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四話
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「それと……」
「なんですか?」
「昨晩は気持ちよかった?」
「っ!」
耳元で囁かれた。朝から刺激が強すぎる。って、もうお昼なんだっけ。
「朝までシてたから千夏は疲れたんだね。だから起きるまでゆっくり寝かせておいたよ」
「す、すみません。私だけが藤堂さんのベッドを占領しちゃって」
ペコペコと何度も謝った。
やっぱり社長なだけあって、いいベッドを使ってた。フワフワで寝心地も良かった。私のアパートで何年も使っているボロベッドとは比べものにならない。
藤堂さんは身体が大きいほうだけど、私と二人で寝ても余るほど大きいベッドだった。クイーンとかキングサイズを使っているんだろうか。私の給料何か月分だろうと頭の中で計算していた。
「いいんだよ。俺も千夏の寝顔を十分堪能できたし」
「恥ずかしいから見ないでくださいっ」
急に羞恥心がこみ上げてきて、藤堂さんの胸板をバシバシと軽く殴った。
「あはは。ごめんごめん」
「今度からは勝手に見ないでくださいね? 約束ですよ」
「なら許可をもらえるなら見てもいいってこと?」
「えっ」
「まぁ許可なんかなくても、起きてるときにじっくり見るけどね」
「ううっ」
恥ずかしさに耐えられず顔を隠そうとするも、すかさず藤堂さんに拘束された。そのまま壁にドンっと押さえつけられて、私は逃げられなくなった。
「千夏。俺に可愛い姿をもっと見せて」
「藤堂さん、ダメですっ」
嫌っ! と拒絶しても逃げられない。
「千夏、こっち向いて」
「な、なんですか?」
「俺のことが怖い?」
「怖くない、です」
視線を合わせると、そこには情熱的に私を見つめる藤堂さんがいた。こんなにカッコいい顔で見られたら意識してしまう。そして、今日の朝までやっていたことを思い出してしまう。本能のままに私を求め続け、愛を注いでいた藤堂さんの表情(かお)を。
「昨晩あれだけのことをしたんだ。千夏に嫌われてもおかしくないよ」
「そ、そんなことないですっ」
「なら、どうして避けるの?」
「目を合わせると昨日のことを思い出してしまうから、です」
「へぇ~」
「……」
それを聞いた藤堂さんの顔が見る見るケモノになっていくのがわかった。あれ? 今の発言はまずかった?
「そういえば感想を聞いてなかった」
「感想?」
「昨晩はどうだったのか? の感想。さっきは上手くかわされたから今度は答えてもらうよ」
心の中で友人に助けを求めている私。誰でもいい。誰でもいいから、藤堂さんを止めて~! 普段ニコニコ優しくしてる人ほど、Sになると手をつけられなくなるってホントだったんだ。
「千夏が答えれば拘束した手を離してあげる。それで千夏の大好きな甘ーいフレンチトーストと美味しい紅茶を用意するよ」
「うっ」
私がフレンチトースト好きなの、未だに覚えてるとかどれだけ記憶力良いのよ。私は深呼吸をして覚悟を決めた。
「き……」
「千夏?」
「気持ち良かったです」
「はい。よくできました」
「っ……」
頭をナデナデされた。まるで子供を褒めるときみたいだ。口から心臓が出そうなほど恥ずかしかった。こんなに恥ずかしい思いをしたのは何年ぶりだろう。
「そんなに満足してもらえたなら今日も抱いていい?」
「連続で朝までするのは体力的にちょっと……」
おかしいな。私より藤堂さんのほうが少し年上なはずなのに。たしか男性って30歳すぎると性欲が落ち着くんじゃなかったけ。もしかして都市伝説だった?
