5 / 10
一章
5話
しおりを挟む
☆ ☆ ☆
雷雨様とデートした日から数日が経った。
私は学校の図書館で借りる本を選んでいた。ちなみに雷雨様は用事があるとかで後から図書館で待ち合わせることになっている。一体どこで何してるの? まさか、他の女の子の血を?
雷雨様は吸血鬼だし、雷雨様の家系は私なんかの血じゃ足りないくらい一日に吸う量が多いと聞いたから、あまり咎めるのもどうかと思って、怒るのを我慢してるけど。でも、やっぱり複雑な気持ちになる。唯一の血である私がいるのに……。
わかってるわ、雷雨様がチャラいことくらい。それをわかって契約したんだから我慢しなきゃ。なにも目の前で見てるわけじゃないんだし。
「と、届かない……」
お目当ての本があったけど、高すぎて手が届かなかった。私は平均よりも身長が低いので、度々こういうことが起きる。まわりを見渡してみたけど、イスが近くにない。……詰んだ。
「これか?」
「雷雨様……! それです。ありがとうございます」
「小難しい本読むんだな」
「雷雨様もたまには読書をしてみては? それより、用事はもういいのですか」
「あぁ、終わった」
「そう、ですか」
なんの用事かあえて聞かなかったのだけど、ここは聞くべき?
「雪璃はまだかかりそうだな」
「すみません。まだ読みたい本がありまして」
「待ってるから大丈夫だ。他の本も届かないようなら言えよ」
「はい」
やっぱり優しい……。さりげない優しさでまた好きになってしまいそう。なのに、ここで聞くのは野暮ってものなのかしら。うぅ、でも気になるものは気になる。
「雪璃、どうした?」
「そこまで近くにいなくても大丈夫ですよ」
そんなことを言いたいわけじゃないのに。
「俺が何してたか気になってるのか?」
「なん、で?」
「顔に書いてある。雪璃はわかりやすいからな」
「そうでしょうか」
「お前と一緒にいて何年だと思ってるんだ?」
「っ……」
私が雷雨様の小さなことに気付くように、雷雨様も私のことがわかる。嬉しい、な。
「雪璃が傷付くと思って、あえて話さなかったんだ。だけど、隠すことで雪璃が悲しむなら俺は嘘をつきたくない」
「私だって、聞く覚悟はできてる」
「血が足りなかったから補給しに行ってた」
「そう」
「嫌じゃないのか?」
「そうじゃないかな? って察してたから」
「……そうか」
勘が当たらなければ良かった。そうすれば、どんなによかっただろう。でも、どのみち雷雨様の口から聞くなら、どっちにしろ傷付くのは変わらない。
「雪璃」
「雷雨様? っ……」
優しい声で名前を呼ぶ雷雨様。私は振り返ろうとしたけれど、後ろから抱きしめられた。
数日間にデートしたことをふと思い出した。あの日は私だけを見てくれた。雷雨様、どこにも行かないで。他の子の血を吸わないで。私だけを見て。
少しくらい強欲になってもバチは当たらないって言うなら、私がワガママを言っても許されるのかな?
「どうしても家系の問題で雪璃以外の血を吸って、雪璃を傷つけてしまう。けど、必ず最後は雪璃に戻って来るって約束は忘れてないから」
「雷雨様……。私がワガママを言っても嫌いになりませんか?」
「なるわけないだろ。ヤキモチ妬く雪璃は可愛いからな。でも、わざとそうしてるわけじゃないのはわかってほしい」
「わかってます。吸血鬼にとっての食事は血ですから。私の身体を心配してるんでしょう?」
「そうだ。お前は自分を大切にしないことが多い。
俺が満足するまで血を差し出すつもりだろ?」
「それで他の子に行かないっていうなら、そうします」
これは独占欲だ。雷雨様を誰にも渡したくないって、そう思う。
「お前が倒れたら俺が心配するんだよ」
「っ」
「だから無理だけはするな。けど……」
「?」
「人が少ないとはいえ、こういう場所で吸血したら雪璃はどんな顔を見せるのか興味が湧いてきた」
「!? 私の心配は?」
「今日はまだ吸ってないから大丈夫だろ」
「それはそうですけど……。ここ、図書室ですよ?」
「だったら声はおさえないと、な」
「誰か来たら見つかりますよ」
「大丈夫。その前に終わらせるから」
