(異世界で？)お一人様のち お二人様

共同生活

体力も回復し、俺も雪かき等の仕事を手伝いだした。

そろそろ体を動かさなければ、雪が溶けても帰れなくなってしまう。

二人で分担して仕事を片付ければそれだけ早く終わる。

罠の様子を見るのにも二人で行った。

渡り鳥と、兎がかかっていたが、シャルルは俺が手を出す隙も無い程に見事に捌いてしまった。

「すげぇな。」

関心してると、翌日に上等の肉料理になって出た。

「兎のシチューと、鳥の照り焼き。
病み上がりなんだからしっかり食べて。」

「旨い。
王都でもこんな旨いもの食った事ないぞ。」

「そう。」

王都の話には関心はなさそうだ。

「シャルルはずっとここに住んでるのか？」

「まあね。」

「祖母殿はいつ帰る予定なんだ？」

「その内じゃない？」

聞かれたくない話題なのか、素っ気ない。
祖母殿にもお礼を言いたいのだが。



この家の中で俺が入った事のあるのは、居間、台所、浴室、便所、鶏のいる裏玄関だ。

その他に入室禁止の戸がいくつかあるが、シャルルの部屋と祖母殿の部屋のだと思う。

暖房はストーブが無いのに全体が暖かい。
かなり高級な魔道具を使っているのだろう。

水も制限せずに使っているように思える。
毎日風呂に入るなんて贅沢過ぎるのだ。

この家にはいくつの魔道具が使われているのか考えたら眩暈がしそうだ。

祖母殿は金持ちの道楽で、この家を別荘に使っているのかも知れない。

今は王都の本宅に戻っているのだろうと思われた。


「アレス、卵があったら貰ってきて。」

鶏のコッコは少し苦手だ。
俺が卵を貰いに行くと攻撃してくるのだ。

そっと様子をうかがえば、卵から離れた場所で餌をついばんでいた。

よし、今のうちに、と手を伸ばせば、クェーッ！！と奇声を発しながら走り寄ってくる。

バサバサとはばたきながら、羽とクチバシで攻撃してきた。

「わ、やめろ、あっち行け！」

卵を守りながら何とか戸を閉めた。

猛獣と闘うよりも大変な作業だ。

「何やってるの？
コッコは卵に執着ないから楽な作業の筈なんだけど。」

肩をすくめてあきれている。

「猛獣ならば闘えば良いのだが、コッコは闘う訳にいかないからな。
あいつは俺を見ると目の敵にして攻撃してくる。
困ったもんだ。」

「コッコも雪で閉じ込められていてストレス溜まってるのかもね。
アレスが良い遊び相手だと思っているのかもね。」

後で外に散歩に出そうか、と呟きながら卵を受け取って台所に去って行った。


卵はゆでて野菜と一緒にサラダになり、美味しくいただいた。