「時間なんて気にならなくなるほど激しくシてあげるから今日も楽しみにしてて」
「は、はい」
反則的なセリフに思わず頷いてしまった。私はチョロい女かもしれない。藤堂さん限定で。
「千夏があまりにも可愛かったから意地悪してごめんね」
「だ、大丈夫です」
両手を壁に押し付けられて、逃げられないように拘束されながらイジワルされて普通なら嫌なはずなのに。すごく興奮した私はどうかしてるのだろうか。
なんなら、もっとイジメてほしいって思った。自分でも気付かないうちに藤堂さんのことを前よりも好きになってる。あぁ、スパダリ社長って怖い。
最近の女子高生は推し活をしてるらしいけど、私が沼っているのは間違いなく藤堂さんだ。決して認めたくはないけれど。
「そろそろご飯にしようか。ほら、席に座って」
「ありがとうございます」
藤堂さん自ら椅子を引いてくれて私は座った。お姫様扱いされてるみたい。けど、社長にこんなことさせていいのだろうか。
「俺もあまり料理は得意じゃないから、今回は専属の料理人に作ってもらったんだ。千夏が好きな分だけ食べていいよ」
「い、いただきます」
専属の料理人がいるってやっぱりお金持ちは凄い。藤堂さんは私が知らない世界を教えてくれる。生涯で私みたいな体験をする人は何人いるのだろう。私はごく一部の人間なのかもしれない。
タワマン最上階に恋人と同棲して、寝心地の良いキングベッドで寝て、専属の料理人が作るフレンチトーストを食べている。これは夢? 実は目が覚めたら私は一生寂しい独身生活をしていたり? なんて考えていたら、「千夏」と名前を呼ばれた。
「ひゃい!?」
「千夏、さっきからボーっとしてどうしたの? 味が好みじゃなかった?」
「そんなことないです。今まで食べたフレンチトーストの中でダントツに美味しいです」
「口に合って安心した。食事をしながらでいいんだけど、聞いてくれる?」
「どうしました?」
「千夏が今日時間が空いてるならデートしたいなって思ってるんだけど、どう?」
「藤堂さんは仕事大丈夫なんですか?」
「今日は急ぎの仕事はないから大丈夫だよ」
「それならしたいです。藤堂さんとデート…」
恋人と初デートとか言葉にするだけでもドキドキする。まともに男性と交際してなかったから、実はデートってどこに行くのかわかってないんだよね。女友達とはショッピングに行ったり映画に行ったりしてるから、そんな感じかな?
「なんですか?」
「昨晩は気持ちよかった?」
「っ!」
耳元で囁かれた。朝から刺激が強すぎる。って、もうお昼なんだっけ。
「朝までシてたから千夏は疲れたんだね。だから起きるまでゆっくり寝かせておいたよ」
「す、すみません。私だけが藤堂さんのベッドを占領しちゃって」
ペコペコと何度も謝った。
やっぱり社長なだけあって、いいベッドを使ってた。フワフワで寝心地も良かった。私のアパートで何年も使っているボロベッドとは比べものにならない。
藤堂さんは身体が大きいほうだけど、私と二人で寝ても余るほど大きいベッドだった。クイーンとかキングサイズを使っているんだろうか。私の給料何か月分だろうと頭の中で計算していた。
「いいんだよ。俺も千夏の寝顔を十分堪能できたし」
「恥ずかしいから見ないでくださいっ」
急に羞恥心がこみ上げてきて、藤堂さんの胸板をバシバシと軽く殴った。
「あはは。ごめんごめん」
「今度からは勝手に見ないでくださいね? 約束ですよ」
「なら許可をもらえるなら見てもいいってこと?」
「えっ」
「まぁ許可なんかなくても、起きてるときにじっくり見るけどね」
「ううっ」
恥ずかしさに耐えられず顔を隠そうとするも、すかさず藤堂さんに拘束された。そのまま壁にドンっと押さえつけられて、私は逃げられなくなった。
「千夏。俺に可愛い姿をもっと見せて」
「藤堂さん、ダメですっ」
嫌っ! と拒絶しても逃げられない。
「千夏、こっち向いて」
「な、なんですか?」
「俺のことが怖い?」
「怖くない、です」
視線を合わせると、そこには情熱的に私を見つめる藤堂さんがいた。こんなにカッコいい顔で見られたら意識してしまう。そして、今日の朝までやっていたことを思い出してしまう。本能のままに私を求め続け、愛を注いでいた藤堂さんの表情(かお)を。
「昨晩あれだけのことをしたんだ。千夏に嫌われてもおかしくないよ」
「そ、そんなことないですっ」
「なら、どうして避けるの?」
「目を合わせると昨日のことを思い出してしまうから、です」
「へぇ~」
「……」
それを聞いた藤堂さんの顔が見る見るケモノになっていくのがわかった。あれ? 今の発言はまずかった?