さっきまで考え込んでた私が馬鹿みたいだ。一気にいやらしい雰囲気に持っていくとか、雷雨様のある意味才能……。こうやって、他の女の子も口説いてるんだと思うと納得するとこもある。
国宝級にカッコいい人がイケメンボイスで囁くのだから。女の子だったら、誰しもが虜になるだろう。
「ん……」
何度も吸血はされているはずだから慣れているはず、なのに……。声を抑えようとしても、油断したら出てしまいそうになる。
「雪璃、可愛い」
「早く、おわらせて」
涙目になる私。けれど、雷雨様はやめてくれない。私が雷雨様のことを好きなのがバレてるから、こんなことしても嫌いにならないのがわかっているんだろう。でもだからって、続けないで。おかしくなる。
「雪璃の血、今日も甘いな。もっと、欲しい」
「っ……!」
さらに深く突き刺さる牙。痛いだけじゃない。雷雨様が赤い瞳で私をジッと見つめるから。だから、私も思わず応えてしまいそうになるの。後ろからでも視線は感じる。今は目を合わせないほうがいい。目線を合わせてしまったら、今度こそ逃げられなくなる。
「雷、雨様……あっ……」
「雪璃。声が漏れてるぞ。いいのか? 他の奴らに聞かれても」
「い、やだ」
「俺も嫌だ。だから、こっち向けよ」
「ぇ? ……んっ!?」
体制を変えられ、キスをされる。
「これだと吸血が出来ねぇな」
「わ、私が雷雨様の首筋にキスしてる。それなら、雷雨様は私に吸血できるでしょ?」
自分でもすごい提案をしたと思ってる。雷雨様もビックリして引くかもしれない。
「雷雨様がどこにも行かないように印をつけるの。私は吸血鬼じゃないから噛めないけど、雷雨様の真似をする。……だめ?」
雷雨様があまりにも私を求めるから。ここは学校で勉強をするはずの場所なのに、私も大胆になってしまう。雷雨様がいけないんだから。
「お互いに吸血ごっこってことか?」
「そうよ」
雷雨様の場合は、ごっこではない気もするけど。
「わかった。ほら、つけてみろ。前にキスは教えたから少しは上手くなってるだろ? 俺が逃げないように印をつけてみろ」
「望むところよ」
強気に出ても、勝敗は最初からわかっているのに。何を張り合う必要があるのか。でも、何故か雷雨様にだけは負けたくないって思うの。
以前のデートでキスが下手って言われたから。今度は見返したい。雷雨様に少しでも喜んでほしいから。私のこと、もっと好きになってほしいの。
「っ……雷雨、様」
「雪、璃……」
放課後とはいえ、図書室に人はそれなりにいる。けれど、私たちの場所は見つかりにくい。最初は、まわりのことを気にしていた私だけど、今は気にならなくなった。聞こえるのは雷雨様の吸血の音と、私が雷雨様にしているキスの音。
噛み付くようにキスをすると雷雨様の首筋にキスマークがつく。私の大切な人って証拠。きっと明日には消えてしまうけど、今だけは満足感に浸っていよう。
「結局、声我慢出来なかったな」
「う、うるさい」
「雪璃。キスが上手くなったな」
「っ! 雷雨様に比べたら、全然上手くないわ」
「やっぱりこの前のこと怒ってるのか。悪かった。けど、今日のキスは気持ち良かったぞ」
「……っ。なんで、貴方はそういうことをへーきで言えるのよ!」
こっちは一生懸命で色々いっぱいいっぱいだったっていうのに。
「言葉にしないと伝わらないだろ。それに雪璃の言う通り、印はついた。これで俺も雪璃から逃げられなくなった」
「浮気しない?」
「だからウワキしてないって」
「他の子とイチャイチャしてるのは浮気じゃなくて、なんだっていうの?」
「わ、悪かったって」
「もう気にしてないからいいわ」
「ほんとうか?」
「だって、ちゃんと戻って来てくれたから」
小さなことでイラついてたけど、もう大丈夫。雷雨様は私のことが一番なんだって伝わったから。けど、雷雨様が他の子に目移りしたらヤキモチを妬く。でも悪いことじゃない。その度に雷雨様のことをもっと好きになるなら。
これが恋っていうものだから。相手のことで悩んだり考えたりヤキモチ妬いたり。その度に雷雨様に夢中になるのも悪くないんじゃない?
