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生い立ち

オーダー

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怖い、汚い、キツい、危険、警察沙汰、挙句自分が殺される事もある。

殺しの稼業はKが幾つも付く、やり手の少ない部類の職業ですが、市場原理に基づくと、担い手の数よりも、オファーの数が多ければ多いほど、難易度が高ければ高いほど、支払われる報酬は大きくなりがちである。

相場とかがないので、金額は売り手次第、

「100億円!」

とか言っても、オファーする人がいれば成立する。

殺しのオファーは様々ですが、動機は大概二種

【経済】と【私怨】

大統領だとか、王様だとか、大企業の社長だとか、社会的に大きな役割を担うキーマンの死は、与える影響も大きく、それによって起こる利害関係の変化は、誰かの立場を有利にしたり、経済の流れを変えたりする。

利を得る側の人間は、金を積むだけでは中々手に入らぬ状態が、金で買えるわけだから、

「いやいやそりゃ幾らでも払うよー」

という話になる。

「こいつごちゃごちゃうるさいから」

とか、

「都合の悪い真実を知ったから」

とかいう雑魚オファーも、結局の理由は経済に帰結する。

一方、恨み辛みで殺したい場合、湧き出す衝動が動力源なので、行ける範囲ならば、当人が行っちゃう事の方が多い。

なので、

「殺したくても自分では手が届かない相手だから」

とか、

「自分で殺しても虫がおさまらないから、出来るだけ苦しめて殺してほしい」

とか、

オーダーの深度がグッと深い。



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