「そういえば感想を聞いてなかった」
「感想?」
「昨晩はどうだったのか? の感想。さっきは上手くかわされたから今度は答えてもらうよ」
心の中で友人に助けを求めている私。誰でもいい。誰でもいいから、藤堂さんを止めて~! 普段ニコニコ優しくしてる人ほど、Sになると手をつけられなくなるってホントだったんだ。
「千夏が答えれば拘束した手を離してあげる。それで千夏の大好きな甘ーいフレンチトーストと美味しい紅茶を用意するよ」
「うっ」
私がフレンチトースト好きなの、未だに覚えてるとかどれだけ記憶力良いのよ。私は深呼吸をして覚悟を決めた。
「き……」
「千夏?」
「気持ち良かったです」
「はい。よくできました」
「っ……」
頭をナデナデされた。まるで子供を褒めるときみたいだ。口から心臓が出そうなほど恥ずかしかった。こんなに恥ずかしい思いをしたのは何年ぶりだろう。
「そんなに満足してもらえたなら今日も抱いていい?」
「連続で朝までするのは体力的にちょっと……」
おかしいな。私より藤堂さんのほうが少し年上なはずなのに。たしか男性って30歳すぎると性欲が落ち着くんじゃなかったけ。もしかして都市伝説だった?
「時間なんて気にならなくなるほど激しくシてあげるから今日も楽しみにしてて」
「は、はい」
反則的なセリフに思わず頷いてしまった。私はチョロい女かもしれない。藤堂さん限定で。
「千夏があまりにも可愛かったから意地悪してごめんね」
「だ、大丈夫です」
両手を壁に押し付けられて、逃げられないように拘束されながらイジワルされて普通なら嫌なはずなのに。すごく興奮した私はどうかしてるのだろうか。
なんなら、もっとイジメてほしいって思った。自分でも気付かないうちに藤堂さんのことを前よりも好きになってる。あぁ、スパダリ社長って怖い。
最近の女子高生は推し活をしてるらしいけど、私が沼っているのは間違いなく藤堂さんだ。決して認めたくはないけれど。
「そろそろご飯にしようか。ほら、席に座って」
「ありがとうございます」
藤堂さん自ら椅子を引いてくれて私は座った。お姫様扱いされてるみたい。けど、社長にこんなことさせていいのだろうか。
「俺もあまり料理は得意じゃないから、今回は専属の料理人に作ってもらったんだ。千夏が好きな分だけ食べていいよ」
「い、いただきます」
専属の料理人がいるってやっぱりお金持ちは凄い。藤堂さんは私が知らない世界を教えてくれる。生涯で私みたいな体験をする人は何人いるのだろう。私はごく一部の人間なのかもしれない。
タワマン最上階に恋人と同棲して、寝心地の良いキングベッドで寝て、専属の料理人が作るフレンチトーストを食べている。これは夢? 実は目が覚めたら私は一生寂しい独身生活をしていたり? なんて考えていたら、「千夏」と名前を呼ばれた。
「ひゃい!?」
「千夏、さっきからボーっとしてどうしたの? 味が好みじゃなかった?」
「そんなことないです。今まで食べたフレンチトーストの中でダントツに美味しいです」
「口に合って安心した。食事をしながらでいいんだけど、聞いてくれる?」
「どうしました?」
「千夏が今日時間が空いてるならデートしたいなって思ってるんだけど、どう?」
「藤堂さんは仕事大丈夫なんですか?」
「今日は急ぎの仕事はないから大丈夫だよ」
「それならしたいです。藤堂さんとデート…」
恋人と初デートとか言葉にするだけでもドキドキする。まともに男性と交際してなかったから、実はデートってどこに行くのかわかってないんだよね。女友達とはショッピングに行ったり映画に行ったりしてるから、そんな感じかな?
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