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ヒロの事情

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『国王の妹、と言う事は、このチ、ヒロ、さんは国王の姪になるんですか?』

『はい、そう言う事ですね。』

『国王、は、あの、ブランドン、陛下で?』

『はぁっ?!
どこからその名前を?』

『このチ、ヒロを拐かそうとして、拘留しました。』

『何ですって?!』

私の母親と言う人は、もの凄く驚いていますね。

『国王だと名乗るものですから、扱いに困っております。
貴女が身元保証をして下さるならば、帰国していただくのが一番だと思うのですが。』

『そんな事、とんでもありません!!』

何か、怒ってるみたいですね。
どうしたんでしょう?




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


ヒロの事を、チヒロと呼ぶのは違和感があって、なかなか難しい。
母親の前だから呼ぼうとするが、舌を噛みそうになる。

ああ!もう、いつも通りヒロで良いか。

『ブランドン陛下の保証人にはなれないと?』

『そのような者、存在しません。
我が国の国王の名はブィルップでございますから。』

は?
一体、どういう事だ?

『ブランドンは、ブィルップ陛下の腹違いの弟でございますから。』

弟?
国王ではないのか?

『では、王弟殿下ですか?』

『ええ。
ですが、母親の身分が低すぎて王位継承権は与えられておりません。
第一位は、ブィルップ陛下の皇子がおります。』

くっそ、あの、偽国王が!!

『では、あのブランドンは、何故ヒロを狙ったのですか?』

『、、、ブィルップ陛下が危篤なのです。
で、ブランドンが国王の座を狙おうとして。
チヒロは第三位の王位継承権を持っておりますから。』

その事に危機を抱き、若返りの魔法を使用して、ブランドンに見付からぬ場所へと逃したのだと言う。

が、何かの力が働いたのか、逃した筈の場所にはいなく、探していたらしい。

『このような遠くの地に逃れていたとは思いませんでした。
しかも、記憶喪失だなんて。』

痛痒な表情で語る彼女は、母親の顔をしていた。


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