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5 お姫様待遇
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最近旦那様のご機嫌が悪い。
どうしたのかしら、少し前はちょっとずつ会話が出来るようになってたのに。
多分だけど……晩餐会への招待状が届いてからだと思う。
私を心配してくれているのかしら。
「食事は作ってあるし、お金も置いてある。洗濯物も掃除も終わってるし……うん大丈夫、旦那様が不自由する事は無いわね」
明日は晩餐会があるから、今日のお昼には迎えが来るはず。
それまでに数日分の準備を終わらせておいた。
晩餐会へ持って行くものは準備が出来ている。
お姉様のパーティーに参加した時のドレスしかないけど、構わないわよね?
「お待たせいたしました。それでは参りましょう」
迎えに来た馬車はとても大きかった。
招待したのが王太子だからだと思うけど、これって王族が乗る馬車かしら。
それに護衛がすごく多い……馬車が3台と兵士が10人以上、他にも沢山の人がいる。
ひょっとしてイースター国って危険な場所?
馬車に乗ると、メイドさんが3人も乗ってきた。
「イングリッド様、御用の際はその3名に何なりとお申し付けください」
執事さんが扉を閉める前にそういうと、笑顔で馬車の扉を静かに閉めた。
この扉、音がしないのかしら。
緊張しながら馬車に乗っていると、メイドさん達がお茶の用意を始めた。
え? ちょっと待って、馬車の中でお茶なんて飲んだら振動で……あれ? そういえば揺れてないしお尻も痛くない。
メイドさん達はお湯を沸かして紅茶を入れ、お菓子を並べていく。
こっ、この馬車スゴイ! お城の馬車も凄かったけど、少しは揺れてたし飲み物なんて無理だった。
イースター国って技術が進んだ国なのかな。
馬車に揺られ、夕食はシェフが私の為だけに料理をし、美味しいケーキまで用意してくれた。
なんて……なんて至れり尽くせり! これはダメだわ! 人間がダメになる!
「イングリッド様、お食事はどうでしたか? 我が国の最高のシェフを連れてまいりましたが、お口に合いましたでしょうか」
さ、最高のシェフ!? 確かに美味しかったけど、どうしてそんな人を呼ぶのよ!
「と、とても美味しゅうございましたわ、おほほほ」
って言うしかないじゃない! まさか馬車から降りたら大理石のテーブルにフルコースがセッティングされてるなんて、誰が想像するっていうのよー!
ううっ、早く着かないかしら。
疲れるはずの馬車旅で疲れない事に逆に疲れを感じ、ようやくイースター国に着いたのは夜になってからだ。
すっかり月が昇り、朧げな灯りが城壁を照らしている。
はぁ、今日はもうぐっすりと眠ってしまいたい。
そして案内された部屋は、どこのお姫様の部屋かと思うほどに豪華な部屋だった。
「そ、そうよね、馬車の事もあったもんね、これで驚くことは無いわよね?」
豪華な馬車に豪華な部屋。
断るつもりで来たのに、こんなに待遇を良くされると困ってしまう。
明日、明日の晩餐会でハッキリと断らなくっちゃ。
そう考えながら、私は大きなベッドに横になった。
翌朝。
朝食は昨日のシェフが作ってくれた。
なぜかドレスとか靴とかお化粧品とか、色んな物を渡された。
昼食は王妃様が挨拶に来た。
そして一緒にイースター国がいかにいい国かを、劇場でミュージカルに乗せて鑑賞した。
なぜか温泉に入って全身マッサージされる。
晩餐会前の準備は、どこのオペラ歌手かと思うほどに沢山の人にお化粧と着付けをされた。
ひ、久しぶりだわこういうの。は、はずかしぃ~!
あ、こんなお化粧方法があったんだ。
そうして晩餐会の会場に到着した。
私はというと、頭には宝石が散りばめられたティアラを乗せ、同じく宝石が散りばめられた真っ白ドレスを着て、厚化粧のはずなのにナチュラルメイクっぽい顔で、真っ赤なラメ入りヒールで扉の前に立っていた。
これってお姫様の格好よね? ちょっとまって、いきなりで頭が追いつかない。
「さあイングリッド様、扉を開けますので、ゆっくりとお進みください」
執事さんに言われたけど、うんうんと首を縦に振るしか出来ない。
大きな両扉が開かれると、眩いばかりの灯りの向こうには、沢山の人が拍手をして待っていた。
でも幸いなことに、結婚式とかそんな感じじゃなかった。
ほっ、よかった。いきなりすっ飛ばして拉致されるのかと思った。
「おおー! イングリッド様ばんざーい!」
会場に入るとなぜか万歳をされた。
そ、そんなに名前を連呼しないでぇ~。
「ようこそおいで下さったイングリッド君! 息子が無理を言って済まないねぇ」
頭に冠をかぶり、大きな宝石の付いた杖を持ち、赤いふかふかのマントとキレイなおべべ……。
息子……リチャードさんのお父さんですか?
確かリチャードさんは王太子だから……!?
「こ、国王陛下!!!」
「はっはっは! ウチのバカ息子が無理を言った様だが、どうだね? 我が国は」
どうだねって言われても、国王陛下を前にして悪い事を言えるはずがないじゃない!
「と、とても素晴らしい国ですわね、おほほっほほほ」
「そうだろうそうだろう、うんうん。今日はゆっくりと楽しんでいってくれたまえ!」
そう言ってどこかに行っちゃったけど、なんで? なんでいきなり国王様が出てくるの?
