不倫ばかりする夫にもう一度振り向いてもらおうとして、自分磨きを頑張ったら王太子が振り向きました

如月ぐるぐる

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11 もう一人の王太子からの指名

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 馬車に揺られて町中を通り過ぎていく。
 見慣れた景色が、ここからだと全然違う見え方がする。
 だたのイングリッドとしてではなく、第二王女としての見方をしてるのかもしれない。

 自分のお店の前を通りかかる。
 そういえば皆には話が出来なかったわね。
 ユリア辺りが近日中に城に来るでしょうから、その時に話をしましょう。

 城の中に入り、馬車を降りるとクリスティーヌお姉様が待っていた。

「ごめんなさいイングリッド。私では止められなくって」

「いいえお姉様。今の情勢を考えれば予想が出来る事だったわ。対策をしなかった私の落ち度よ」

 そう言って抱き合った。
 お姉様には苦労を掛けっぱなしね。

「戻ったのかイングリッド」

「お兄様……」

 第一王子のお兄様と、その妃様が来ていた。
 歳が10歳ほど離れているから、兄妹といっても関りが薄かった。

「お前もいい歳なんだ、遊び惚けていないで王家としてやるべき事をやるんだ」

「ジェームス、そんな言い方をする事は無いのではなくて? イングリッドにはイングリッドの考えがあっての行動だったのだから」

「そうやってクリスティーヌが甘やかすからいけないんだ。王族はどうやっても王族の役目からは逃れられない。それを捨てようとした時点で甘えているんだ」

 言い返す言葉がない。
 生まれを恨んでも仕方が無いけど、確かに役目を放棄したのは事実だ。

「ごめんなさいお兄様。でも私はそんな役目が嫌だったの。それにこんな状況にならなければ、私の役目なんて無いに等しかったはずよ?」

「お前……それは俺の責任だと言いたいのか!!!」

 この状況、他国の動きが活発なのはお兄様のせいじゃない。
 でも国の軍事力強化が中々進まないのは、軍長官を務めるお兄様の責任といって良い。
 私はその尻拭いをさせられるために呼ばれたんだから。

「そんな事は言っていません。それともお兄様はご自分の責任だとお考えですか?」

「グ……まあいい。父上がお待ちだ、早く謁見の間へ行くぞ」

 お兄様について、私とお姉様は謁見の間へと向かう。
 この姿で城の中を歩くのは数年ぶりだけど、みんなが頭を下げている。
 お兄様とお姉様が居るからだかしら、それとも私も含めてかしら。

「父上、イングリッドを連れてきました」

 謁見の間に入ると、お父様……陛下は玉座に座り頬杖をついていた。

「遅かったな」

「申し訳ありません。イングリッドの支度に時間がかかりました」

 ウソばっかり。準備なんて家を出た時にしただけで、城に入ってからは何もしてない。
 お父様は自分が優位に立つために、お兄様は私に私に頭を下げさせるために、下らないやり取りをする。
 王族っていつもこう。
 自分が偉いモノだから、常に優越感に浸らないと気が済まない。

「お久しぶりですお父様。私は王家を捨てた女、そんな女を呼び出して、一体何の御用でしょうか」

 形だけ頭を下げて挨拶をし、何も知らないフリをして問いかける。
 馬鹿な女だとでも思ってくれれば諦めるかしら。

「イングリッド、お前にいい話を持ってきてやったぞ。隣国であるシュタット国の第一王子との婚姻話が出ている。フラフラしているお前にとってもいい話だろう」

 シュタット国……やっぱり軍事力の強化のためなのね。
 シュタット国は基本的に他国へは兵器を売っていないけど、第一王子と婚姻関係にあるこの国になら、武器を売ってくれるんじゃないかって言う考えだ。

「しかし父上、私はすでに結婚しております。そのような使い古しの女を第一王子にとつがせるなど、失礼に当たりませんか?」

「何を言っておる、王家の者が平民と結婚など出来るはずが無かろう」

 ああそういう事ね、その様な事実は無いと、私の数年間の行動は無かった事にするつもりなのね。
 でもそれなら、こちらにも手はあるわ。

「しかし仮に嫁いだとしても、不意に以前の夫の名を呼んでしまうかもしれません。そうなれば私は不貞を働いたとして捨てられ、シュタット国との関係も悪化してしまうのではありませんか?」

「安心しろ。相手の王子はお前が平民と遊んでいた事を知っている。その上でお前が良いと言ってきたのだ」

「……今なんとおっしゃいましたか? 相手から、私を指名したと、そうおっしゃいましたか?」

「そうだ。市民の暮らしに興味を持つ姫が珍しいのだろうな」

 これは予想が外れたわ。
 向こうも資金の為に仕方なく受けるのかと思ったら、向こうから私を指名したですって? という事は私の素性調査も終わっているだろうし、旦那様がいる事も知っているはず。
 その上で私を? どうして???

「一つ確認なのですが、私が嫁いだ場合、両国にとって何の利益になりますか?」

「言わずとも分かっているだろう? 我が国は軍備を、シュタット国は資金を手にする事が出来る」

「それならば1年だけお時間を頂けませんか? 軍備を、軍事力を上げたいのであれば、私が別の手段で軍事力を上げて御覧に入れます」

「その必要は無い。ジェームスに出来なかった事をお前がしてみろ、ジェームスの立場が無くなるではないか。次期国王の立場を悪くしてどうするのだ」

 それは……それはそうだけど。
 でも、でもそれじゃあシュタット国に行かざるを得ないじゃない!
 考えなさい、考えるのよイングリッド!

 お兄様の立場を悪くせず、シュタット国へも行かずに軍事力を上げる方法を!!!
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