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早朝、朝食と弁当を作る。
ダブる惣菜が出てくるのは我慢して貰おう。
少量ずつ、多種類の食物をとるのが理想なので、常備菜に大活躍して貰わなければならないのだ。

「おはようございます。
コーヒー飲んでも良いですか?」

寝ぼけた顔でヌボーっとやってくる。
顔は軽く洗ってきたようだが、まだ部屋着だ。
うん、全然色っぽくないな。

「ああ、おはようさん。
インスタントしか無いが、自分でいれてくれ。
おっと、砂糖はダメだぞ。
牛乳ならオッケーだ。」

了解ですと、スプーンも使わずにコーヒーの瓶から粉をマグカップに振り入れ、ポットのお湯と台に出してあった牛乳を入れて飲む彼女。
うーん、ワイルドだな。
ちゃんと混ざっているのか疑問だ。
かなりズボラそうだな、こりゃ。

コーヒーを飲み終わる頃、やっと目が覚めたのか、背筋がのびてきて、着替えてくると2階に戻って行った。

さて、俺は残りの作業を終わらせなければ。



差し向かいで朝食を食べる。
そう言えば、血圧を朝晩に測るって言ってたか?

「血圧、測ったのか?」

「はい、起きて直ぐに。」

「血圧は起きてから水を一杯飲んで、トイレに行ってきて、少し座ってから測ると良いらしいぞ。
朝、水飲んだか?」

「水分はとりましたよ。
コーヒーで。」

・・・。

「あのなあ、コーヒーは水分に含めるな。
利尿作用があるから、水分を持ってかれる。
ちゃんと水を飲め。
コーヒーや紅茶はあくまでも嗜好品だ。
明日から朝はまず、水を飲め。」

「はい。」

眉尻を下げ、ショボンとなる彼女。
大きな犬が怒られているみたいで思わず笑ってしまいそうだ。


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