白目をむいて固まっていると、そっと隣に人がきた。
「こ、こんばんわ! おひゃ、お久しぶりです!」
ガッチガチに緊張した男の人……ああ、この人は見おぼえがあるわ。
私をここに呼んだ張本人、リチャード王太子だわ。
どうしたのかしら、少し前はちょっとずつ会話が出来るようになってたのに。
多分だけど……晩餐会への招待状が届いてからだと思う。
私を心配してくれているのかしら。
「食事は作ってあるし、お金も置いてある。洗濯物も掃除も終わってるし……うん大丈夫、旦那様が不自由する事は無いわね」
明日は晩餐会があるから、今日のお昼には迎えが来るはず。
それまでに数日分の準備を終わらせておいた。
晩餐会へ持って行くものは準備が出来ている。
お姉様のパーティーに参加した時のドレスしかないけど、構わないわよね?
「お待たせいたしました。それでは参りましょう」
迎えに来た馬車はとても大きかった。
招待したのが王太子だからだと思うけど、これって王族が乗る馬車かしら。
それに護衛がすごく多い……馬車が3台と兵士が10人以上、他にも沢山の人がいる。
ひょっとしてイースター国って危険な場所?
馬車に乗ると、メイドさんが3人も乗ってきた。
「イングリッド様、御用の際はその3名に何なりとお申し付けください」
執事さんが扉を閉める前にそういうと、笑顔で馬車の扉を静かに閉めた。
この扉、音がしないのかしら。
緊張しながら馬車に乗っていると、メイドさん達がお茶の用意を始めた。
え? ちょっと待って、馬車の中でお茶なんて飲んだら振動で……あれ? そういえば揺れてないしお尻も痛くない。
メイドさん達はお湯を沸かして紅茶を入れ、お菓子を並べていく。
こっ、この馬車スゴイ! お城の馬車も凄かったけど、少しは揺れてたし飲み物なんて無理だった。
イースター国って技術が進んだ国なのかな。
馬車に揺られ、夕食はシェフが私の為だけに料理をし、美味しいケーキまで用意してくれた。
なんて……なんて至れり尽くせり! これはダメだわ! 人間がダメになる!
「イングリッド様、お食事はどうでしたか? 我が国の最高のシェフを連れてまいりましたが、お口に合いましたでしょうか」
さ、最高のシェフ!? 確かに美味しかったけど、どうしてそんな人を呼ぶのよ!
「と、とても美味しゅうございましたわ、おほほほ」
って言うしかないじゃない! まさか馬車から降りたら大理石のテーブルにフルコースがセッティングされてるなんて、誰が想像するっていうのよー!
ううっ、早く着かないかしら。
疲れるはずの馬車旅で疲れない事に逆に疲れを感じ、ようやくイースター国に着いたのは夜になってからだ。
すっかり月が昇り、朧げな灯りが城壁を照らしている。
はぁ、今日はもうぐっすりと眠ってしまいたい。
そして案内された部屋は、どこのお姫様の部屋かと思うほどに豪華な部屋だった。
「そ、そうよね、馬車の事もあったもんね、これで驚くことは無いわよね?」
豪華な馬車に豪華な部屋。
断るつもりで来たのに、こんなに待遇を良くされると困ってしまう。
明日、明日の晩餐会でハッキリと断らなくっちゃ。
そう考えながら、私は大きなベッドに横になった。
翌朝。
朝食は昨日のシェフが作ってくれた。
なぜかドレスとか靴とかお化粧品とか、色んな物を渡された。
昼食は王妃様が挨拶に来た。
そして一緒にイースター国がいかにいい国かを、劇場でミュージカルに乗せて鑑賞した。
なぜか温泉に入って全身マッサージされる。
晩餐会前の準備は、どこのオペラ歌手かと思うほどに沢山の人にお化粧と着付けをされた。
ひ、久しぶりだわこういうの。は、はずかしぃ~!
あ、こんなお化粧方法があったんだ。
そうして晩餐会の会場に到着した。
私はというと、頭には宝石が散りばめられたティアラを乗せ、同じく宝石が散りばめられた真っ白ドレスを着て、厚化粧のはずなのにナチュラルメイクっぽい顔で、真っ赤なラメ入りヒールで扉の前に立っていた。
これってお姫様の格好よね? ちょっとまって、いきなりで頭が追いつかない。
「さあイングリッド様、扉を開けますので、ゆっくりとお進みください」
執事さんに言われたけど、うんうんと首を縦に振るしか出来ない。
大きな両扉が開かれると、眩いばかりの灯りの向こうには、沢山の人が拍手をして待っていた。
でも幸いなことに、結婚式とかそんな感じじゃなかった。
ほっ、よかった。いきなりすっ飛ばして拉致されるのかと思った。
「おおー! イングリッド様ばんざーい!」
会場に入るとなぜか万歳をされた。
そ、そんなに名前を連呼しないでぇ~。
「ようこそおいで下さったイングリッド君! 息子が無理を言って済まないねぇ」
頭に冠をかぶり、大きな宝石の付いた杖を持ち、赤いふかふかのマントとキレイなおべべ……。
息子……リチャードさんのお父さんですか?
確かリチャードさんは王太子だから……!?
「こ、国王陛下!!!」
「はっはっは! ウチのバカ息子が無理を言った様だが、どうだね? 我が国は」
どうだねって言われても、国王陛下を前にして悪い事を言えるはずがないじゃない!
「と、とても素晴らしい国ですわね、おほほっほほほ」
「そうだろうそうだろう、うんうん。今日はゆっくりと楽しんでいってくれたまえ!」
そう言ってどこかに行っちゃったけど、なんで? なんでいきなり国王様が出てくるの?
白目をむいて固まっていると、そっと隣に人がきた。
「こ、こんばんわ! おひゃ、お久しぶりです!」
ガッチガチに緊張した男の人……ああ、この人は見おぼえがあるわ。
私をここに呼んだ張本人、リチャード王太子だわ。
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