恋をするということは楽しいばかりじゃない。それを雷雨様は教えてくれた。もちろん、そこまで深く雷雨様は考えていないだろうけど、ね。
「雪璃の笑った顔、久しぶりに見たけどやっぱり綺麗だな」
「なっ……」
「もっと見せろよ」
「ちょ……やっ」
「雪璃、愛してるぞ」
「私も雷雨様のことが好きです。……んっ」
「ありがとな」
いつの間にか髪ゴムをほどかれていた。
「下ろした姿、この前は見れなかったから」
「雷雨様が望むなら、いつでも下ろしますよ」
「それなら次はベッドの上で頼んでもいいか?」
「考えておきます」
「雪璃は素直じゃないな」
「そういうところも含めて愛してくれるんでしょう?」
「そうだな。少しだけ自信がついた雪璃も新鮮でもっと好きになった」
ーーードサッ。
「雷雨様。こ、ここ図書室っ……!」
「あれだけ声を出してたくせに気になるのか?」
「吸血も済ませたし、もう帰りましょう」
「夜はこれからだぞ」
「っ……」
性欲魔人。変態。チャラ男……! 昼間まではお寝坊でいつまでも起きないくせに……。夜には本気出すとか聞いてないし。ヴァンパイアは侮れない。私が雷雨様に勝てる日はいつ来るの?その日、私は雷雨様が満足するまでイチャイチャした。
数日後、先生から呼び出しを食らって、反省文を書いたのは言うまでもない。やっぱり、誰か見てたんだ……。どこから見てたかわからないけど、恥ずかしくて死ぬ。
どうか、私と雷雨様のイチャイチャを見ていた人外さんと会いませんように……と、思っていたのも束の間、まさか、その人と近いうちに会うなんて、この時は思いもしなかった。
雷雨様とデートした日から数日が経った。
私は学校の図書館で借りる本を選んでいた。ちなみに雷雨様は用事があるとかで後から図書館で待ち合わせることになっている。一体どこで何してるの? まさか、他の女の子の血を?
雷雨様は吸血鬼だし、雷雨様の家系は私なんかの血じゃ足りないくらい一日に吸う量が多いと聞いたから、あまり咎めるのもどうかと思って、怒るのを我慢してるけど。でも、やっぱり複雑な気持ちになる。唯一の血である私がいるのに……。
わかってるわ、雷雨様がチャラいことくらい。それをわかって契約したんだから我慢しなきゃ。なにも目の前で見てるわけじゃないんだし。
「と、届かない……」
お目当ての本があったけど、高すぎて手が届かなかった。私は平均よりも身長が低いので、度々こういうことが起きる。まわりを見渡してみたけど、イスが近くにない。……詰んだ。
「これか?」
「雷雨様……! それです。ありがとうございます」
「小難しい本読むんだな」
「雷雨様もたまには読書をしてみては? それより、用事はもういいのですか」
「あぁ、終わった」
「そう、ですか」
なんの用事かあえて聞かなかったのだけど、ここは聞くべき?
「雪璃はまだかかりそうだな」
「すみません。まだ読みたい本がありまして」
「待ってるから大丈夫だ。他の本も届かないようなら言えよ」
「はい」
やっぱり優しい……。さりげない優しさでまた好きになってしまいそう。なのに、ここで聞くのは野暮ってものなのかしら。うぅ、でも気になるものは気になる。
「雪璃、どうした?」
「そこまで近くにいなくても大丈夫ですよ」
そんなことを言いたいわけじゃないのに。
「俺が何してたか気になってるのか?」
「なん、で?」
「顔に書いてある。雪璃はわかりやすいからな」
「そうでしょうか」
「お前と一緒にいて何年だと思ってるんだ?」
「っ……」
私が雷雨様の小さなことに気付くように、雷雨様も私のことがわかる。嬉しい、な。
「雪璃が傷付くと思って、あえて話さなかったんだ。だけど、隠すことで雪璃が悲しむなら俺は嘘をつきたくない」
「私だって、聞く覚悟はできてる」
「血が足りなかったから補給しに行ってた」
「そう」
「嫌じゃないのか?」
「そうじゃないかな? って察してたから」
「……そうか」
勘が当たらなければ良かった。そうすれば、どんなによかっただろう。でも、どのみち雷雨様の口から聞くなら、どっちにしろ傷付くのは変わらない。
「雪璃」
「雷雨様? っ……」
優しい声で名前を呼ぶ雷雨様。私は振り返ろうとしたけれど、後ろから抱きしめられた。
数日間にデートしたことをふと思い出した。あの日は私だけを見てくれた。雷雨様、どこにも行かないで。他の子の血を吸わないで。私だけを見て。
少しくらい強欲になってもバチは当たらないって言うなら、私がワガママを言っても許されるのかな?
「どうしても家系の問題で雪璃以外の血を吸って、雪璃を傷つけてしまう。けど、必ず最後は雪璃に戻って来るって約束は忘れてないから」
「雷雨様……。私がワガママを言っても嫌いになりませんか?」
「なるわけないだろ。ヤキモチ妬く雪璃は可愛いからな。でも、わざとそうしてるわけじゃないのはわかってほしい」
「わかってます。吸血鬼にとっての食事は血ですから。私の身体を心配してるんでしょう?」
「そうだ。お前は自分を大切にしないことが多い。
俺が満足するまで血を差し出すつもりだろ?」
「それで他の子に行かないっていうなら、そうします」
これは独占欲だ。雷雨様を誰にも渡したくないって、そう思う。
「お前が倒れたら俺が心配するんだよ」
「っ」
「だから無理だけはするな。けど……」
「?」
「人が少ないとはいえ、こういう場所で吸血したら雪璃はどんな顔を見せるのか興味が湧いてきた」
「!? 私の心配は?」
「今日はまだ吸ってないから大丈夫だろ」
「それはそうですけど……。ここ、図書室ですよ?」
「だったら声はおさえないと、な」
「誰か来たら見つかりますよ」
「大丈夫。その前に終わらせるから」
さっきまで考え込んでた私が馬鹿みたいだ。一気にいやらしい雰囲気に持っていくとか、雷雨様のある意味才能……。こうやって、他の女の子も口説いてるんだと思うと納得するとこもある。
国宝級にカッコいい人がイケメンボイスで囁くのだから。女の子だったら、誰しもが虜になるだろう。
「ん……」
何度も吸血はされているはずだから慣れているはず、なのに……。声を抑えようとしても、油断したら出てしまいそうになる。
「雪璃、可愛い」
「早く、おわらせて」
涙目になる私。けれど、雷雨様はやめてくれない。私が雷雨様のことを好きなのがバレてるから、こんなことしても嫌いにならないのがわかっているんだろう。でもだからって、続けないで。おかしくなる。
「雪璃の血、今日も甘いな。もっと、欲しい」
「っ……!」
さらに深く突き刺さる牙。痛いだけじゃない。雷雨様が赤い瞳で私をジッと見つめるから。だから、私も思わず応えてしまいそうになるの。後ろからでも視線は感じる。今は目を合わせないほうがいい。目線を合わせてしまったら、今度こそ逃げられなくなる。
「雷、雨様……あっ……」
「雪璃。声が漏れてるぞ。いいのか? 他の奴らに聞かれても」
「い、やだ」
「俺も嫌だ。だから、こっち向けよ」
「ぇ? ……んっ!?」
体制を変えられ、キスをされる。
「これだと吸血が出来ねぇな」
「わ、私が雷雨様の首筋にキスしてる。それなら、雷雨様は私に吸血できるでしょ?」
自分でもすごい提案をしたと思ってる。雷雨様もビックリして引くかもしれない。
「雷雨様がどこにも行かないように印をつけるの。私は吸血鬼じゃないから噛めないけど、雷雨様の真似をする。……だめ?」
雷雨様があまりにも私を求めるから。ここは学校で勉強をするはずの場所なのに、私も大胆になってしまう。雷雨様がいけないんだから。
「お互いに吸血ごっこってことか?」
「そうよ」
雷雨様の場合は、ごっこではない気もするけど。
「わかった。ほら、つけてみろ。前にキスは教えたから少しは上手くなってるだろ? 俺が逃げないように印をつけてみろ」
「望むところよ」
強気に出ても、勝敗は最初からわかっているのに。何を張り合う必要があるのか。でも、何故か雷雨様にだけは負けたくないって思うの。
以前のデートでキスが下手って言われたから。今度は見返したい。雷雨様に少しでも喜んでほしいから。私のこと、もっと好きになってほしいの。
「っ……雷雨、様」
「雪、璃……」
放課後とはいえ、図書室に人はそれなりにいる。けれど、私たちの場所は見つかりにくい。最初は、まわりのことを気にしていた私だけど、今は気にならなくなった。聞こえるのは雷雨様の吸血の音と、私が雷雨様にしているキスの音。
噛み付くようにキスをすると雷雨様の首筋にキスマークがつく。私の大切な人って証拠。きっと明日には消えてしまうけど、今だけは満足感に浸っていよう。
「結局、声我慢出来なかったな」
「う、うるさい」
「雪璃。キスが上手くなったな」
「っ! 雷雨様に比べたら、全然上手くないわ」
「やっぱりこの前のこと怒ってるのか。悪かった。けど、今日のキスは気持ち良かったぞ」
「……っ。なんで、貴方はそういうことをへーきで言えるのよ!」
こっちは一生懸命で色々いっぱいいっぱいだったっていうのに。
「言葉にしないと伝わらないだろ。それに雪璃の言う通り、印はついた。これで俺も雪璃から逃げられなくなった」
「浮気しない?」
「だからウワキしてないって」
「他の子とイチャイチャしてるのは浮気じゃなくて、なんだっていうの?」
「わ、悪かったって」
「もう気にしてないからいいわ」
「ほんとうか?」
「だって、ちゃんと戻って来てくれたから」
小さなことでイラついてたけど、もう大丈夫。雷雨様は私のことが一番なんだって伝わったから。けど、雷雨様が他の子に目移りしたらヤキモチを妬く。でも悪いことじゃない。その度に雷雨様のことをもっと好きになるなら。
これが恋っていうものだから。相手のことで悩んだり考えたりヤキモチ妬いたり。その度に雷雨様に夢中になるのも悪くないんじゃない?
恋をするということは楽しいばかりじゃない。それを雷雨様は教えてくれた。もちろん、そこまで深く雷雨様は考えていないだろうけど、ね。
「雪璃の笑った顔、久しぶりに見たけどやっぱり綺麗だな」
「なっ……」
「もっと見せろよ」
「ちょ……やっ」
「雪璃、愛してるぞ」
「私も雷雨様のことが好きです。……んっ」
「ありがとな」
いつの間にか髪ゴムをほどかれていた。
「下ろした姿、この前は見れなかったから」
「雷雨様が望むなら、いつでも下ろしますよ」
「それなら次はベッドの上で頼んでもいいか?」
「考えておきます」
「雪璃は素直じゃないな」
「そういうところも含めて愛してくれるんでしょう?」
「そうだな。少しだけ自信がついた雪璃も新鮮でもっと好きになった」
ーーードサッ。
「雷雨様。こ、ここ図書室っ……!」
「あれだけ声を出してたくせに気になるのか?」
「吸血も済ませたし、もう帰りましょう」
「夜はこれからだぞ」
「っ……」
性欲魔人。変態。チャラ男……! 昼間まではお寝坊でいつまでも起きないくせに……。夜には本気出すとか聞いてないし。ヴァンパイアは侮れない。私が雷雨様に勝てる日はいつ来るの?その日、私は雷雨様が満足するまでイチャイチャした。
数日後、先生から呼び出しを食らって、反省文を書いたのは言うまでもない。やっぱり、誰か見てたんだ……。どこから見てたかわからないけど、恥ずかしくて死ぬ。
どうか、私と雷雨様のイチャイチャを見ていた人外さんと会いませんように……と、思っていたのも束の間、まさか、その人と近いうちに会うなんて、この時は思いもしなかった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
落ちこぼれ姫はお付きの従者と旅立つ。王族にふさわしくないと追放されましたが、私にはありのままの私を愛してくれる素敵な「家族」がおりますので。
石河 翠
恋愛
神聖王国の姫は誕生日に宝石で飾られた金の卵を贈られる。王族として成長する中で卵が割れ、精霊が現れるのだ。
ところがデイジーの卵だけは、いつまでたっても割れないまま。精霊を伴わない姫は王族とみなされない。デイジーを大切にしてくれるのは、お付きの従者だけ。
あるとき、異母姉に卵を奪われそうになったデイジーは姉に怪我を負わせてしまう。嫁入り前の姉の顔に傷をつけたと、縁を切られ平民として追放された彼女の元へ、お付きの従者が求婚にやってくる。
さらにデイジーがいなくなった王城では、精霊が消えてしまい……。
実は精霊王の愛し子だったヒロインと、彼女に片思いしていた一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID25997681)をお借りしております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ホストな彼と別れようとしたお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレ男子に捕まるお話です。
あるいは最終的にお互いに溺れていくお話です。
御都合主義のハッピーエンドのSSです。
小説家になろう様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ヤンデレ王太子と、それに振り回される優しい婚約者のお話
下菊みこと
恋愛
この世界の女神に悪役令嬢の役に選ばれたはずが、ヤンデレ王太子のせいで悪役令嬢になれなかった優しすぎる女の子のお話。あと女神様配役ミスってると思う。
転生者は乙女ゲームの世界に転生したと思ってるヒロインのみ。主人公の悪役令嬢は普通に現地主人公。
実は乙女ゲームの世界に似せて作られた別物の世界で、勘違いヒロインルシアをなんとか救おうとする主人公リュシーの奮闘を見て行ってください。
小説家になろう様でも投稿しています。
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる