約束の邨

ぺぺ

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穴太の衆(あのうの衆)

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物事の需給関係において、沢山手が上がるものに対し、供給量が少なければ少ないほど価値が高まってゆく。

この関係が成り立つ場においては、どれだけ強大な力をもって対峙しても、指先の一押しで事の優劣が決まる。

人の生涯で、生まれる事と死ぬ事は、どうしても揺るがぬ摂理であるが、その摂理に抗い、少しでも永らえようとするも又摂理。

そうなると、最終的に行き着くのは、血と記憶。
自らが朽ち無くなったとしても、記憶としてでも留まりたい。

半ば呪いじみたその思いが、仮初の権力が齎(もたら)す快楽と相待って、具現化したものが家系であり、各権力者達は、その怨念を守り繋ぐ事に血眼になった。

半分が死産になる為に、丈夫な世継ぎの誕生は、各家々の悲願であり、それを請け負う佐々木の家、サクヤの存在は、神そのものである。

こうなると、需給の序列は明らかで、佐々木の家の言い分は神言となりなんでも通る。

サクヤはあくまで世継ぎの請負人、嫁に入る事は殆どなく、出向いて男児を産めば役目が終わり、又佐々木の家へ帰ってきた。

どうしても、というか、そうなる事が多いのだが、妻としたいという申し出は、知行地がごっそり無くなるくらいが相場であり、加えて、縁切りの自由がサクヤに保証されていて、それを含めても尚、サクヤをめとる値打ちの方が高いとされたのは、佐々木の子種が残した過去業績の統計が物語っていた。

もう一つ、この仕組みは佐々木の家に情報という大きな副産物をもたらした。

サクヤを介して、各所の有力者、権力者らの、家族構成、財務状況、兵力、性癖、縁故関係、ありとあらゆる情報が集まってきた。

これにより、佐々木の家が全ての特権階級の情報拠点として急所を握っている様な状況になり、佐々木の血が入っている事が、豪族、貴族、武家、皇族、全ての特権階級での常識となっていました。

佐々木の家には、この皆が行き着く血の意識が希薄で、役割のみが存在し、順番はあれど序列がない。

故に孤高の位置に或る事ができました。
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