魔法の逆魔法は何かしら」
思わず声を出してしまいました。
神聖魔法は神官が使うような回復魔法がメインのものです。
神官さんが発言をしたので、そんな事を考えてしまったのですが……そもそも神聖魔法ってなに?
「神聖魔法は光魔法に通ずるものがありますが、神聖魔法は治療・加護しかありません。怪我や病気を治療し、加護で予防をするのです。属性で言うと逆になる物は……はて?」
神官さんが頭を傾けました。
そして説明を受けて、ほとんどの人が一つの結論を出しました。
そう、神聖なのだから、逆は悪魔なのでは? と。
「そういえばシオン、神官が君に回復魔法をかけた時、ザビーネは何もしなかったよな?」
「言われてみればそうね。何か戸惑っていたように見えたけど、なんでかしら」
ハンスに言われ、あの時の事を思い出してみます。
そう、確かザビーネは魔法を使うそぶりを見せていたのに、魔法が飛んできませんでした。
なぜ? いえ、もしも魔法を使ったのに発動しなかったとしたら……!!
「「まさか!」」
満場一致で一つの答えに導かれました。
27
お気に入りに追加
7,798
あなたにおすすめの小説
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
とある王国の公爵令嬢を巡る騒動について
書記長
ファンタジー
とある王国の公爵家の長女・フレデリカは早くから王太子の婚約者になっていて、王太子からも愛されていて周囲からも将来の王妃に相応しい女性だと思われていた。
ところが、実家の公爵家では公爵の後妻が産んだ次女のブロンウィンが溺愛され、姉のものを何でも欲しがっては横取りをし、両親である公爵とその夫人(後妻)はそれを放置するどころかフレデリカに婚約者の地位をブロンウィンに譲れと迫り、更に夫人が育児放棄した三女のブリアナの子守をさせる有様であった。
そんなある日、フレデリカは侯爵家のお茶会に招かれたが、それを知ったブロンウィンは姉だけが招かれたことに反発して侯爵家に押しかけて強引にお茶会に参加する。ところが、フレデリカに出されたお茶を強引に奪って飲んだブロンウィンが突然苦しみだして息絶えてしまう。明らかに王太子の婚約者であるフレデリカの命を狙った毒殺事件であったが、最愛の娘を喪った公爵はフレデリカが妹に嫉妬して殺害したと信じて彼女を地下室に幽閉した上で、宰相に「娘の犯罪」を告発したのである。
唖然とする話を無理矢理聞かされた宰相の視点から見た事件の顛末。
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
思わず呆れる婚約破棄
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある国のとある夜会、その場にて、その国の王子が婚約破棄を言い渡した。
だがしかし、その内容がずさんというか、あまりにもひどいというか……呆れるしかない。
余りにもひどい内容に、思わず誰もが呆れてしまうのであった。
……ネタバレのような気がする。しかし、良い紹介分が思いつかなかった。
よくあるざまぁ系婚約破棄物ですが、第3者視点よりお送りいたします。
【完結】数十分後に婚約破棄&冤罪を食らうっぽいので、野次馬と手を組んでみた
月白ヤトヒコ
ファンタジー
「レシウス伯爵令嬢ディアンヌ! 今ここで、貴様との婚約を破棄するっ!?」
高らかに宣言する声が、辺りに響き渡った。
この婚約破棄は数十分前に知ったこと。
きっと、『衆人環視の前で婚約破棄する俺、かっこいい!』とでも思っているんでしょうね。キモっ!
「婚約破棄、了承致しました。つきましては、理由をお伺いしても?」
だからわたくしは、すぐそこで知り合った野次馬と手を組むことにした。
「ふっ、知れたこと! 貴様は、わたしの愛するこの可憐な」
「よっ、まさかの自分からの不貞の告白!」
「憎いねこの色男!」
ドヤ顔して、なんぞ花畑なことを言い掛けた言葉が、飛んで来た核心的な野次に遮られる。
「婚約者を蔑ろにして育てた不誠実な真実の愛!」
「女泣かせたぁこのことだね!」
「そして、婚約者がいる男に擦り寄るか弱い女!」
「か弱いだぁ? 図太ぇ神経した厚顔女の間違いじゃぁねぇのかい!」
さあ、存分に野次ってもらうから覚悟して頂きますわ。
設定はふわっと。
『腐ったお姉様。伏してお願い奉りやがるから、是非とも助けろくださいっ!?』と、ちょっと繋りあり。『腐ったお姉様~』を読んでなくても大丈夫です。
どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな
こうやさい
ファンタジー
わたくしは婚約者や義妹に断罪され、学園から追放を命じられました。
これが「ざまぁ」されるというものなんですのね。
義妹に冤罪着せられて殿下に皆の前で婚約破棄のうえ学園からの追放される令嬢とかいったら頑張ってる感じなんだけどなぁ。
とりあえずお兄さま頑張れ。
PCがエラーがどうこうほざいているので消えたら察してください、どのみち不定期だけど。
やっぱスマホでも更新できるようにしとかないとなぁ、と毎度の事を思うだけ思う。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる