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元老院
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『この者がマティアス殿ですか。』
丸い眼鏡をかけた小さな老人が、俺の頭の中まで見透かすような目をして見つめてきた。
力技で戦えば勝てそうだが、こういった術者の系統は最も苦手な部類だった。
出来ればヒロの後ろに逃げたくなったが、男として、ヒロの伴侶として、踏みとどまる。
元老院の査察官。
この難局を切り抜けなければ、ヒロと婚姻出来ない。
『この二人を認めてくだされ。』
チリカ殿が口添えしてくれている。
『ふむ。
チヒロ殿は第3位の王位継承権を持ちます。
このような他国の者との婚姻は望ましくありませんね。』
『これは、神の御心だと思うのですが。』
『何故、神の御心だと?』
『神に導かれ、出会うはずの無かった二人が出逢いました。
そして、神子が授けられたのです。』
『何と、神子ですと?!
我が王国の出生率が下がり、王家の血脈が危ぶまれている昨今、そのような素晴らしき報告が!!
これは一大事!
早速陛下にご報告せねば!!』
バタバタと部屋から去ろうとする、老人。
一体、どうなってるんだ?
と、老人が立ち止まり、ヒロに頭を垂れた。
『チヒロ殿、心より祝福いたします。』
そう言って、今度こそ部屋から去っていった。
『、、、なんだったんだ?』
俺は虚脱感を覚えてしまった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『お母さん、一体どうなったの?』
『ふふふ、婚姻が認められたのですよ。』
『神子とか、出生率とかって何?』
『ジーズー王国の王家の出生率はどんどんと下がり、血脈が途絶えるのではと危ぶまれているのです。
王家の者に授かるお子は皆、神の子と位置付けられるのですよ。
ですから、チヒロの子も、神の子なのですよ。』
『陛下に報告と言ってたが、危篤ではなかったのですか?』
マティアスさんが聞きます。
『危篤状態は脱しました。
元々、ブランドンが仕掛けた呪術のせいで危篤だったので、あの者を排除したので、驚異は去りました。』
良かった。
これで王国も安心出来る。
お腹の中の子供のお陰で、マティアスさんと結婚も出来る事になったみたいだし、この子に感謝しなければね。
『マティアスさん、嬉しい。』
『ヒロ、幸せになろうな。』
抱き締めてもらってると、いつの間にかお母さんもいなくなっていた。
丸い眼鏡をかけた小さな老人が、俺の頭の中まで見透かすような目をして見つめてきた。
力技で戦えば勝てそうだが、こういった術者の系統は最も苦手な部類だった。
出来ればヒロの後ろに逃げたくなったが、男として、ヒロの伴侶として、踏みとどまる。
元老院の査察官。
この難局を切り抜けなければ、ヒロと婚姻出来ない。
『この二人を認めてくだされ。』
チリカ殿が口添えしてくれている。
『ふむ。
チヒロ殿は第3位の王位継承権を持ちます。
このような他国の者との婚姻は望ましくありませんね。』
『これは、神の御心だと思うのですが。』
『何故、神の御心だと?』
『神に導かれ、出会うはずの無かった二人が出逢いました。
そして、神子が授けられたのです。』
『何と、神子ですと?!
我が王国の出生率が下がり、王家の血脈が危ぶまれている昨今、そのような素晴らしき報告が!!
これは一大事!
早速陛下にご報告せねば!!』
バタバタと部屋から去ろうとする、老人。
一体、どうなってるんだ?
と、老人が立ち止まり、ヒロに頭を垂れた。
『チヒロ殿、心より祝福いたします。』
そう言って、今度こそ部屋から去っていった。
『、、、なんだったんだ?』
俺は虚脱感を覚えてしまった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『お母さん、一体どうなったの?』
『ふふふ、婚姻が認められたのですよ。』
『神子とか、出生率とかって何?』
『ジーズー王国の王家の出生率はどんどんと下がり、血脈が途絶えるのではと危ぶまれているのです。
王家の者に授かるお子は皆、神の子と位置付けられるのですよ。
ですから、チヒロの子も、神の子なのですよ。』
『陛下に報告と言ってたが、危篤ではなかったのですか?』
マティアスさんが聞きます。
『危篤状態は脱しました。
元々、ブランドンが仕掛けた呪術のせいで危篤だったので、あの者を排除したので、驚異は去りました。』
良かった。
これで王国も安心出来る。
お腹の中の子供のお陰で、マティアスさんと結婚も出来る事になったみたいだし、この子に感謝しなければね。
『マティアスさん、嬉しい。』
『ヒロ、幸せになろうな。』
抱き締めてもらってると、いつの間にかお母さんもいなくなっていた。
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