不倫ばかりする夫にもう一度振り向いてもらおうとして、自分磨きを頑張ったら王太子が振り向きました

如月ぐるぐる

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2 自分磨き開始!

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 一人で食べる朝食は、少ししょっぱかった。
 旦那様は今頃何をやっているのだろう。
 目の前がにじんでいく、温かいものが頬を伝っているけど、きっと焼き魚の塩が強すぎたのね。

 食べ終わって食器を片付けていると、カレンダーが目に入る。
 いけない、今日は仕事に行かないといけない日だわ。
 こんな顔じゃみんなが心配するわね、何とか気持ちを入れ替えて、笑顔で行かなきゃ!



「おはようございますイングリッドさん!」

「店長おはようございます!」

「イングリッドさん、今日の会議の内容なんですが……」

 久しぶりに店に来たけど、変わらず活気があるわね。
 お客さんもたくさん来てくれてるし、売れ行きは好調みたい。

「やぁイングリッド久しぶり。今度のアクセサリーも大ヒットしているよ」

「喜んでもらえて安心したわ。それで、今度の新作の試作品の出来はどう?」

「まぁまぁだね。もう少し細部にこだわりたいから、数日は時間が欲しい」

「任せるわ。満足するまでやってみて」

 親友のユリアはこだわり性だ。
 手先が器用で大量生産の道具を作ってもらってるけど、お気に入りのアクセサリー道具を作る時は凄く早く作り、イマイチな場合は凄く時間がかかる。
 あんまり喋らないけど、行動原理が非常に単純だから困らない。
 楽しいか、楽しくないか。すぐ表情に出るから分かりやすい。

 商店の3階にある会議室に入ると、沢山の人がイスに座って待っていた。

「みんなおはよう。それじゃあ新商品の開発会議を始めましょうか」



 会議は白熱して、沢山の意見が飛び交った。
 でもなぜかしら、私の心に突き刺さる物が多かった。

「どんな素晴らしい商品でも、磨かなければくすんだままだ!」
「人気が無い? それは見せ方が間違っているんじゃないか?」
「私達は常にユーザーに喜んでもらう努力を欠かしてはいけない!」

 旦那様とあんなことがあった後だからかしら、私の胸に突き刺さる言葉が多い。
 磨く……見せ方……努力!!!

「そうよ! 今の立場に甘えてはダメ! 常に新しい魅力を提供し、飽きさせない努力をしないといけないわ! 私達は常に挑戦者であるべきだわ!」

 会議室が拍手で一杯になった。
 あ、あら? 私ったら何自分の事ばかり考えているのかしら。




 会議が終わると、私はユリアに相談に乗ってもらった。

「え? 自分磨きはどうやったらいいのかって? イングリッド、君はまだ店を大きくしたいのか?」

「お店じゃないわ、自分を良くしたいの。キレイになりたいしもっと優しくなりたい、魅力的な女性になりたいのよ」

 会議室に2人で残り相談をしている。
 でもなんでお店の事になるのかしら。お店は皆のお陰で十分に大きいのに。

「キレイになりたい? 魅力的な女性になりたい? 君は正気か? 女の僕から見ても君は美しいのに、これ以上どうやってキレイするのさ。はは~ん、ひょっとしてまだ旦那の浮気が治らないんだね?」

「……うん」

「僕から言わせたら、あの旦那は君に甘えすぎているがね。君は公私ともに輝いているのに。ほんと、君は城に居た頃からそうだった」

「お城に居た頃は皆がやってくれてたから、自分ではきっと全然ダメなの。お化粧もそうだし、スタイルも、身だしなみも、マナーも。いっそこの顔を―――」

「まった。顔を作り変えるなんて言わないでくれよ? 僕は君の顔が大好きなんだから」

「でも旦那様は……」

「はぁ。自分磨きをしたいなら、女性のマナー講座や化粧教室、最近流行はやりのツボマッサージに行ったららどうだい?」

「そうね、早速行ってみるわ! ありがとうユリア!」




「あなたに教える事はありません。私が教えて欲しいくらいです!」

「私よりお化粧が上手な人に、何を教えればいいのか……」

「こんな素敵なスタイルをしていては、ツボマッサージをしても効果はありません」

 全部お払い箱にされた。
 私、ひょっとして磨く価値もない肥溜こえだめの様な女なのかしら。
 思わず腕の臭いを嗅いでみる。臭くないわよね?

 そうだわ! お姉様に聞いたら教えてくれるわ! お姉様はキレイだしお化粧も上手だし、スタイルもいいしとてもやさしい人だもの!

「自分を磨きたいの? じゃあコレをやってみる?」

 やっぱりお姉様はスゴイ! 私の憧れのお姉様は何でも教えてくれるわね。
 色々な事を試してみる。きっと旦那様も振り向いてくれるわよね。
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